「なっ…新八返すネ!ソレは万事屋のアル!!」

警戒してんのか、チャイナが距離を取って俺を威嚇してくる。
返せる訳無ェだろ…こんな大事なのに…
腕の中でもぞもぞと抵抗する新八くんを強く抱き込むと、更にジタバタと暴れ出す。

「返さねェ…新八くんはもう俺んだ。」

「沖田さんっ!!!」

丁度良い位置に有ったんで、頬っぺたにちゅうと口付ける。
へへ…ちゅー、しちまった…

チャイナの眼が見開いて、新八くんの頬が真っ赤に染まる。

「おっ…沖田さんっ!何するんですかぁっ!?」

慌てた新八くんが、本気で暴れ出すけど離してなんかやらねェ。
良いじゃねェか…だって好き合ってるんだろィ?俺達…

「何で止めるんでィ!俺達付き合って…」

「わぁーっ!わぁーっ!!わぁーっ!!!」

「…新八…?」

怪訝な顔のチャイナに、新八くんがなんだか言い訳してるのは…
まさかとは思いやすが…チャイナ…コイツ俺達の事気付いてねェのか…?
面白ェ。俺が引導渡してやらァ。

「何でィ、まだ言ってねェのかよ新八くん。」

「沖田さん…何言うつもり…」

ぐるっと振り向いて俺を見た可愛らしい唇を奪ってやる。
あぁ…柔らけェ…
ずっと吸っててェけど、チャイナに引導渡すんだよな。

ちゅっと音を立てて唇を離してやると、ぽーっとした目で俺を見てくる。
あぁ、畜生!又してェ!!
でも、今はそれよりも大切な事が有るんでィ!

「俺達ァ恋人なんですぜ?気ィ利かせなせェ、チャイナ。」

ふふん、と鼻で笑って言ってやると、真っ赤な顔をしたチャイナがブルブルと震える。

ざまァみやがれ。

気を取り直して、もっかいちゅーしようと新八くんを伺うと、下を向いてぷるぷると震えてやがる。
新八くんは恥ずかしがり屋でいけねェや。

「何でィ恥ずかしがり屋さんめ。ささ、もっかいちゅーしやすぜ…」

「こ…の…バカァァァァァっ!!!」

鼻がもげるかと思った瞬間、俺は宙を舞った。
何ででィ!?酷ェよ新八くん…

「信じらんないっ!こんな…神楽ちゃんの前でなんて…沖田さんの馬鹿っ!!」

真っ赤な顔で、ドスドスと歩き去っていく後姿は滅茶苦茶怒ってる。
あー…ちょっとやりすぎやしたか…

「そのままアホな事してさっさと捨てられると良いアル。」

ふはん、と鼻で笑ったチャイナが、俺を見下してそう吐き捨てて、走って新八くんを追っていく。
イラッとするけど、そんなモンどうでも良い。
そんな事より新八くんでィ。

…怒らせちまった…暫く口きいてくれねェかなァ…

ゴロリと地面に寝転がって大の字になってっと、ザカザカと足音がする。
何でィ…?
音のした方を見上げると、それは怖い顔をした新八くんで…
あれ…?俺、捨てられる…?

「沖田さんっ!」

条件反射で、バッ!と体を起こすと、俺の唇に柔らかい感触。

え…?

「こういう事は、2人っきりの時にして下さい!ぼっ…僕だって…好きな人とはキス…したいですから…」

真っ赤な顔で、ふわっと微笑まれると、俺の顔まで赤くなっちまう。
抱きしめようとすると、愛しいあのコはするりと抜けて走って行っちまった…
ちょいと悔しくて、ちょいと寂しい。

でも…

先刻のちゅーで愛を感じちまったから、全部水に流してやりやしょう。
俺ァ心の広い余裕の有る男ですからねィ。

…土産は団子で良いですかねィ…?
続きは仕事上がりの志村家で。
あそこはきっと、邪魔なんか入らないから。
思う存分甘やかして貰うぜィ!


END



15萬打企画で晶頼さまにリクエスト頂きました
『沖新+神で、神楽ばっか甘やかす新八にかまって欲しくてちょっかい出す沖田と、それを阻止する神楽。沖田と神楽は最強に敵意むき出しな感じで』
でした。

途中なんだかシリアスになりそうになりましたが、なんとか回避出来ました。
ちょっかいのベクトルがおかしな方に流れてしまいましたが…

少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。

リクエスト有難う御座いました!