真っ青な顔をして僕に駆け寄ってくる2人にしがみついて、僕はひたすら懇願する。
だって沖田さんは…まだ敵の真ん中で…
こんな怪我してるって言うのに、闘ってる…

「ぎ…んさん…おきたさんが…おきたさんをたすけて…」

「は!?おまっ…何言ってんだ!!今は新八を病院に…」

僕を抱えあげて走り出した銀さんが怖い顔で言ってくるけど…でも…

「おきたさんがしんだら…ぼくも…しにます…だってぼくらはいっしょだから…」

「は?後追いするってか!?そんなの俺達が止めてやんよ!」

「ちがう…もう…おんなじいのちだから…どっちかがいないのに…ひとりだけがそんざいなんて…できない…」

「訳分からないアル!」

凄く怖い顔になった神楽ちゃんが、それでも僕に気を使っているのか声を潜めて僕を叱る。
やっぱり神楽ちゃんは優しい女の子だよ…銀さんが駄目なら…神楽ちゃんでも…

「ドSがどうなってるかなんてワタシは知らないネ!今は新八のケガがっ…ケガが…新八死んじゃうヨ!!」

「ぼくはだいじょうぶ…でもおきたさんは…こんなけがしてるのに…いまてきのまんなかでたたかって…もちろんおきたさんはつよいから…こんなことなんでもないって…かえってくるってしんじてるけど…でも…ぼくは…」

「ウルサイネ!もうしゃべっちゃダメヨ!!」

「かぐらちゃんおねがい…おきたさん…たすけて…」

僕がなんとか神楽ちゃんの服を掴んでお願いすると、その大きな瞳から涙が零れる…

「銀ちゃん…」

「ぎんさん…」

僕ら2人が銀さんを見ると、大きく溜息を吐いて困った顔でバリバリと頭を掻く。

「…新八…沖田君ドコだ?」

「ぎんさん…!」

「オマエら行かせる訳にゃいかね〜だろ…それなのにオマエは死ぬってゆ〜し、神楽まで泣きそ〜だし…俺が行くしかね〜だろが!」

沖田さんが今居る場所を銀さんに伝えると、すぐにスクーターでそこに向かってくれた。

…おきたさん、いまぎんさんがむかいましたから…ちゃんともちこたえてくださいね…?

『………おー………新八もな………』

悔しそうな、でも安心したような沖田さんの声が頭に響く。
プライド傷付けちゃったかもしれないけど…でも僕にとっては絶対に失いたくない、何より大事な人だから。





神楽ちゃんに連れて行かれた病院に、僕はしばらく入院する事になった。
本当ならいつもみたいな大部屋になる筈だったのに、何故か僕は個室に入っている。
それも、僕の隣のベッドには僕と同じ場所を同じように斬られた沖田さん。

「…オマエらさぁ…何…?」

「何の悪戯だ…?」

青い顔をした銀さんと土方さんが僕らを見ている。
僕の話をあまり信じていなかった銀さんは、どうせ居ないだろうと現場に行って、本当に僕と同じ所を同じように斬られていた沖田さんを見付けてプチパニックになっていたと言う。
それを止めた土方さんが、病院に着いて僕を見ておかしくなった。

「「何って…」」

「俺が新八で…」

「僕が沖田さんなだけですよ。」

僕らがニコリと笑い合ってそう言うと、銀さんと土方さんが顔を見合わせてタラリと汗を流す。
この2人なら結構良い感じだと思うんだけど…やっぱり僕と沖田さんみたいにはなれないんだろうな、可哀想。

「仕方無ェよ新八、土方だからねィ…それはそうと旦那、今回は俺のミスで新八まで巻き込んじまってすいやせんでした。以後気を付けやす。」

「…は…?」

「そんな!僕は大丈夫ですから!!沖田さんは沖田さんの思うように動いて下さい。僕のせいで沖田さんが思いっきり動けないなんて嫌だから…僕は貴方の足枷になんかなりたくないから!」

僕が言うと、沖田さんがはにかんだように綺麗に笑う。
あ…嬉しい…
僕だって凄く…嬉しい…!

「おう、判った。でも俺ァ肝に銘じやす。俺ァ多少の怪我なんざ何でも無ェが、同じ痛みを新八も感じてるなんざ我慢ならねェ。だから気を付ける。」

「…はい…僕も気を付けます。」

僕らがうっとりと見つめ合っていると、何か言いかけた銀さんと土方さんが首を振って部屋を出ていった。

どうしても分かっては貰えないんだな…
ちょっと寂しいけど…

「俺が居まさァ。」

「はい、僕が居ます。」

僕は1人じゃないから。
いつだって2人だから。

だから、どんな事だって大丈夫。



END



二拾萬打フリリクで、はー子さまに捧げます。

沖新というか、沖田と新八になってしまったような気がしますが…
でも、恋人を超えた所に居る2人…になっていれば良いなぁ、と思います。
電波具合も半端無くなりまして…新八くんが…
少しでも楽しんで頂けたら幸いです

この度はリクエスト有難う御座いました!