そんな僕の手を引いて、総悟君が肝試しのコースを進む。
「新八ィ、姉離れしたんじゃねぇのかィ?」
「…しましたよ…?でも…やっぱり複雑じゃないですか…何か、姉上を取られたみたいで…」
僕がしょんぼりとすると、総悟君が僕の頭を撫でる。
「俺が居るだろィ。それとも何かィ?俺だけじゃ足りねぇかィ?」
優しい笑顔で僕の顔を覗き込む…
そんな事…無いし…
そんな風にされたら…総悟君の事しか考えらんなくなっちゃうよ…
「足りなく…ないよ…?」
そっと顔を上げると、フッ、と笑った総悟君の顔が近付いてくる。
あ…
そっと目を閉じると、後ろからトントンと肩を叩かれる。
なんだよ、折角…くるりと後ろを振り向くと、顔じゅう腫れあがった人が…っ!
「ひゃぁっ!」
思わず叫んで総悟君に抱きつくと、アレ…?何か違う気が…
「新八くぅーん!俺に飛び込んできてくれるなんて、感激だよーぅ!」
「山崎君!?」
僕が慌てて顔を上げると、そこにはボコボコに膨れ上がった顔のようなモノが………
「イヤァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!」
今まで捕まってたモノを、ドン、と押しのけて後ろを向くと、さっき見た顔じゅう腫れあがった人が…!!
なっ…何っ!?特殊メイクなんてしてないはずだし…本物っ!?
「山崎君だけ狡いじゃないか、僕にも抱きついて来てくれないか?」
「いっ…伊東さん!?伊東さんどこですかぁっ!?」
僕が叫ぶと、顔じゅう腫れあがった人が僕に抱きついてくる。
何がァァァァァァァ!?
なんとか逃れようとしても、後ろから更にボコボコに腫れあがった顔のようなモノも僕に抱きついてくる。
「やっ…やぁぁぁぁっ!総悟君!総悟君っ!!」
僕が助けを求めると、辺りの温度がグンと下がる。
「…オメェら…俺の新八に何やってやがる…」
「総悟君っ…!」
なんとか2人をかき分けて声のした方を向くと、総悟君も顔がボコボコになった人達を引きずって僕の方にやってくる。
なっ…何だよこの人達っ!?
ホントに本物のオバケ………!?居たの!?ホントに居たのっ!!??
僕が動けないでいると、くっついていた人達を振り切って僕の所に来てくれた総悟君が、2人をぶっ飛ばす。
「ったく、油断も隙もありゃしねぇ…」
僕をぎゅうと抱き締めて溜息をつく総悟君に、僕もぎゅうと抱きつく。
良かった…何が来ても、総悟君と一緒なら大丈夫…
「ひどいよ沖田さん〜」
「何をするんだ沖田君!失礼じゃないか!」
あ、山崎君と伊東さん!
僕が振り向くと…あれ?どうしたんだろう…2人とも誰かに殴られた…?顔が痣になってる…
「失礼な訳あるかィ。俺の新八に抱きつきやがって…」
「え…?さっき抱きついてたのはオバケだよ…?」
僕が総悟君に言うと、3人が乾いた笑いをこぼす。
なんだよ、失礼じゃん!
「新八君、気付いてなかった?さっきのは俺と伊東さんだよ?」
「君のお姉さんにボコボコにされてね…」
………えぇっ!?
さっきのボコボコなの、山崎君と伊東さん!?
あ…総悟君にくっついてきたのは原田君とかだ…
僕が皆に謝ると、皆は良いよ良いよと言ってくれる。
…もう姉上は肝試しとかお化け屋敷には近寄らせないようにしよう…
斎藤君が人型に切った紙を持って来てくれたんで、それを持って皆の居る所まで帰る。
僕らの後ろから、お化け役をやってくれていた皆も一緒に帰ってくる。
皆の所に着くと、姉上がお化け役の皆に謝った…珍しい………
神楽ちゃんは、ガクンガクンと舟を漕いでいたので、土方君がおぶって皆で宿に帰った。
合宿初日でこんなに大騒ぎになるなんて、明日からどうなるんだろう…?
ちょっと心配で、ちょっと楽しみです。
END
参萬打企画で芽衣さまにリク頂きました!
皆が幸せに…なってるでしょうか…?(聞くな!!)
その上沖新かも、ちょっと怪しく…なった気が…
少しでも気に入っていただけると嬉しいです…
そして、大変お待たせいたしました!!
芽衣さま、リクエスト有難う御座いました!!
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