「沖田さんどうしたんですか?僕の部屋、分かりませんでしたか?使って下さって構わなかったんですよ?」
「あんな気色悪い部屋で寝られるかィ。」
あ、反応した…って!
「失礼な事言うな!お通ちゃんに謝れ!!」
「自覚は有るんですねィ…でもそんな事ァどうでも良いんでさァ。俺ァあんな寺門さんだらけの気色悪ィ部屋に男連れ込んでズコバコヤってるような眼鏡でなんか居たくねェんでね…早く戻ろうぜ。」
そう棒読みで言って、ジロリと暗い目で僕を睨みつけてくるけど…今この人とんでも無い事言わなかったか!?何言ってんだ!?この人!!
「とんでもない嘘吐くなァァァ!百歩譲って誰か連れ込んだって、男な訳有るかァァァ!!」
「…新ちゃん…?」
「違います!違いますからね、姉上ェェェ!何を根拠にそんな事言って僕を陥れようとしてんだこのドSゥゥゥ!!!」
沖田さんに掴みかかってブンブンと前後に揺すると、それでもじーっと僕を見る目は暗いままで…
何が有ったんだ…?からかってる目じゃ無いよね…コレ…
一体どういう思考回路持ったらそんな恐ろしい事考えつくんだ!?
「暇だったんで本棚漁ってたら潤滑油隠してあって…」
「え?あっ…アレは…」
そういやぁ有ったなそんなもん。
でもなんでそれでそんな恐ろしい考えに?
「あら新ちゃん、アレまだ持ってたの?…使ってるの…?」
なんとか上手く誤魔化そうと思ってたのに、頬を染めた姉上が要らん事言ったァァァ!
「使ってませんっ!使ってませんからね!!アレは文通の一件の時に誤解した姉上がくれた物です!なんか、捨てるのも恥ずかしくって置いてあっただけですから!未開封だったでしょうがァァァ!ちゃんと確かめろ馬鹿ァァァ!!」
「それに…新八くん何処も彼処も敏感過ぎでィ…開発されてるに決まってらァ…相手は万事屋の旦那ですかィ…?土方…?山崎?まさか…近藤さんなんてこたァ…」
「なんだそれっ!?何で僕がマダオ達と何か有るとか失礼極まりないですよっ!ってか沖田さん!アンタ人の身体に何を…」
「風呂に入っただけでさァ。新八くんだって風呂で俺の身体、触っただろィ…?」
つい、想い出してしまった…
2歳しか違わないなんて思えないような、鍛えられた身体とアノ…
想い出して僕の顔に血が上ってくる…うわぁ!うわぁ!うわぁぁぁっ!!
「さっ…触るって!身体洗った時仕方なくっ…」
「一緒でィ。身体洗ってるだけなのにあーんな事やこーんな事に…」
ニヤリ、と笑った沖田さんの表情は、いつの間にか普段のものに変わっていて…
僕は、何故だか安心した。
「なりませんよ!もう!!僕だって早く元に戻りたいですよ…」
「俺もでィ。俺もやっぱ自分の身体が良いや。」
お互いそう言って笑い合う。
もう、すぐにでも走ってぶつかろう。
「あら、戻らなくても良いじゃない。私コッチの新ちゃんの方が良いわ。だって美味しそうに卵焼き食べてくれるし、可愛いんだもの。」
「あっ…姉上ぇぇぇっ!?」
凄い良い笑顔だけど…本気だ…あの顔は本気だ!
「総悟も中身が新八君の方が可愛いですしね…そうしますか、お妙さん!いやー、俺達気が合いますね!」
近藤さんは姉上に気に入られたいだけだろ!?
僕が2人に文句を言おうとすると、ぐいっと後ろに引かれて何かに背中が当たる。
「行きやすぜ、新八くん。」
見上げると、いつものように不敵に笑った、僕の顔をした沖田さん。
なんでかこの人に任せておけば大丈夫な気がする…
「はい。」
2人手を繋いで走り出す。
沖田さんは僕が走ってるとは思えないスピードで僕の手を引いて走る。
皆追ってくるけど、追いつけないほど…
楽しくなってきて思わず声を上げて笑うと、沖田さんも笑った。
縁側を飛び越えて…僕らは庭に倒れ込んで気を失った。
又たんこぶ出来たよな…
◆
「沖田さーん、今日はウノやりましょう!」
「おー、新八くん。今日はなんの花ですかィ?」
僕らは庭に転がり込んだ衝撃で元に戻った。
それからは、僕はあの時想った通りに沖田さんの所に遊びに来るようになった。
お通ちゃんの秘蔵ポスターも、ゲーセンで取った変なぬいぐるみも、遊び道具も。沖田さんの部屋には余計なモノ増えていって、もう寂しい事なんか無い。
僕はここ来る度に庭の花を摘んできて、沖田さんの部屋には百均で買った花瓶も置かれている。
「なーなー新八くん!ウノに勝ったら今度こそ俺と付き合ってくれよー」
「さて、どうしましょうかね。」
沖田さんはあれから頻繁におかしな事を言ってくる。
僕は男だって言うのに…からかうのもいい加減にして欲しい…
本気だったらどうしよう…まさかね…
「新八くんのきもちいトコ、全部判ってっからすぐに天国見せてやりやすぜ?俺無しでは居られねェぐらいメロメロにしやす!」
「はぁ…?何言ってんですか?」
「新八君の身体、中も外も全部触ってちゃんと確かめやしたから任せなせェ。」
「…沖田さん…?」
「だから、な?無理矢理でもメロメロにする自信ありやすが、新八くんにも俺の事愛して欲しいんでさァ…」
「あの時やっぱり僕の身体に何かヤってたのかふざけんなァァァ!」
僕が怒ると沖田さんが笑って僕を抱きしめる。
それで暴れられなくなる、って理由にしてるけど、本当はどうなんだよ…一番大切な事ちゃんと言ってくれないから分からないよ…
だから今日は、僕が悪戯を仕掛けよう。
そっと首を伸ばして、顔を近づけて、柔らかいそこに口付ける。
「しっ…新八くん…?」
「おれぁ、好きでも無いヤツの所には、わざわざ来ないでさぁ。お前さんはどうなんでぃ?」
そう口真似ると、きつくきつく抱きしめられた。
僕がここまでしても耳元でぽそぽそとしか言えないなんて、意気地無し。
でも、ちゃんと聞けてやっと安心したよ?
貴方で僕だった時に僕を見て騒ぎまくる心臓はそう言う事だったんだ…
これからは、貴方と僕で色々知って生きましょう?
もう、貴方で僕になる事は無いんだから。
…そうだよね…?
END
弐拾萬打フリリクで兎Qさまに捧げます
気付いたら超長くなっていましたが…
お題を生かせて無い…ですね…
でも、入れ替わったらやらせたい事を全部詰め込みました
少しでも楽しんで頂けたら…
この度はリクエスト有難う御座いました!
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