「もぅ…お父さんは仕方ない人だよね…分かりましたよ、はいっ!」
僕が総悟さんのケーキを小さく切り分けて、はい、と口の前に持っていくと不満顔でぱくりと食べる。
「…愛情が感じられねェ…」
…又3人でジッと見てくるよ…
「もうっ!はい、あーん!」
「あーん。」
僕が無理矢理笑顔を作ってケーキを差し出すと、今度は総悟さんはにっこり笑ってぱくりとかぶりつく。
…そう言えば…最近総悟さんのこんな笑顔…見て無いや…愛情足りなかったかな…?
ちょっと反省して、今度は心からの笑顔でケーキを差し出すと総悟さんは又にっこりと笑ってくれる…幸せかも…
あ…クリーム…
総悟さんの頬っぺたに付いてたクリームをぺロリと舐め取ると、総悟さんが真っ赤になった。
「「らぶらぶー!」」
子供達がきゃー!と飛び跳ねると、総悟さんが僕の肩を抱いてぎゅうっと抱きしめてくれる…
うん…確かにイチャイチャとエロエロは違うんだ…
こうしてるのが、凄い幸せ…
「相変わらずラブラブですねー…羨ましくなんてないけど。」
「なっ…!?」
突然後ろから声がしたんで僕が慌てて振り向くと、そこには何か黒いモノを背負った山崎さんが引きつり笑いを浮かべて立っていた…
ぎっ…ぎゃぁぁぁぁぁっ!いっ…今の…見られて…
「羨ましいだろィ?お前ェも早く嫁さん見付けろィ。」
「うわっ、珍しい…隊長が俺を気遣った…愛ってのは偉大なんですねー…」
更におどろおどろしいモノを背負った山崎さんが笑う。
何か怖っ!
「ぼくはやまざきさんすきです!けーきくれるしやさしいです!!」
たたっ、と山崎さんに駆け寄った風樹がくいくいと彼の隊服の袖を引っ張る。
気…使ってるよ…
山崎さんもそれに気付いて、やんわりと笑って風樹の目線まで下がると、風樹がちゅう、とほっぺたにキスをする。
…しまった…アレを愛情表現だと思っちゃってるよ…
風樹を引き離そうと僕が動き出すのと同時に、それを見ていた桜もたたっと駆け寄って山崎さんの反対側の頬っぺたにちゅっとキスをする…
「けーきくれるやまざきはすきー」
「さっ…桜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
僕が慌てて桜を抱き上げるのと、総悟さんが山崎さんの首筋に刀を衝きつけるのは、同時だった。
「山崎ィ…良い度胸してるじゃねェか…」
「えっ!?ちょっ!?俺何にもしてない!!何にもしてないですからァァァァァァァっ!!!!!」
「桜の目の前チョロチョロしてるだけで犯罪でィ。」
「何それ!?何の犯罪!?ちょっ…新八君何とかしてーっ!!」
山崎さんが涙目で僕に助けを求めてくるけど…
「桜はお嫁にはあげません。」
「何言ってんだよ!?馬鹿か!?お前ら馬鹿か!?」
山崎さんが何か叫んでるけど、そんな言い訳聞か無いし。
僕がぎゅっと桜を抱きしめると、山崎さんの方に向き直った桜がえへへ、と笑う。
「まいにちけーきかってくれたら、およめさんになってもいいぜぃ?」
「えっ…?ちょ…桜ちゃん…?何言って…」
「さくらをまかせられるかしょうぶです!」
「え…?風樹君…?何話を纏めて…って話聞けよ!!お前らホント、馬鹿一家な!!」
「人の家族、馬鹿呼ばわりしてんじゃねェよ…」
本気の総悟さんが、しゃらん、と刀を振った隙に山崎さんがダッシュで走り去る。
走りながら、副長が呼んでますー!と仕事は忘れないのは凄いよね…
そんな山崎さんを追って総悟さんも走り出すけど…
その前に、ちゅっと僕にキスを残していく…何て早業…
「悪者は退治してくるから、安心しろィ。」
「おとーさんがんばれー!」
「おやじー、ころさないていどにしろぃ!」
2人がにこにこ笑いながら走り去る総悟さんに手を振る。
まぁ…山崎さんをおもちゃに遊んでるだけなんだろうけど…それでもビックリしたよっ!
「桜、冗談でも変な事言わないでよ。お母さんビックリしちゃったよ?」
「じょうだんなんかいわねぇよ?さくら、やまざきがけーきかってくれんならおよめさんになる。」
「ちょ…桜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
こっ…子供だからちゃんと分かって無いんだよね!?
もうちょっと大きくなったら分かるよね!?
お嫁さんなんて、まだまだ早いからね!?
よりによって山崎さんだなんて…
あの人僕らより年上だからね?
真選組の監察なんて、危険な仕事だからね?
…お母さん、許しませんっ!!
END
10萬打フリリクでみゆ様にリクエスト頂きました!
沖田一家は久し振りに書いたので、ちゃんと書けているでしょうか…?
そして、沖新夫婦は子供公認でイチャイチャしていれば良いと思いました。
いつまでも、周りが呆れるぐらいらぶらぶなんですよ!らぶらぶ!!
リクエスト有難う御座いました!
少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
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