土方さんが送ってくれるなんて夢みたい!
それも、荷物まで持ってくれるなんて…なんだか、ふっ…夫婦みたい…なんて…えへへっ…
色々とお話しながら、万事屋までの道を歩いていると、前から山崎さんがやって来る。

「こんにちわ、山崎さん。」

「あ、新八君!こんにちわ〜、珍しいねぇ副長と一緒なんて。何処の親子かと思っちゃったよ〜」

山崎さんが、にこりと笑う。
…親子…?僕達親子に見えちゃうの…!?ちょっとショック…

「山崎テメっ!親子って程じゃねぇだろ!?せめて兄弟だろうが!ってかこういうのは普通、恋人か夫婦って言うもんだろ!?」

「えっ…?」

僕がビックリして土方さんの顔を見ると、土方さんがはっとして真っ赤になって慌てだす。
わ、こんな顔もするんだ…可愛い…!

「イヤ、おっ…俺は…ホラ、一般的に見てだな?兄弟ではあんまり買い物行かねぇだろ?だからな?イヤ、そんないやらしい意味じゃなくてだな?」

…そんなに言い訳しなくても…
僕は嬉しかったんだけどなぁ…やっぱり土方さんはそうじゃないんだ…変な事言って困ってる…

「…銀さんみたいですね…」

僕がふふふ、と笑うと、土方さんと、何故か山崎さんも身を乗り出す。

「なっ…万事屋がどうした!?」

「まさか、旦那も夫婦とか言ってるんじゃ…?」

「…?…はい、何か良く言ってますよ?万事屋ファミリーは坂田さん夫婦と娘だー!とか。僕をお母さんに仕立て上げたいんですよ!家事全部やらせるつもりなんですよ?きっとっ!!」

僕がちょっと怒りながら言うと、土方さんと山崎さんが俯く。

「…俺なら…俺ならんな事させねぇ…ちゃんと家事も手伝うぜ…?」

「俺だって!むしろ俺が全部やるよ?」

土方さんと山崎さんが力説する。
へぇ…意外と家庭的なんだ、2人とも。
土方さんが家事かぁ…あははっ、何か可愛いかも!良いなぁ…奥さんになる人…羨ましい…

「意外と家庭的なんですね、お2人とも。奥さんになる人幸せですよ?きっと。」

僕がクスクス笑っていると、2人が傷付いた目で僕を見る。
えっ…?僕何か変な事言ったかなぁ…?褒めたのに…
真選組の人達って分かんないや…
土方さんにそんな目で見られたら…僕も悲しくなるよ…
結構辛かったんですよ?この台詞言うの…



新八ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!なんて鈍いんだよコイツ!
今俺かなり勇気出したぜ?頑張ったぜ!?
ってか山崎…テメェ新八狙いか…?
俺が殺気を込めて山崎を睨むと、いつもと違って俺を真っ直ぐ見返して来やがる。
その目が『ヘタレ、アンタ告白なんて出来んだろー?俺はしますよ?お先に失礼〜』って目で。

イラッときた。かなりイラッときた。

ちくしょう…ここまではじっくり攻めてきたが、こんな所で山崎なんぞに先を越されて堪るか!
ジロリと山崎を牽制しつつ新八を見ると、なんだ…?何でそんなに悲しそうな顔を…

「オイ、新八…?」

あ…名前呼んじまった…

「土方さん…?今、僕の名前…」

「あー…おお…」

「良かった。土方さん僕の名前知らないのかと思ってましたよ…」

ふわりと…花が咲いたような笑顔…
ダメだ…ダメだ俺…止まれ…
理性の声なんて聞こえねェ…俺は両の腕で新八を囲んでしまった…
…やっぱ柔らけぇわ、新八…

「ひっ…土方さん…?」

「ちょっ…副長っ!何してんスか!?」

山崎が俺の腕を引くが、そんなもんに負けるか。

「好きだ…新八、好きだ…」

山崎がびくりとして固まる。
新八…新八は…?
俺の腕の中でふるふると震えて…

マズイ!嫌だったか…?

「土方さん…本当…?本当に…?」

ヤベェ!!泣いてやがる!!!!
でも…

「俺は本気だ。俺と…付き合って欲しい。」

嫌われるなら、とことん嫌われてやる…ここまで来たら、引き返せねぇ。

「…僕…僕、嬉しいです…僕も…僕もアナタが大好きです…土方さんっ!」

新八がそう言って、ぎゅっと俺に抱き付いてくる。
なっ…何だこの可愛さ!俺を殺す気か!?
イヤ、死ねるだろ、コレ。
コレは…OKなんだよな…?
もう1度ぎゅっと抱きしめると、痛いと言われたんで、そろりと抱きしめる。
俺の腕の中には確かなぬくもり。
あぁ…幸せだ…
このぬくもりを護っていこう…もう2度と離すもんか…

暫く新八の抱き心地を堪能してから、手を繋いで万事屋に向かう。
これなら親子には見えねぇだろ?
ラブラブな恋人にしか見えねぇよな?
新八は俺の恋人なんだから、息子とか弟なんて言わせねぇ!

途中、アイスを売ってる売店が有った。
新八に買ってやったら売店のおばちゃんが…

「あらー、仲良し兄弟ねー。弟君、優しいお兄ちゃんで良かったわねー?」

とか言いやがった…
俺達は、まだまだ前途多難なようだ…


END


参萬打企画でマドカさまにリク頂きました!
土新は今まで書いた事も無くそして多分この後もリク以外書く事は無いと思いますが…
…意外と楽しかったです!そんな自分にビックリです。
土方さんヘタレですみません!カッコ良い土方さんは他のサイト様でご堪能下さいませ…

こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです!
リクエスト有難う御座いました!!