やっと玄関に着くと近藤先輩とはお別れで、先輩は手を振って行ってしまった。
本当に優しい人だよなぁ…お姉ちゃんもっと優しくしてあげればいいのに…
靴箱の所まで行くと、先に行ったハズの山崎君と沖田君が…待っててくれたのかな…?
あ、今日も靴箱にラブレター入ってたんだ。凄いなぁ…
「山崎君、沖田君いつも凄いですね、ラブレター。」
「これァ…」
「ほんと、懲りないよねー。」
2人とも彼女居ないんだっけ?
全部断ってるのかなぁ…?
「今日も忙しいアルネ。」
「まーね。毎日毎日懲りないよねー。」
「そろそろ学習してもらわねェとなァ。」
神楽ちゃんも何か知ってるのかな?3人が何故か悪そうな顔で微笑み合ってる。
でも…ちょっと酷いよね…?
「…可哀想です…?女の子、皆一生懸命なんですよ?おふたりの事、好きだから…」
流石にあんまりなんで私が言うと、3人が3人とも同じ表情で私に向かってニヤリと笑う。
「コレ、男ですぜィ?」
「男が出したラブレターアル。」
…男の子が…男の子に…?
えっと………え………?
「パチ恵ちゃんはどう思う?」
「おっ…男の子…ですか…?あのっ…それは個人の自由だと…思うけど…でも…私は困っちゃい…ます…」
そっか…山崎君も沖田君も大変なんだ…
って、なんで3人が携帯電話で私のコメント録音してるの…?
「はい、ナイスコメントありがとー」
「コレでちっと楽出来んな。」
「ワタシもめんどくさく無いヨ。」
「何がですか?」
「「「何でもない」」」
何の事だか分からないけど、皆嬉しそうだから良いか。
沖田君が持ってくれていた鞄を、今度は神楽ちゃんが持ってくれて教室に向かう。
「沖田君有難う!鞄、実はちょっと重かったんだ…あ!神楽ちゃん私持つよ!」
「こんなの軽いアル。パチ恵のアイの方が重いネー!」
本当に軽そうに鞄を持ってひょいひょいと階段を上って行くから…神楽ちゃんに任せちゃおう。
私も神楽ちゃんについて階段を駆け上がろうとすると、ぐいっとおさげが引っ張られる。
「痛いよっ!沖田君?」
後ろを振り返るとやっぱり不機嫌そうな沖田君で。
私お礼言っただけなのになんで怒ってるの!?
「…これから毎日持ってやるから…だから俺の…」
「抜け駆け禁止。」
「ドS!ワタシのパチ恵に手ぇ出してんじゃネーヨ!!」
後ろから山崎君が沖田君の口を塞いだと思ったら、上から神楽ちゃんが飛んできた…
又今日も喧嘩が始まる…もう!知らないよ、私は。
神楽ちゃんが飛んできたついでに私にポンと渡した鞄を持って、私は教室に向かう。
どうせ皆怪我してくるんだから、教室に備え付けてある救急箱を確保しておこう。
沖田君が何を言いたかったのかは結局分からないままなんだろうな…
でも、きっと『弁当寄越せ』とかじゃないかな?
仕方ない、今日ちょっと手伝ってもらったし、すこーしだけなら分けてあげよう。
何か有った時の為に持ってきているタッパー(小)に取り分けてあげようとお弁当を開くと、神楽ちゃんの為に綺麗に詰めて来たハズのお弁当は横にずれてて…
折角可愛くなってたのに台無しだ!
「あんのドSぅぅぅ!神楽ちゃんのお弁当こんなにするなんて許せないっ!もう絶対一緒になんか学校に来ないからっ!!」
怒りに任せて叫んでしまった丁度その時、3人が教室に入って来て…
又いじめられると神楽ちゃんの後ろに隠れたけど、そんな事は無かった。
きっと神楽ちゃんが牽制してくれてるからだよね!やっぱり神楽ちゃんは頼りになる!!
「明日からはワタシがパチ恵の家に迎えに行くアル。心配すんなヨ。」
ニヤリと笑う神楽ちゃんは頼もしくてカッコいい。
そう、どんな男の子よりも優しくて、それに可愛い。
「有難う!神楽ちゃんだーい好き!!」
「ワタシもパチ恵大好きネ!!」
ぎゅうっと抱き付くと柔らかくて気持ち良くて。
今は神楽ちゃんが居たら、それだけで良いかも。
憧れてた高校生とは違うけど、こんな素敵な友達が居たら恋人はまだまだいらないや。
ちょっと興味は有るけれど、大人の扉の向こうに行くのはもうちょっと先みたい。
END
弐拾萬打フリリクでリクエスト頂きました
百合…っぽくなって…ないですね…
それでもなんとなくじゃれあってる可愛い女の子2人になってると…いいなぁ…とか
少しでも楽しんで頂けたらば、嬉しいです…
この度はリクエスト有難う御座いました!
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