もやもやした気持ち。


僕がいつもの如く買い物をしていると、沖田さんがふらりと現れて買い物カゴを持ってくれる。
えへへ、今日も逢えた!
色々お喋りしながら万事屋までの帰り道、沖田さんはやっぱり重い方の荷物を持ってくれる…
優しいなぁ、もぅ…
この時間は、でっ…でーと、って思って良いんだよね…?
お仕事忙しいだろうに、毎日欠かさず来てくれるのは…沖田さんも僕の事…想ってくれてるんだよね…?
そうだよね…?

僕らが楽しくお話しながら歩いていると、遠くから怒鳴り声が聞こえる。

「総悟ぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――っ!!!!!」

あ、土方さん…沖田さん、又見廻りの途中でサボって来てたのかな…?

凄いスピードで沖田さんに向かって走ってきた土方さんが、沖田さんにヘッドロックをかます。
あぁっ!僕の荷物持ってくれてるから逃げられなかったんだっ!

あれっ…?でも…沖田さん何か嬉しそう…にこにこ笑ってる…土方さんも…笑ってる…2人…楽しそうだな…

「土方さん…こんにちわ…」

「あ?おう、新八…!」

僕が声を掛けると、土方さんが不機嫌になった。
ヘッドロックを解いて沖田さんの開いてる方の手を握る。

えっ!?手、繋いだ…!?

沖田さんもにこにこ笑って、繋がれたままになってる…
何…?本当は2人仲良いの…?そういえば、いっつも2人で一緒に居るよね…
もしかして、2人は…付き合ってるのかな…僕…お邪魔なのかな…
そういえば僕…沖田さんに好きだなんて言われた事無い…
僕が勝手に想ってるだけなのかな…僕の…片想いなのかな…
沖田さん…僕の事は友達としか思ってないの…?
本当は…土方さんと付き合ってるの………

イヤだっ!僕だって沖田さんの事大好きだもん!
優しい所もドSな所も我儘な所も全部好きだもんっ!
土方さんにだって…僕の気持ちは負けてないからっ!!

にこにこ笑ってる沖田さんが何か耳打ちして、それにちょっと顔を赤くしてる土方さん…
僕は土方さんをキッ、と睨んで、土方さんに繋がれてる沖田さんの手を奪う。

「沖田さんっ!万事屋まで荷物運んでくれるんですよねっ?冷凍食品入ってるんで、急いでもらえませんかっ?土方さんすみません、沖田さんは僕がもらいますんでっ!」

そう言って一礼して、沖田さんを引っ張ってズンズン歩くと、土方さんが困った顔で僕らを呼び止める。

どうしよう…うん、受けて立ってやるっ!

「何か?」

「イヤ、荷物運ぶんなら俺も…」

「結構です。2人で十分ですから。土方さんが僕らの邪魔をしようとしても無駄ですから。僕、諦める気、無いですから。」

僕が土方さんをじっと見つめながら言うと、土方さんが顔を赤くしてたじろぐ。
よし、負けないぞっ!

「…僕の方が絶対沖田さんの事好きですからっ!」

僕が言いきると、土方さんが固まる。
何だ?意外と精神面は弱いのかな…?負けない…絶対負けないもんっ!

僕がそのまま土方さんを睨んでいると、隣で震えてた沖田さんが、ぶはっ、と吹き出す。

「しっ…新八ィ…そこまで誤解してたたぁ…嬉しいねィ…」

「沖田さんっ!僕は真剣に…え?誤解…?」

「…ぶはっ…っなんでィ…土方さんと俺が付き合ってるとでも思ったかィ?んな訳ねぇだろィ気色悪ィ…ぶぷぷ…可愛く嫉妬してんのかと思ったら…」

心底楽しそうに笑ってるけど…何が…?

「俺が惚れてんなぁ新八だけでィ。土方さんになんか惚れる訳ねェだろうが…」

沖田さんがプルプル震えて、又ぶはっ!と吹き出す。
えっ…?今…惚れてるって…

「沖田さん…あの…」

「新八も俺に惚れてるんだろィ?両想いでさァ。」

沖田さんが小首をかしげてにっこり笑う…あ…可愛い…

「はいっ!僕も沖田さんが大好きですっ…!」

僕が言うと、沖田さんが繋いだままの僕の手をぎゅっと握って、すたすたと歩きだす。
あ…土方さん…何か呆然としてるけど…放っておいて良いのかなぁ…?

「沖田さん、土方さんが動かなくなってますけど…」

「放っときなせぇ。新八に振られてショックなんだろィ。」

「えっ!?僕ぅ!?沖田さんじゃ無くって!?」

「おぅ。」

沖田さんは振り返りもしないで歩き続ける。
そっか…なんだ、僕の誤解だったんだ…良かった!
…って良くないよっ!僕…?僕ぅ…!?
僕があわあわしてると、沖田さんがふっ、と笑う。

「気にすんねィ。土方さんは強い子だから勝手に立ち直りまさぁ。」

沖田さん…随分土方さんの事分かってるんだ…
僕がぷぅ、と膨れると、沖田さんが僕のほっぺたにキスをする。
なっ…!?こんな外でっ!?はっ…恥ずかしいぃぃぃぃ…!
…でも…幸せ…
2人で笑い合うと、後ろで何かがどさりと倒れる音がする。
なんだろう、って振りかえると、倒れてたのは土方さんだった。

「あっ!ちょっと沖田さんっ!土方さん倒れてますよっ!?」

「大丈夫大丈夫、鬼の副長だから。」

「イヤ、それ意味分かんないですからっ!」

駆け寄ろうとした僕の手をぐいぐい引っ張って、沖田さんが万事屋に向かってずんずん歩いて行く。
…すみません土方さん…後でお詫びとお礼しに行きますね…?

僕は心の中で土方さんに謝りながら、ちゃんと恋人になった大好きな沖田さんに、いつもより一歩近付いて万事屋までの道をゆっくり歩いた。


END


マドカさまに壱萬打リクで頂きました!
『CP沖新。土方さんに嫉妬する新八。意地悪沖田さん。』でした!

たいっへんお待たせいたしましたぁ!!
土方さんが予定以上に可哀想になりましたが…土方好きさんすみませんです!
新八視点で書いたので分かりずらいですが、沖田さんが企んでます.色々企んでます。

少しでも気に入って頂ければ…幸いです…