そーっと沖田先輩を仰ぎ見ると、僕を見たまま固まって動かなくなってる…あ…
ヤバい!どうしよう!!気持ち悪いって思われる!!!
怖くなって走り去ろうと後ろを向くと、腕を掴まれて引き込まれて抱きしめられる…だっ…抱き…!?
「マジかィ…そんならもっと早くに言っときゃ良かったぜィ…」
「沖田先輩…?」
「俺が好きなのは、新八ィ…オマエでさァ…アイツは…姐さんって呼んだらボコられて、志村って呼んだら紛らわしいって文句付けられて妙って呼ぶようになったんでィ。でも、新八が嫌だってんなら俺ァ喜んでボコられやす。」
「…志村で良いじゃないですか…」
「志村って呼んだら新八呼んでるみたいでドキドキすんでィ…アイツ新八に似てっからなァ。」
一際ぎゅーっと強く抱きしめられると、ドキドキと早い鼓動が僕の耳に飛び込んでくる。
コレ…沖田先輩の…?
ホント…なんだ…沖田先輩が…僕の事…好きって…
どうしても顔が見たくって僕が身動ぎすると、沖田先輩が僕の肩に顔を埋めてくる。
「せんぱい…顔…見たいです…」
「駄目でィ…今絶対ェ顔赤ェからそんなカッコ悪ィトコ見せられっかよ…」
「僕は、カッコいい先輩も駄目な先輩も可愛い先輩も全部好きです!全部見たいです!」
「…新八は我儘でさァ…」
はぁ、と溜息を吐いた先輩が、ぐるりと僕の身体を回して正面を向けてくれる。
その顔は、やっぱり真っ赤で幸せそうに微笑んでいた。
「俺の恋人になってくれやすか?」
「…夢みたいです…はい、僕を恋人にして下さい。」
先輩の顔が近くなって、僕らはゆっくりとキスをした。
…はぁ…鼻血でそう…
◆
次の日からも僕の日常は変わりなく忙しくて、でもちょっとだけ変わった。
朝ちょっとだけ早く家を出て先輩と2人で登校したり、お昼は屋上じゃなくて部室で2人でお弁当を食べたり。
部活の帰りに先輩と一緒に買い物に行って、家まで送ってもらったりとか…本当に夢みたいだ。
でも…もうこうして一緒に居られるのもあと少しなんだ…冬が終わったら先輩は居なくなってしまう…
「…もっと早くに僕の気持ち伝えれば良かった…」
「いきなりなんでィ。」
「だって、先輩卒業しちゃうじゃないですか!大学に行ったら僕の事なんか忘れちゃうんじゃないかって…」
そう言葉にすると、悲しくなってきて涙が出そうになる。
俯いた僕の頬に優しい手が触れて、そっと前を向かされると大好きな先輩の優しい笑顔…
「俺が新八の事を忘れる訳無ェだろ。それに俺ァ大学行っても毎日部活に来やすぜ?」
「…へ…?」
「俺が師事すんのは近藤さんだけでさァ。他の奴に教わる事なんざ有りやせん。」
「…じゃぁ…沖田先輩が卒業しても、毎日逢えるんですか…?」
「おう。まぁ、部活になんざ顔出さなくても新八には毎日逢いに来やすけどねィ。」
「嬉しいです!」
あんまり嬉しくて僕が先輩に抱きつくと、優しいキスが落ちてくる。
夢中でそれに応えていると、急に背中がぞわりと寒くなる…
あ…ヤバ、ここ家の前だった…
「沖田君?ウチの新ちゃんに何してるのかしら?」
「妙ちゃん、アイツ殺っちゃって良いかな?責任は僕が取るから。」
「新八ぃー…心配で駆けつけたワタシになんてモノ見せるネ…」
「新ちゃんマジかよ!?」
「え?ちょ、新八沖田君と何やっちゃってんの!?昨日のアレは誤解だからね!たんなる事故だからね!とらぶる的な!!」
「そうだぞ志村!決して本意では無いからな!!変な誤解して自棄になったのか!?わっ…わっちはむしろ年下の方がだな…」
「総悟ォォォ!おま…何やってんだよ!志村は俺がだな…ゴホン…」
「新八君!君は何て事を!沖田に騙されたのか?」
「良い想い出は出来たがか?沖田…」
「沖田…殺す…」
「え?沖田っていうの?コイツ。何で俺の新八に手出してんのかな?殺しちゃうよ?」
「ちょ、神威穏便に穏便に。ちゃんと計画を立ててからじゃないとダメだろ。」
「あ、計画なら有りますよ?このあんぱんにあんぱんをあんぱんして…」
…口々に物騒な事を言ってるこの人達は、なんで僕の家に押しかけてるんだろう…?
ってか…キスしてる所…見られた…!?
「負け犬どもがキャンキャン煩ェんだよ。見ての通り新八は俺とらぶらぶなんで諦めろィ。」
…すました顔でそんな事言うこの人は…気付いてたのかな…?きっ…キス…見られてるって…
「…先輩…気付いてたんですか…?皆が居る事…」
「あったり前でィ。見せつけてやったら全員諦めんだろィ?」
分かってて…分かっててしたんだ…僕が恥ずかしがるってのも分かってたよね…?きっと…信じらんない…
「先輩…?」
「新八はどんな俺でも好きなんだろィ?全部見せて欲しいんだよな?」
ニヤリ、と笑う顔はドS丸出しで…そうだった…この人サディスティック星の王子様だった…
「………そうですよ!僕はどんな先輩だって好きなんですからっ!!」
僕がそう叫んで沖田先輩に抱きつくと、先輩もぎゅうっと抱きしめてくれる。
と、バタバタと人の倒れる音がした。
…え…?
そっと顔を上げると苦笑した姉さんが握りこぶしを握っていた。
え…?全員…倒した…?嘘でしょ…?
「新ちゃんが幸せだって言うんなら仕方ないわね…沖田君、絶対新ちゃんを悲しませないでね?万が一泣かせたら、殺すわよ?」
姉さんの笑顔は眩しく輝いていたけど、そっと見上げた沖田先輩は変な汗を流していた。
それでも、キリリと顔を引き締めた沖田先輩は、笑って僕の頭を撫でてくれた。
「約束しやす。」
そうして最強同盟は結ばれて、なんだか良く分からないまま僕と先輩は公認の仲になった。
姉さんに倒された皆は沖田先輩から僕を奪うんだ、とかよく冗談を言ってくるけど、皆僕を心配してくれてるんだよな…
やっぱり僕は、皆に出会えて良かった!
沖田先輩に出逢えて良かった!!
だから僕は今日も、皆を安心させるために先輩に想いを伝えるのです。
「沖田先輩!大好きです!!」
「新八ィ!俺も大好きでィ!!」
END
弐拾萬打フリリクでトマトさまに捧げます
なんとなく、年齢通りな学パロをやってみたくなってこんな事になりました
青春はやっぱりらぶでしょう、らぶ!
因みに、沖田・妙・九兵衛(高3)神威(高2)新八神楽タカチン(高1)
銀八(現国)日輪(古文)東城(漢文)土方・坂本(数学)月詠・伊東(英語)高杉(生物)源外(科学)陸奥(物理)桂(公民)原田(歴史)武市(地理)近藤・松平(体育)万斉(音楽)長谷川(美術)柳生爺(書道)山崎(購買)
なんて先生の設定も考えてました。生かされてませんが…
少しでも楽しんで頂けると…嬉しいです
この度はリクエスト有難う御座いました!
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