頑張ってる君に…


今日も今日とて見廻りの途中。
この時間なら新八が買い物に来てるハズなんで、大江戸ストアに寄る。
…おっ、居た居た!
今日はえらい買い物してやがんなぁ…

「新八ィー、今日はえらく豪気だねィ。」

「あ、沖田さん丁度良い所にっ!!すみません、荷物持って帰るの手伝ってもらえませんかっ?」

新八がすまなそうに、上目遣いで俺を見る。
ちっ、可愛いんでィ!チクショウ!!

「お安い御用でさぁ。困ってる町民を助けるのもケーサツの仕事のうちでさぁ。」

俺がひょいひょいと袋を持つと、新八があわあわと慌てる。

「沖田さんっ!そんなに持ってくれなくてもっ!1個で良いんです!1個でっ!」

「何言ってんでィ。俺ァそんなに頼りないですかィ?」

「いいえっ!そんなっ…でも…僕が持つの無くなっちゃいますよ…」

「んじゃ、ホレ。」

そん中で1番軽いのを1個渡すと、真っ赤になった新八がすみません、と言う。

「これァ万事屋で良いんですかィ?」

「はい!久し振りに依頼が入ったんで、買いだめしちゃいましたっ!」

満面の笑顔を俺に向けてくれる。
そんだけで俺ァ幸せになれるんですがねぇ…判ってんのかねぇ?新八は…

世間話をしながら万事屋まで荷物を運ぶと、もじもじしながら新八がお茶に誘ってくれる。

「珍しい事も有るもんだねィ。じゃ、遠慮無く。」

「はい!今日はお茶菓子も有るんですよ?」

俺がソファに座ると、新八が嬉しそうにぱたぱたと台所へ行って、すぐに茶と茶菓子を持ってきて俺の前に置いて、

「ごゆっくり!」

そう言って、又ぱたぱたとどこかへ行っちまう。
なんでィ、一緒に茶ァ飲むんじゃねぇのかよ…
俺がずるる、と茶をすすってると、洗濯物を抱えた新八が居間に戻ってきて、ぱんぱんと叩いて干し始める。

「洗濯も新八の仕事ですかィ?」

「ええまぁ…本当は交代なんですけど、2人がやると綺麗にならなくって…ちゃんと皺伸ばしてくれないんですよ、アノ2人…」

「へー…」

大変だねィ…
俺が茶を飲み終わる頃には、新八は洗濯物を干し終わって掃除を始める。

「あ、沖田さん、お茶のおかわりいかがですか?」

にこにこ笑いながら急須を差し出す。

「頂きまさぁ。」

俺に茶を注いで、又くるくると掃除を始める。

「新八ァ良く働くねぇ…」

「そうですか?普通ですよ?」

新八が小首をかしげると、バキバキバキッ、と首が鳴る。

「…新八ィ…?」

「あっ…あはははははは…最近繕い物とかイッパイしたから…」

俺は無言でソファの隣をばんばん叩く。

「なっ…何ですか…?」

「座りなせぇ。」

「なっ…何ですか…?」

「良いから座りなせぇ。」

怪訝な顔で俺の隣に座った新八を、ソファに押し倒してひっくり返す。

「なっ…何を…っ!?」

「まぁまぁ、俺に任せなせぇ。」

怯える新八の涙目はそそるねぇ…さて、やりますか。



神楽が万事屋に帰ってくると、万事屋の居間に続く扉にぴったりと耳を付けた銀時が居た。
その只ならぬ雰囲気に、自然と神楽が声を潜める。

「…銀ちゃん…何やってるアルか…?」

「しっ!神楽声がデケェっ!己を消せ!全ての気配を消せっ!」

怪訝な顔の神楽が口を開こうとすると、居間の方から新八の声が響く。

「…あっ…すごっ…沖田さん上手い…っ…」

「そうですかィ?ココなんかどうですかィ?」

「あんっ!すごっ…きもちぃ…」

「俺のユビはそんなに善いかィ…?」

「ひゃぁん…っ…すごっ…く…イィですぅ…」

神楽もぴったりと扉に張り付く。

「…銀ちゃん…淫アル…」

「おうよ。新八のこんなエロい声聞けるなんて思ってもいなかったよ銀さんは!こぅ…なんか滾ってくるよな!」

「銀ちゃんエロおやじネ…サド野郎に鳴かされてる新八はイヤアル。ワタシが鳴かすアル。」

2人がヒソヒソ盛り上がっていると、一際高い新八の声が響く。

「あぁっ…!ソコっ!ソコがイイのぉっ…!もっとぉっ…」

顔を見合わせる2人。
そろーりと扉を開けて見えたモノは…



ばしーん!

「何だそりゃあっ!そんな声出しといて肩もみってなんだぁぁぁぁぁ!」

「親子カ!?オマエら親子カ!?」

僕が気持ち良くマッサージしてもらってると、物凄く怒った銀さんと神楽ちゃんが扉を開けてドスドスと僕らに近付いてくる。

「何なんですか、2人ともっ!折角沖田さんがマッサージしてくれてるのに!」

「そうでィ、アンタら新八にばっかり仕事押し付けやがって!新八ァいつもスゲェ頑張ってて首がボキボキなんですぜ!」

「やかましい!お前らさー、ホントにヤリたい盛りの10代な訳?」

「かぁー!嫌だねィおっさんは。頭ん中ソレばっかですかィ?」

「はぁ?銀さんは違いますぅー!まだオッサンじゃないですぅー!」

…銀さんと沖田さんが喧嘩始めた…何だかなぁ…
僕が呆れて2人を見てると、神楽ちゃんが近付いてきてニヤリと笑う。

「新八、今度はワタシがマッサージしてやるヨ。サド野郎より気持ち良くしてやるネ!」

「あはは…遠慮しとくよ…」

神楽ちゃんにマッサージされたら骨砕けるよ…

まぁでも、頑張ってたらたまには良い事有るよね!
沖田さんのおかげで体も軽くなった事だし…スキンシップもイッパイ出来たし…えへへ…
さ、残った仕事、やっちゃお。


END


未完太郎さまに壱萬打フリリクで頂きました!
『いつも頑張ってる新八をいたわる沖田』
大変お待たせしましたぁぁぁぁぁぁぁ!
その上あんまりいたわってない感じがひしひしと…
色々微妙ですが…少でしも気に行って頂けたらこれ幸いです!