「分かった!分かりましたっ!!話します!話しますからァァァァァァ!!!」

ぐいぐいと沖田君を何とか押しやって、僕が早口で潜入捜査をしていることを話すと沖田君が急に真面目な顔になる。

「…アンタもか…俺もソイツを回収に来たんでィ。」

「はぁっ!?沖田君犯人の知り合いっ!?」

「まぁねェ…アイツが余計な事までしたんで、近藤さんに頼まれやして…」

「近藤君?同じクラスの?」

「そうでさァ。んじゃ行きやすか。それとも、折角だからヌイてくかィ?」

「は?何…って、そんな事しませんっ!!」

僕が真っ赤になって叫ぶと、くつくつと楽しそうに笑う。
なんなんだ!この人っ!!

「なんでィ、気持ち良さそうだったじゃねェか…」

「そんな事有りませんっ!」

僕がぷりぷりと怒りながら、ばんっ!と思いっきりトイレの戸を開けて出ると、後ろから

「うそつきィー」

って声がする。
むかつくんで振り返らないままトイレを出ると、後ろから追いかけてきた沖田君が僕と手をつなぐ。
ぶんぶん振ってもグイグイ引っ張っても離れない…
…手ぐらい良いか…そのまま教室に帰ると、慌てて神楽ちゃんが駆け寄ってくる。

「新!コイツに何か変な事されなかったカ!?コイツ昨日のナンパ野郎ヨ!オマエ何しに来たネ!」

「あらら、ばれてんだ。何しに、ってそんなの新に惚れてるから逢いに来たに決まってんじゃねェか。」

沖田君と神楽ちゃんの間に火花が飛び散る。
あわわわわ…どっ…どうしよう…

「はぁ?オマエ何言ってるネ。新はオトコなんか嫌いアル。」

「は?女の方がダメだろ?」

「そんな事無いネ!新は男アル!」

「だーかーら、頭悪ィなァチャイナ。今まで何してきたと思ってんでィ。」

沖田君がニヤリと笑うと、神楽ちゃんがフフンと笑う。
何か…嫌な予感…

「尻の穴ぐらいくれてやるネ。それとも何か?オマエが突っ込まれる方カ…?」

「それはどうだろうねェ…イテテテテ…新八が激しかったから腰が痛ェや…」

「ウソネ!」

「嘘じゃねぇよ?」

「嘘つくなァァァァァァ!!」

こっ…このまま放っておいたら大変な事になるよっ、僕が!!

「ちっ…違いますからねっ!僕、何もしてないしされてませんからっ!」

僕が青くなって叫んでも、皆ニヤニヤ笑いながら僕らを見てるぅぅぅぅぅっ!

「新八君はウソつきでさァ。さっきはあんなに…」

「煩いっ!何もしてないしっ!何もされてませんから、僕っ!!」

クラスの皆が僕らを見てニヤニヤしてる中、1人だけそーっと教室を出て行こうとしている人が居る。
…何か…あのヒト、ガタイ良くない…?女子にしてはちょっとおかしい…
もしかして…

「ちょっと…」

僕がその人を呼びとめようとすると、沖田君がすっと僕の前に立つ。

「ザキみーっけ。おいオメェ、近藤さんも土方の野郎もえらい怒ってますぜ?」

沖田君がそう言うと、そーっと出て行こうとしていた人がビクリと飛び上がってそーっと振りむく…

「山崎君!?」

「あっ…あははー…見付かっちゃった。」

にへらっ、と笑ったその顔は、同じクラスの山崎君で…
すっと近付いた沖田君に、がっしと掴まれた。

「オメェ、随分と荒稼ぎしやがったな。」

「あっ…姐さんのは流してないよ…?」

「へー、貴方が盗撮魔…」

ばきき…ぼきき…と指を鳴らしながら、姉上を先頭にクラスの女子が山崎君を取り囲む。

「うわぁっ!沖田さん!志村君!たーすーけーてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

山崎君を姉上の方にとん、と押しやった沖田君が手を合わせる。
可哀想だけど、何もできないや…僕も手を合わせた。

「新…八って言うのカ?本当は…」

「…ごめんね、神楽ちゃん…」

おずおずと僕に近付いてきた神楽ちゃんが、僕の手を握る。

「新八が男なのは知ってたアル…ワタシ、新八にヒトメボレしたネ…新八は…?新八はワタシの事好きアルカ…?」

「…僕は…ってひゃぁっ!?」

突然、後ろから寄ってきてた誰かに担ぎあげられる。
なっ…!?何がっ!?

「だから、新八は俺のだって言ってるだろィ。」

「沖田く…」

僕が文句を言おうと口を開くと、沖田君はものすごいスピードで走りだす。
ビックリした顔の神楽ちゃんがどんどん遠くなる。
途中、ボコボコにされた山崎君も回収して、そのまま学園を出る。
何だコノ人…僕ら2人を抱えてるのに、なんてスピード…

「ちょっと沖田君っ!降ろして下さいっ!」

「ヤダね。今離したら逃げるだろィ?オメェ。」

「逃げますよ、当然!!」

「折角捕まえたってぇのに離すかよ。このまま近藤さんの所まで付き合って貰いやすぜ?新八君だって犯人は要るだろィ?」

沖田君が真面目な顔で言う。
…僕の仕事の心配してくれてるのかな…?コノ人…

「あ、イエ…もう姉上がボコったんで…依頼は達成してます…」

「そうなんで?んじゃ近藤さんにザキを渡してから、俺に付き合いなせェ。」

ニヤリと笑う顔が怖いけど…意外と良い人みたいだし…そんな大変な事にはならないよね…?多分………





その後、強制的に沖田君の家に連れていかれて、ずっと口説かれた。
あんまりずっと好きだ可愛い付き合えって言われ続けてると、最後の方にはもう良いかな…って思い始めちゃったけど…
良くない良くないっ!僕は男だからねっ!!
しっかり自分っ!!






次の日、学校が終わってすぐに、バイト先の万事屋に行った。
何故か沖田君も一緒に…

「銀さーん!依頼達成……ってえええええええええええええっ!?」

万事屋には神楽ちゃんが居た。

「神楽ちゃんっ!?どうしてココに…?」

僕がびっくりして聞くと、神楽ちゃんがニヤリと笑う。

「ワタシもココで働いてやる事にしたネ。このまま新八に会えなくなるの、イヤネ。」

神楽ちゃんが駆け寄ってきて、僕の腕にしがみつく。
その体勢のままジロリと沖田君を睨みつけると、沖田君はぐいっと僕の肩を抱く。

「新八はもう俺んでィ。な?新八ィ?」

にっこりと嬉しそうに僕の顔を覗き込む。
…………そんな顔したって…

「僕は僕の物です…」

僕が言うと、ニヤリと笑った神楽ちゃんとがっくりと落ち込んだ沖田君が僕を挟んで睨み合う。

「ちょ、銀さん助けて下さいよっ!」

「んー?新八モテモテで良かったじゃねーか。」

のんびり様子を見ていたダメ上司がジャンプを読みながらニヤニヤ笑う。助けてくれる気全然無いし…

もしかして…僕はこれからこの2人にずっと付きまとわれるのかな…?
神楽ちゃんは良いけど、沖田君は…あれ?嫌じゃないかも…
でも…
僕を挟んだままの2人が、ひっそりと僕を引っ張り合う。
痛いよっ!!なんて馬鹿力だよ2人ともっ!!


ギリギリとにらみ合う2人を見ると、睨み合ったままにっこり笑う。

「新八はワタシが良いアルヨ!ねー?」

「新八は俺のになったんでィ!なー?」

何良い笑顔で睨み合ってるんだよ…
僕の前途は多難なようだ…


END


参萬打企画で杜夜さまにリク頂きました
『女の子×新八+沖田で、女の園に女装沖田乱入のギャグ系・・・ラストはお任せで。』
大変お待たせいたしましたぁぁぁ!!!
リクエストに沿っているか微妙な話ですが…
×と+がどっちにしていいか分かりませんが、一応神楽×新八+沖田です。
宜しければお納め下さい!

リクエスト有難う御座いました!!