「何で男のカッコなんてしてんでィ。ありきたりな所で女所帯だから危ないからー、とかですかィ?そんならオメェがんな事しなくても、姐さんが女のままでゴリラ並に強ェじゃねぇですかィ。ここいら辺でも噂になってやすぜ?もうすぐ都市伝説でさぁ。」
「…そうなんですか…?…イエ、女所帯で危ない、ってのも有るんですけど…ただ単に、父上が男の子が欲しかったんだそうで…」
新八が、遠い目をして溜息をつく。
「僕が産まれてスグに母上が亡くなって…もう男の子が生まれるなんて事が無くなったんで、僕を男の子として育てる事にしたんだそうです。」
「…親父さん、浮気する気は無かったんで?」
「…母上の事、すっごく愛してたんだと思います。」
寂しそうに笑う新八が儚げで、思わず抱きしめたくなっちまう…
「ま、そんな事知ったのは結構大きくなってからなんですけどね?小さい頃は、本当に男の子なんだって思ってましたもん。大きくなったらおちんちん生えてくる、って思ってましたもん。
「…へぇー…」
馬鹿だったのか…?新八…
「でも、だんだん大きくなってくると、自分は女の子なんだ、って分かってきて…僕もちゃんと自覚してるんですけどね…?今更女でしたー!なんて言えない雰囲気になってきて…ほら、周りの人達皆、僕の事男だと思ってるし…今更そんな事言ったら、ヤな雰囲気になるし…」
どんどん俯いていく新八に、ちょっとだけ罪悪感、ってモンが浮かんでくる。
「今迄よくバレてねェなぁ。旦那辺りは鼻が利くだろ。」
「…僕にそんな興味無いんじゃないですか?それか…黙っててくれてるか…」
「へぇー…ってオメェ、親衛隊やってる時は乳出してねェか?でも…アレ…胸板だった気が…」
それに、巻いてるサラシは乳の下からじゃぁねぇか…
「あぁ、あれプロテクターです。いつも着けてるんですよ?結構胸板有るように見えるでしょー?」
へへん、と笑う。
あぁ…いつもの新八だ…
「おー、結構鍛えてんなぁ、とか思ってた。」
「実はちょっとズルしてました。」
えへへ、と笑う顔も、いつもの新八だ…
何だ、何も変わんねェじゃねェか…
って待てよ?新八が寺門さんを好き、って事は…
「新八ィ…オメェ、百合の世界の住人か…?」
「えっ…?イヤイヤイヤイヤ、違いますよ?…お通ちゃんは、僕があんな女の子だったらなぁ、って憧れですから!そんなんじゃないですからっ!」
「ホントですかィ…?それにしちゃぁアノ部屋…」
「違いますってば!僕は女の子なんですから!…一応…男だ、って言ってますけど…沖田さん…引きました…?僕…男じゃなくて…」
「…は…?」
「だって沖田さんは…男の人が好きなんでしょう…?僕の事…好きだ、って言ってくれたんだもん…だから…もっと言いたくなかった…女だってバレたら…嫌われると思ったから…」
湯舟の中で新八が膝を抱く。
小さくなった新八が可愛くて、我慢ならねぇ。
俺の方を向かせてぎゅうと抱きしめる。
「ヒデぇ言われようでさァ。俺ァ別に男色家じゃぁねぇよ。たまたまオメェが男だったから…これでもオメェに告白すんのは、結構悩んだんだぜ?ぜってー断られて気色悪がられると覚悟したんですぜ?」
「え…っ…?」
「俺ァ女の方が好きでさァ。」
「えっ!?そうなんですかっ!?近藤さんとか土方さんとかと付き合ってたのかと…」
「…気色悪い事言わないで下せぇ…」
新八ァ俺をどんな目で見てたんでィ…
「えっと…じゃぁ…別れなくても…良いんですか…?」
「あったり前でィ!何で別れなきゃならねェんでィ!!むしろ結婚出来んじゃねぇか…アレ…?子供も出来る…?」
「…えーっと、それがですね…」
新八が、物凄く困った顔になる。
「僕…戸籍が男でして…」
「…は…?」
「イエ、父上が男で書類出しちゃいまして…あ、本名も新八ですんで…だからより一層バレなかったんですが…だから、結婚は書類上…」
「今すぐ訂正に行くぜィ。」
俺が新八の手を引いて湯舟を出ると、慌てた新八がぱたぱたと動く。
あ…全身がピンク色に染まってら…綺麗じゃねェか…
「…訂正は後で良いか。とりあえず、子供作るか。」
俺がニヤリと笑うと、今度は全身を真っ赤に染めた新八がギリっ、と睨む。
…と思った瞬間、俺ァ宙を舞っていた。
…鼻が痛ェ…
「えっ…エッチっ!」
あぁ…プロテクター着けてない分、力有んだ、新八…
壁に激突して湯舟に落ちた俺を、我に返った新八が引っぱり上げて抱きしめる。
「ごっ…ごめんなさい…っ!大丈夫ですかっ!?沖田さん!?」
「…大丈夫…じゃねぇかも…」
顔に当たるやわらけぇ膨らみにヤラれてフラフラでィ…
あ…鼻血…
「あぁぁぁぁぁぁ!?鼻血がっ!!きゅーきゅーしゃっ!きゅーきゅーしゃぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」
「イヤ新八、救急車はいらねぇ…」
なんで鼻血で救急車に運ばれなきゃぁいけねェんでィ…
さて、これから忙しくなりそうでさァ…
新八を嫁に貰うんでィ!
色々、手廻ししないとねェ…イヤ待てよ?やっぱりさっさと子供、こさえちまうか。
んじゃまず恥ずかしがり屋の新八を、口説き落とさねェとなァ…
へへっ、スンゲー楽しみでさァ!
END
参萬打企画で蝶々さまにリク頂きました!
土新か沖新と言う事だったので、沖新になりました!
実は女の子でした!な新八も書いてみたいお題の一つだったので、リクが来た瞬間、小さくガッツポーズしました。
裏へ裏へ行こうとする思考をなんとか表に縛り付けたら、こんな事になりました…
少しでも気に入って頂けたら嬉しいです!
蝶々さま、リク有難う御座いました!
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