すぐに家を出て通学路を駆け抜けると、少し行った所にパチ恵が見えた。
誰かと立ち話してるぞ…?茶髪の…男!?ありゃぁ総悟じゃねぇか!?
こっそり2人に近付いていくと、はにかんだ笑顔でパチ恵が総悟に微笑みかける。
…あんな笑顔、俺にも見せた事ないじゃねぇか…

アイツかァァァァァァァ!?パチ恵に手ェ出そうとしてるバカ男は…
って!あぁっ!!手ェ繋ぎやがった!!!!!!!!

…殺す…パチ恵に近付く男はみんな殺してやる…

足音を忍ばせて、後ろから2人に近付く。

「八恵、コイツか?手紙の相手は。」

「ひゃぁぁぁぁっ!?」

パチ恵がビクリと跳ねて飛退こうとすると、生意気にも総悟がパチ恵の肩を抱き寄せる。

「てっめ、俺のパチ恵に何しやがる!」

「残念でしたねぇ、坂本さん。パチ恵はさっき俺の彼女になったんでさぁ。」

「何ィ…?」

「十四郎お兄ちゃん!ビックリさせないでよっ、もう!」

ぱっ…パチ恵ェェェェェェェっ!総悟に抱き付くんじゃねぇ!

「とにかくパチ恵、ソイツは危ないから離れなさい。」

「や。」

「ほら、こっち来い。」

俺が手を広げて呼びかけても、総悟の方にぎゅーっとしがみつきやがる…
総悟のニヤニヤ笑いがムカつくぜ…

「ソイツはドSだから!サディスティック星から来た王子様だから!パチ恵、苛められるぞ?」

「そんな事無いもん。沖田君は私には優しいもん!」

あ!総悟のヤロウわざとらしくそっと抱きしめやがった!
パチ恵も頬染めてんじゃねぇよ!!

「パチ恵…騙されてるぞ…」

おっ、晋助良い所に!
いつの間にか2人に近付いていた晋助が、パチ恵の肩を掴んで自分の方に引き込もうとしたら、パチ恵は逆にもっとしがみつきやがった!
胸っ!胸が当たってるっ!!
総悟も頬染めてるんじゃねぇよ!ムカツクなぁ!!

「晋助お兄ちゃんのウソつきっ!私騙されてないもん!山崎君とか神楽ちゃんにはドSだもん!」

頑張るパチ恵を晋助が本気で引き剥がすと、パチ恵の目が潤む。

「…ひっくっ…お兄ちゃんの意地悪…」

泣いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

「ぱっ…パチ恵、お兄ちゃん達はお前の為を思ってだな…?」

「うえぇぇぇぇぇぇぇん…」

「ぱっ…パチ恵っ…ほら…アメちゃん…」

「なんで関西のおっちゃんーっ!?うえぇぇぇぇぇぇん…」

駄目だ…突っ込みながらも泣き止まねぇ…

「…近藤、俺ァ泣き落としするような女は嫌いだ。」

「ふっ…ふえぇん…沖田君…?」

不機嫌になった総悟が、冷たくパチ恵を見る。
そのまま別れちまえ!行け!!どSの本性見せやがれ!

「ふぅ…っ…うえっ…泣かないもん…」

パチ恵がぽろぽろと涙を流しながらも、一生懸命涙を止めようと頑張る。
畜生、可愛くてしゃーないだろ、コレっ!
隣でオロオロしていた晋助も、パチ恵を見たままぷるぷる震えてやがる…判るぜ、その気持ち…

「俺ァ笑ってるオメェが好きなんだぜ?こんな顔…見たくねぇよ…な?」

あーっ!あんにゃろう、指で涙を拭きやがった!!
何俺らの前でイチャイチャしてやがる!
顔を上げたパチ恵がにっこり笑って、総悟にきっ…キスしやがったぁ!!!

「やっぱり沖田君優しい…大好き。」

大好き…大好き…大好き……

あっ…あの言葉とあの笑顔は俺の…俺だけのモノだった筈なのに…
やっぱ、殺すしかないダロ…総悟…
俺が殺気全開で総悟を睨むと、晋助も殺気全開で総悟を睨んでいた。
ソレに気付いたパチ恵が、じろり、と俺らを睨む。

「お兄ちゃん達…何殺気出してるの…?沖田君に何かしたら私が許さないからっ!大っっっっっっっっっ嫌いっ!」

大嫌い…大嫌い…大嫌い…

ふっ…総悟は大好きで俺達は大嫌いかよ…
あ、駄目だ…思ったよりダメージでけぇ…
晋助も真っ白くなって、端の方がサラサラと崩れていやがる…

俺らが真っ白くなってる間に、パチ恵が真っ赤になって固まってた総悟と手を繋いで笑い合って学校に行ってしまう。

畜生…負けん…負けんぞ…
必ず総悟の本性を晒してパチ恵は取り戻してやる!
俺の方が絶対パチ恵に似合ってんだ!

すぐに判らせてやるぜ、待ってろよ…パチ恵…


END


シスターさま!三萬打企画にリク有難う御座いました!
何か…リクと、かけ離れていった気がするのですが…
土新高新は兄ズの妄想、と言う事で…

少しでも楽しんで頂けたら幸いです…