思わず言っちまった一言に、新八くんの顔が歪む。
ものっ凄ェ嫌そうだ…
こんな顔は、俺ァまだされてねェよな…
ってかこんな顔で見られたら、死にたくならァ。

「なんで僕が山崎さんなんかと…耳から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせますよ?」

「…悪ィ…」

あんまり真剣なんで、俺とした事が思わず謝っちまった。
新八くん、吃驚してらァ。
山崎は『酷いよ新八君ー…』とか言ってっけど、まぁ山崎だし。

「わっ…分かってくれれば良いんです。」

ツン、とそっぽ向かれても、俺の気分は浮上する。
『山崎さんなんか』って事ァ、本当に何でも無ェんだよな?
新八くんなら、どんなに恥ずかしくたって、好きなヤツをそんな風には言わねェよな?
誤魔化してる感じはねェよな!よし、ここだ!!

「お詫びの代わりと言っちゃァ何だが、団子奢ってやらァ…山崎が。」

「えぇぇぇぇ!?俺ぇ!?」

山崎が逃げないように、首根っこ掴んで新八くんに笑いかけると、新八くんがブハッと吹きだす。
あ…
やっと俺にも笑いかけてくれた…

「何ですかソレ…何で山崎さんの奢りなんですか。誘ったの沖田さんでしょうが。」

クスクスと笑いながら、いつものように俺のボケに突っ込んでくれる。
俺に向けられた笑顔が、他の誰に向けられたモンより可愛く見えらァ…
山崎なんか目じゃねェや。

「山崎のモンは俺のモンでさァ。太古の昔からの決まり事でィ。」

「酷いな、ドコのジャイアンですか。」

「煩ェ、ノビタのくせに生意気でさァ。」

「じゃぁ、銀さんがドラエモンですか?」

「え?俺は?俺は?」

「「スネオ」」

「えぇぇぇぇぇ…」


ピピピピピピピ…


折角俺も新八くんも盛り上がって来たってェのに、山崎の携帯が邪魔をする。
ったく、マジ空気読まねェな。
ジロリと睨んでやると、山崎が慌てて電話に出る。

「はい、山崎…はっ…はい!はい!!すぐに戻ります!!え?沖田隊長?一緒で…あーっ!ズルイですよ隊長ー!!」

山崎の電話の相手は、十中八九土方さんだ。
このまんま大人しく待ってたら、連れ帰られちまう。
だから、俺は新八くんの手を取って逃げだした。

「ちょ!沖田さんっ!?」

「新八くんは団子喰いたく無いんで?」

「…スピード上げましょうか…」

ニヤリと悪戯っぽい笑顔で俺に笑いかける。
こんな顔、初めて見た。
でも、嫌いじゃねェ。

「土方さんに見付かったら、一緒に怒られて下せェよ?」

「…それは嫌だなぁ…なんとか逃げ切りましょう?」

又、ニヤリと俺に笑いかけて、掴んでた掌をぎゅっと握り返されるから。
俺は、とっておきの穴場に新八くんを連れて逃げた。

団子は旨いし、にこにこご機嫌な新八くんは可愛い。
あんなに渦巻いてたイライラは、どっかに行っちまって、体が軽い。
新八くんが居てくれれば、俺ァきっとずっと無敵で…

「そぉぉうごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………」

折角良い気分だったのに、何処からか地を這うような低音…
建物の蔭では、ニヤリと笑う山崎…

あんにゃろ、チクりやがったな!?

新八くんだけでも逃がそうとしたのに、結局二人とも捕まっちまって正座させられて頭に拳固を貰った。
俺の株は下がっただろうけど、山崎と土方さんの株も下がったに違いない。
畜生、又頑張って…

「沖田さん、捕まっちゃいましたね…山崎さんめ…アレ、チクりましたよ、あの人!大人なのに…」

新八くんが、こそっと俺に耳打ちしてくる。
なっ…!?

「悔しいから、今度はリベンジしましょうね?」

ニヤリと笑う顔に見惚れつつ、俺はコクコクと頷く事しか出来なかった。


END




15萬打企画でもも子さまにリクエスト頂きました

『沖→新で、新八と仲のいい山崎に沖田がひたすらイライラする話でギャグ。山崎から新八への気持ちは+でも→でもおまかせ。』

でしたが…
山崎さんあんまり出張ってませんね…
なんだか、新八からも矢印出てそうな感じになってしまいましたし…

少しでも楽しんで頂けたら、幸いです。

リクエスト有難う御座いました!!