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無事依頼は終了して、あのコは感謝の言葉と共に、格安だけど依頼料を僕らに渡して去っていった。
魔女っ娘だった僕もすっかり元に戻って、街を歩いても男の人に言い寄られる事も無くなった。
やっと平凡で平穏な日々が戻ってきたっていうのに、僕の心にはぽっかりと穴が開いたように寂しい気持ちが消えてくれない。
何かが足りなくて、苦しくて…
様子のおかしい僕を、銀さんも神楽ちゃんも心配してそっと見守ってくれてるけど…なんだか解らないけど少し体調が悪いって事で誤魔化した。
でも本当は、理由は…解ってる。
逃げたつもりだったけど、あの時点でもう手遅れだったんだ。
たった1日の事だったっていうのに、にぎやかで強引ではた迷惑なあの人の事を、僕は受け入れてしまっていたんだ…あんなに嫌だったはずなのに…
最後に見た、あの傷付いた顔が忘れられなくて…もう1度逢って確かめたくて仕方ないんだ。
あんな事したんだから、きっと嫌われているだろうけど…それでももう1度だけ…
男の僕なんてあの人は逢いたくないだろうけど、その嫌がる顔を見たら僕だって諦められるに違いないから。
しばらく仕事も無い筈だし…今日、万事屋に顔を出したら、放課後の時間の狙って銀魂高校に行ってみよう。
そう決めた僕がいつものように出勤すると、事務所の中に違和感を感じる。
そーっとドアを開けて中を覗くと、来客用のソファに淡い茶色の髪…その向かいには大きな白い箱を嬉しそうに抱えた銀さん………
「なっ…沖田さん!?」
「おー、新八くん久し振り。寂しかったかィ?」
そう、そこに居たのは沖田さんで。
何でこんな時間にこの人が万事屋に…?
「なんで沖田さんが万事屋に…?文句を言いに…とか…?慰謝料は払えませんよ…?」
僕の頭はどんどん悪い方にいってしまって、恐い事しか浮かんでこない。
自分から逢いに行こうと思ってたくせに…イザとなったら怖くて仕方ない…
「は?何言ってんでィ。俺ァお義父さんに挨拶に来たんでさァ、お前さんは俺の嫁だからねィ。あのネズミに連れ去られて無いって事はそういう事だろィ?」
「え…?」
あれ…?
沖田さんショックで記憶飛んじゃった…?
あの時僕男だって言ったよね…?沖田さんもちゃんと確かめたよね…?
「あのー…僕、男だって解ってますよね…?ちゃんと確かめましたよね?男は男の嫁にはなれませんよ?」
僕が確認すると、真面目な顔をした沖田さんがジッと見つめてくる。
「勿論。だからちゃんと『新八くん』って呼んだだろィ。それに法律だってちゃんと解ってらァ。でもなァ、世界に目ェ向けたら出来ない事はないんでさァ。二人が好き合って一緒に居ると決めたらそれが結婚で良いだろィ?そう思わねぇか?新八くん。」
なっ…なんでそんな格好良い事まで言えんのこの人…
「それに、俺の嫁じゃねェとネズミに連れてかれるんじゃねェの?」
たたみかけるように心配そうな顔まで見せるんじゃねえよォォォ!
そんな表情…格好良くて色っぽくて心臓がドキドキするだろうがァァァ!!
「それは…大丈夫みたいです…もう全然ハータは出てきてませんから。沖田さんがよっぽど怖かったんだと思います…」
ドキドキしながらチラリと沖田さんを見上げると、ニヤリと笑った悪い顔してるよ…
そんな顔なのに、なんでか落ち着く。
「これからも新八くんの事ァ俺が護りやすから。だから大人しくこれからもずっと一緒に居なせェ。」
「…沖田さんはパチ恵の事が好きだったんでしょう?そんな事言う男の人なんて居なかったんでビックリしましたけど…でも最後には本当にパチ恵の事好きなんだって僕にもちゃんと解りました。それが男だったんですからショックだったのも解ります。愕然としてましたもんね、男だって言った時。だから…男の僕を変わらず好きなんて…本当なんですか…?僕を騙して復讐しようとか…」
それでもやっぱり僕の頭は悪い事ばっかり考えて、ついそんな事を言ってしまうと沖田さん表情が怖いモノになった。
怒らせてしまった…よね…
「俺ァそんな事しねェよ。パチ恵も新八くんも、全部に惚れてやすから。お前さんなら何でもいい。穴はありやすし。」
「とんでもない事言うなやァァァ!ドSバカァァァ!!」
「照れんなよ、嬉しいくせに。」
そう言ってふわりと笑った沖田さんが、嬉しそうに僕を抱きしめた。
だから、僕もそっとその背中に腕を回して抱き返した。
「うおっ!?ドS野郎よくココがわかったアルな。」
「愛の力でィ。」
「はっ…恥ずかしい事言うなやァァァ!」
神楽ちゃんの声で我に帰ってココが万事屋の事務所だと言う事を思い出した僕が、必死でその腕の中から出ようともがくのに、ドコをどう抑えているのか全然離れられない!!
「離せェェェ!!!」
「二度と離しやせん。やっと手に入れたんだ、誰が離すかィ。それに、俺の嫁じゃなきゃネズミの国に連れてかれちまうぜ?多分。」
少しだけ距離を取った沖田さんがにっこりと笑う。
そんな事言われてそんな顔で笑われたら…何も言えなくなってしまう…
「大人しく『はい』って言えるようにしてやってんだぜ?優しい旦那だろィ。」
にっこりがニヤリに変わっても、もう僕の心臓はドキドキが止まらない。
もういいや…この後ドッキリ大成功ーとか言われても、今度は僕が追いかけるから。
だからと言って普通に好きですなんて恥ずかしくって言えない。
だから…
「浮気したら即離婚ですからね!」
「ヘイヘイ、俺がそんな事する訳無ェだろ。新八くんにべた惚れしてんだから。」
さらっとそんな事言われたら照れるだろうがァァァ!
黙っていられなくてすました顔を両手で挟んで変顔にしてやったっていうのに、沖田さんは嬉しそうに笑って又ぎゅうと僕を抱きしめた。
だから、顔を見られないのを良い事に、僕は幸せを噛み締めて、うっとりと笑った。
「…新八趣味悪いアル。」
「まぁ、良いんじゃね〜の?幸せそうだし。」
END
25萬打フリリク企画でカルア様にリクエスト頂きました『女装した新八君(探偵?)が潜入した先で出会った沖田さんに絡まれる学パロか秘密結社(?)万事屋の魔法少年ぱっちーなと真選組沖田さん』でした。
リクをミックスしてこねくり回してこんな感じになりました…学パロでパッチーナな新八くんと沖田さん
花ざかりにはちょっと遠くなってしまいました…短期決戦にしすぎました1日じゃボロもあんまりでませんよねー…
それに沖田さんがエロオヤジ気味に新八くんをかまいすぎたせいで爽やかじゃなくなってしまいました。
そして色々混ぜすぎました。混ぜるな危険でしたね…
えらく長くなってしまいましたが少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
そして、たいっっっっっっっへんお待たせしてしまい申し訳ありませんでした!
この度はリクエスト有難う御座いました!!
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