「こんにちわ、沖田さん…」

「へい、こんにちわ新八君。今日は………チャイナ………」

僕が声を掛けると、ゆっくりと壁にもたれかかっていた身体を起こした沖田さんが、神楽ちゃんを見付けて顔をしかめる。
あ…神楽ちゃんも気付いて走って帰ってくる!

「ドS!テメー何やってるネ!仕事するヨロシ!!!」

あぁぁぁぁ!睨み合いが始まったぁぁぁぁぁぁ!
ヤバい!こんな所で喧嘩が始まったら大変だ!!!

「止めて下さい!こんな所で喧嘩なんかしたら迷惑です!!」

僕が叫ぶと、2人がふんっ!と顔を逸らし合う。
と、思ったら、沖田さんが僕の荷物を奪って歩き出す。

「俺ァちゃんと仕事してやすぜ?今の時間は新八くんの荷物を持って送ってくのが俺の仕事でさァ。」

何故か勝ち誇った顔でスタスタと歩きだすけど…アレだよね?近藤さんの作った変な決まりのせいだよね…?
そのせいでここ最近沖田さんは買い物の帰りによく僕の荷物を持って送ってくれる。
正直有難かったりするけど、仕事の邪魔してるようで申し訳ない。
…まぁ…たまにあんみつ奢ってくれたりとか団子を食べさせてくれたりとかするのは嬉しいけど…

「あの!沖田さん!!大丈夫ですから!神楽ちゃんもお手伝いしてくれてますし…近藤さんが作った決まりでも守らなくても…あの、何だったら僕から近藤さんに言いますんで…」

いくらなんでも、一番隊隊長とかに荷物持ちさせるなんて…
後で何要求されるか分かったもんじゃないし、怖いよ!!

「そんなんじゃねェよ。俺ァ結婚したら家事もちゃんと手伝う男なんですぜ、って事をお前さんに知ってもらおうと思って。」

「…はぁ…」

それは良い事だと思うけど…何でそれを僕に…?
…まさか…沖田さんも姉上を…!?

「あのっ!姉上は…」

「俺には姐さんは無理でさァ。」

僕が叫ぶと、冷めた目で沖田さんが僕を見る。
姉上の事が好きな訳じゃないんだ…じゃぁ…

ハッ!

もしかして神楽ちゃん…?
神楽ちゃんを狙ってるの…?
まさか…神楽ちゃんがここ最近お手伝いしてくれるのも…沖田さんの為…とか…
そんなの…そんなの許せるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

「だっ…駄目ですっ!!神楽ちゃんにはそんなのまだ早すぎますっ!!!」

又僕が叫ぶと、今度はものっ凄く嫌そうな顔で僕を見る。

「…違ェよ…俺ァロリコンじゃねェよ…」

「ワタシだってオマエなんかお断りネ!」

神楽ちゃんが、ベーっと舌を出す。
あぁ…なんだ、僕の勘違いか…良かった!
ぎゅっと僕の腕にしがみついてくる神楽ちゃんの頭を撫でて微笑み合うと、沖田さんがギロリと睨んでくる。
え…?神楽ちゃんの事好きじゃないんだよね…?何でそんな目で見てくるんだよっ!?

「もっと居るだろィ!肝心な奴忘れちゃいやせんかィ!?」

え…?
僕の周りで後女の人って言ったら…お登勢さんとか…キャサリンさん…?
……まぁ…沖田さん変わってるし…熟女好みでも…おかしくない…かな…?

「…年上好みだったんですね…僕には分かりませんが…」

「誰だと思ってんでィ!?」

ぐん、と沖田さんが僕に迫ってくる。
うわ!顔近い!!
そんな真剣な顔されても…僕とは趣味が違うから分からないし…

「お登勢さんかキャサリンさん。」

ちょっと笑いながら僕が言うと、はぁーっと大きく溜息を吐かれて肩を掴まれる。
え…?僕間違えた…?

「じゃぁ…」

「新八ぃ、こんなヤツ構う事ないネ。きっと、たまアル。」

ゲラゲラ笑いながら神楽ちゃんが言って僕の手を引っ張るけど、沖田さんも離してくれない。
それ所か更に力入ってないか…?
もしかして…あんまりおかしな事言ったから沖田さん怒ってる!?
早く逃げないと僕じゃぁ太刀打ち出来な…

「からくりなんざ目じゃねェや!俺が惚れてんのは女なんかじゃ…」

「えぇぇっ!?男の人ぉぉぉぉっ!?銀さん!?銀さんか!?」

驚いた…沖田さんってそうだったんだ…
僕の理解の範疇は超えてるけど…でも、恋愛は人それぞれだし…偏見持つのは良くないよね!

「…あの…僕にはどうにも…でもあの!銀さんはただれた恋愛得意みたいなんで…あの…もしかしたら…」

精一杯のフォローをしたのに、沖田さんはガックリと膝をついた。
何なんだ?
銀さんでもないの?
それ以外って言ったら…

まさか…?

怖い考えになってしまって立ち竦んでいると、神楽ちゃんが僕の手を引っ張ってくれる。

「もうこんなヤツほっとくネ。帰るヨ!」

神楽ちゃんに引かれるまま沖田さんから離れると、スッと上げられた瞳が僕を捕らえる。
その切なそうな瞳を見ていたら…心臓が壊れるんじゃないかってぐらいドキドキを始める。

うわわわわっ!
気付かない気付かない!僕は気付かない!!

沖田さんが誰を好きかなんて…僕は気付かない…



END



15萬打企画で篁さまにリクエスト頂きました!
『超フェミニストで特に神楽ちゃんに対して、砂糖に蜂蜜かけた位甘い新八くん(でも家族愛)とそれに甘える、新八大好き神楽ちゃん、そんな神楽ちゃんに嫉妬の炎を燃やす新八大好き沖田さん(新八にスキスキアタックするも、全く伝わってない模様)』な感じの思春期三人組のお話

…あれ…?思春期って何だろう…?
そして、沖田さんが酷い目に…なので、ちょっとだけフォロー入れたらこんな感じに…

少しでも楽しんで頂けると幸いです。
篁さまリクエスト有難う御座いました!!