「止めろオマエらぁぁぁ!店壊れんだろうが!!それに僕、状況が全く飲み込めて無いんですが!説明しろ!!!」

それでも抱き付いて僕を庇っていた沖田さんをグイッと押しのけて、僕が腕を組んで仁王立ちすると、沖田一族は大人しくなって全員僕の前に正座した。
…なんだろコレ…僕って何…?

「我らがこんなに熱烈に想いを打ち明けているというのに判らないのか?新八くんは。まぁ、そんな鈍い所も可愛いぞ。」

フフフ、とか笑われても褒められてる気が全然しない。
本当は馬鹿にして楽しんでるのかな?
一族総ドS?有り得る。

「それは不本意ながら分かります。皆さん僕を気に入って頂いているんですよね。」

「そう!だから、だれのおよめさんになるかきめてよしんぱち!」

「うん、でも僕も男だから男の嫁にはなれないよ?ソウゴ君?」

凄い一生懸命言ってくるけど、子供といえども油断ならないからな…
悲しい顔されたって…絆されるもんか!
ってか何沖田さん真っ赤になってんだ?

「じゃぁもう決まりじゃん。新八はワタシのカレシー!」

ソウシさんが笑顔でウインクする姿は可愛くてしゃーない。
でも、僕が聞きたいのはそんな事じゃ無くて!!

「だーかーらー!アンタら誰なんだよ!?沖田さんの関係者、って事は分かるけどなんかおかしいよ!大体『オリジナル』って何!?」

「え?言って無かったっけ?」

「聞いてねーよ!」

何故かカイザーさんが沖田さんを押さえつけて口も塞いでるけど…
攘夷浪士…とかじゃ…ないよね…?

「あのね、おれたちオリジナルのなかにずっといたんだけどね?」

「一昨日オリジナルが万事屋の天パの旦那に貰ったジュースを飲んだら実体化して。」

「厳しい闘いの末、我ら3人が勝ち残ったのだ。」

…良く分からないけど、元凶は銀さんで、銀さんが沖田さんに何か薬を盛ってこの人達が沖田さんの中から出てきた…と…?
いくら天人だからって、何でも有りにも程が無いか…?

「そう、きびしいたたかいだったんだよ?カブトムシとかおれやっつけるのもったいなかったんだ!」

「そうそう!3Zのヤツとか弱っちいクセに生意気だったし!犬のヤツは防御力高いし!」

「13は飛び道具を使っていたしな。勇者とかもおかしな刀を持っていた故面倒だった…」

うんうんと頷き合っているけど、そんなに沢山居たのか…?おっそろしいな。
万事屋に帰ったらちゃんと銀さんを叱っておかなきゃ。

「なんとなく分かりました。全て銀さんが悪いって事が。」

「そう?ワタシは感謝してるよ?だってあの旦那のおかげでワタシ新八に逢えたんだもん。」

だから!
上目づかいはやーめーろーよぉー!
ドキドキが止まらねぇよ!!!

「おれも!しんぱちだいすき!」

かっ…可愛らし過ぎるよズルイよ!

「やっと逢えたんだ。これからは我と共に生きて欲しい。」

だからイケメンは嫌なんだよ!
なんだこの格好良さ!!


でも…それでも…

「僕は貴方達と生きていく事は出来ません。そういう仲にはなれなくても、僕はいつもの沖田さんが良いです。」

そう皆さんに僕が言うと、ボン、という音と共に3人が消えてしまった。



え…?



「有難う御座いやす…ここで新八くんが俺を選んでくれなかったら、俺が消えてたトコでさァ…」

はぁ、と大きく溜息を吐いた沖田さんが、床に座り込む。
僕…間違えてたら、沖田さんを消してたの…?
急に怖くなって、僕も一緒に座りこむ。

「…良かったです…沖田さん消さなくて…」

はは…と笑うと顔を赤くした沖田さんが僕の傍に来てギュウっと手を握る。
ソレが嫌じゃ無いなんて…僕は何考えてんだ…?

「それって…俺の告白受けてくれるって事ですかィ…?」

「違いますよ!アレです!いくらただの知り合いだからって僕が原因で居なくなっちゃうのなんて寝ざめが悪いじゃないですか!それだけです、それだけ!他意は全く無いです!!」

「えー…」

しょんぼりと頭を下げる姿は、怒られた犬みたい。
そういえばさっき、犬も居たとか言ってたっけ…
こんな色んな表情をする人だったんだ、沖田さんって。
僕は、沖田さんの事全然知らないんだなぁ、当然だけど。
あの3人以外にも、色んな沖田さんが居るんだろうな…ちょっと知ってみたい…

「…あの…でも…人に好かれるのって嫌じゃないですから…お友達じゃ、いけませんか…?」

そっと顔を伺いながら僕がそう切り出すと、沖田さんの顔がぱぁっと明るくなる。
なんか可愛い…ソウゴ君みたい…

「勿論駄目なんかじゃ無ェよ!たっくさんの俺を知って友達じゃ居られ無くしてやりやす!」

「…逆に嫌いになるかもしれませんけどね。」

「そんな事言ってられるなァ今のうちでさァ。覚悟しやがれ。」

その自信はどこから来るの?って聞きたいぐらいの態度はカイザーさんみたい。
話をしたのはほんの少しの間だったのに、あの人達の印象が強過ぎて僕はもう忘れられない。
沖田さんとも、もうずっと前からの友達だったみたいに思えてきてしまう。

「はいはい。じゃぁ取り敢えず、ちゃんと座ってお話しませんか?」

「へい!」

さっさと元居たボックス席に納まってじーっと僕を見てる。
店内は奇跡的に何処も壊れていないから、僕は倒れたソファを起こして沖田さんの向かいに座ってみた。
ハンバーグのお皿を見るとさっきの出来事を思い出してしまうのでさっさと店員さんに片付けてもらった。

「支払いは沖田さんにお願いしますからね?あの3人無茶苦茶したんですから。」

「…へい…すいやせんでした…」

しゅん、としながらも下から僕を覗き見る沖田さんは嬉しそうで楽しそうで。
そんな表情されると僕まで楽しくなってしまうじゃないか。
だからちょっとだけ期待させてあげよう。

「…責任…取って下さいね…?」

「へい!…って新八くん…?」

きょとん、として頬を染めた沖田さんに微笑みかけると更に赤くなるのが嬉しくて。
友達じゃ我慢出来なくなる日はそう遠く無いのかなぁ、なんて恐ろしい事を考えてしまいました。



END



弐拾萬打フリリクで撓威さまに捧げます

なんか…余計なのまで出てきてこんな事に…
なんかこう、もっとカイザーがアレな方が良かったかと思いつつもこんなんなりました。
その上沖田さんヘタレで…仔沖と初期沖田が頑張り過ぎましたすみません!
少しでも楽しんで頂けると…

この度はリクエスト有難う御座いました!