怒ってしまったのか、沖田さんがスタスタと部屋を出て行ってしまう…
なんだよっ!僕だって沖田さんみたいなドSお断りだってのっ!!
…でも…いきなりビンタは酷かったよね…
ここには2人しかいないんだし…仲良くしていたいよね…

謝ろうと沖田さんの部屋に行くと、青い人魂を背負ってる…!?

「沖田さんっ!さっきはごめんなさい…僕…ビックリして…」

「…新八くん…俺もふざけ過ぎやした、すいやせん。もう変な事はしやせんから、安心しなせェ。」

にこりと力無く笑われたら…何か罪悪感が…
そんな殊勝な態度なんて…沖田さんらしくないよ…

「はい…これからも仲良くして下さいね…?」

「おう、なんせ2人しか居ないんですからねィ。気まずいのは御免でィ。」

にこりと笑い合って握手を交わすと、何故か心臓がドキドキした。
さっきのアレ…意識しすぎだよね…しっかり、僕っ!!

それから少しして、僕の隣の部屋に女の子が増えた。
その娘は沖田さんに似た感じの娘で…総子さんと言った。
その隣も女の子で、何の冗談かパチ恵さんと言った。

…なんなんだ、一体…何の冗談なんだ…?

それでも久し振りに出会った人達だから、僕らはすぐに友達になった。
それまでは、毎日2人で会って遊んでたのに…彼女達が来てからは、沖田さんは僕とはあんまり遊ばなくなった。
…別に…そんなの沖田さんの勝手だし…彼女達は可愛いし…遊ぶなら可愛い女の子の方が良いよね…やっぱり…
でも!僕だって女の子なのに…!
…中身は男だけど…

って!何考えてんだ僕っ…
そんなの…おかしいじゃんか…
これじゃまるで…僕があの娘達に嫉妬してるみたいじゃん…
そんな…僕は…沖田さんの事…好きなの…!?
だって僕男なのに…いや、今は女の子だけど…でも心は男だ!

そんな事をウダウダと考えていると、携帯に沖田さんから連絡が入る。
凄く…久し振り…
話をするのかと思ったら、何故か海岸に呼びだされた。
何だろ…?
でも久し振りに逢えるんだ。ゆっくりお話ししよう…

なんでか凄く嬉しくって、足取りも軽く海岸に向かうと、すぐに沖田さんを見付ける事が出来た。

「すみません、お待たせしちゃいました?僕に何か用ですか…?」

沖田さんが凄く緊張した面持ちなんで、僕もなんだか緊張する。
何だろ…散歩とかじゃないのかな…?
あ…何か相談事とかかなぁ…
…もしかして…あの娘達のどっちかと付き合ったりとか…その報告だったりして…
そうかも…
何でだろう…凄く胸が痛い…涙が…出そう…
ぐっと唇を噛んで下を向くと、ザッと音がして沖田さんが砂浜に跪く。
え…っ…?

「新八はきらめく海より輝いてやす…俺と…付き合って下せェ…」

「…なっ…」

何を…言って…?
下げていた顔を上げて沖田さんを見ると、スッと伸ばした腕が僕を求めるように差し出されている。
それに…見た事も無いような真面目な顔で…真っ直ぐな瞳で僕を捕らえて離さない…
冗談…じゃないの…?
だって僕は…僕は…

「…本気でィ…お前さんが男だってのは判ってる。でも、そんなん関係無く俺は新八くん、お前に惚れちまったんでィ…」

そ…んな事…
どうしよう…嬉しい…凄く…嬉しい…
僕は沖田さんの事…好きになってるの…?

「…あの…僕…」

「はい、って言ってくれィ…俺…こんな気持ちになったの初めてなんでィ…」

ちょっと頬を赤らめて、拗ねたように僕を見るその姿が…ひどく可愛くて…

「こちらこそ…お願いします。」

思わず、そう応えてしまった。
僕も手を差し出すと、ぐっと握りしめられて引き寄せられる。
そのまま抱きしめられると、僕の心臓は壊れそうなくらいドキドキと脈打つ…

「あっ…あのっ…」

「良かったー…駄目かと思いやした…」

はーっと溜息を吐いてぐったりと凭れかかられると、重みでドサリと砂浜に倒れ込んでしまう…
やっぱり女の子の身体なんだな…力…無いよね…

「…重いです…」

「…我慢しなせェ…安心したら、力抜けちまったんでィ…」

ぎゅうっと抱きつかれるんでサラサラの髪を撫でると、スリスリとすり寄られる。
なんだろ…凄く落ち着く…
これが…幸せ、って感じなのかな…?

暫く頭を撫でていると、がばりと起き上がった沖田さんがちゅ、と音を立てて僕にキスをした…

「なっ…!」

「恋人同士になったんでィ!ちゅーよりもっと凄い事しやすぜィ!!」

その勢いのまま抱き上げられて、凄いスピードで部屋に連れ込まれる。
ぼっ…僕どうなっちゃうのっ…!?



ぴんぽ〜ん…



大きな沖田さんが現れて、僕は無事に自分の部屋に戻る事が出来た。
たっ…助かった…
恋人同士になったんだから、そりゃぁそういう事も有るかもしれないけど…流石に急すぎだよね!!

心の準備が出来るまで…もう少し待って下さいね…?
沖田さん…



END




10萬打フリリクで落榎さんにリクエスト頂きました!
トモコレは、思ったより斜め上にガンガン行動していくんでネタに困らないんですが…
長くなりすぎそうなんで、ここまでで失礼します。
ワタシは3時とか4時にでも起動しますからね!
『何でこんな時間に来るんだよ!?』って思われているかもしれません。
後、らぶらぶしてる所に割り込んでしまったりもしますから…
多分良い所でいつも邪魔されると思います、この2人。

リクエスト、有難う御座いました!
少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。