「あっ…あの、九兵衛さん…」

「しぃーんぱちぃーっ!」

「沖田さんっ!」

声のした方を見ると、沖田さんが…はぁっ!?…なんか男の人3人に抱きつかれて、その人達を引きずったままこっちに向かって走って来る。
何?あの人達っ!!僕の沖田さんに何してくれてんのっ!?

「すいません九兵衛さん、ちょっと失礼…」

九兵衛さんの方を振り向くと、すっごい嫌そうな顔でチッ、と舌打ちをする。

「…あの役立たず…」

…えっ…?何この九兵衛さん…キャラ違うんですが…?

とにかく沖田さんから3人を剥がしたくて、走って行こうとするとすぐそこに沖田さんが来ていた。
それでも駆け寄って3人を引き剥がす…あれ…?この人達、柳生四天王の…

「若ァー!すみません、コイツ意外とヤル奴でして…」

「言い訳は後で聞く。」

…もしかして…沖田さんが来なかったのって、この人達のせい…?

「新八ィ、すいやせん!コイツ達意外としつこくてねぇ…遅れちまいやした。」

沖田さんが、キロリ、と後ろの人達を睨む。

「…九兵衛さん…どういう事ですか…?」

僕がにっこり笑って九兵衛さんを見ると、僕等の間に東城さんが割り込む。

「イエ、コレは私が画策した事で!若には何も…」

「どけ、東城。新八君、僕は君に僕の気持ちを伝えたかったんだ、どうしても。それには、この男が邪魔だったから…僕が皆に命令して足止めさせた。皆は僕の命令に従っただけだから、責めないで欲しい…」

…さっきまでの可愛い九兵衛さんとは打って変わって、なんて凛々しい…
女の子だけど、男らしいよ…!ちょっとクラっときそう…

いや俺が、いや私がと皆が庇い合ってる…
部下の皆さんにも慕われてるんだなぁ…でも…

「九兵衛さんは…すっごく可愛くて素敵な人だと思います。でも、僕は…沖田さんが好きなんです。沖田さんとずっと一緒に居たいんです。」

僕がそっと寄り添うと、沖田さんが僕の肩を抱く。

「新八君がその男を好きなのは知ってる…でも…僕も君の事好きなんだ!」

九兵衛さんが僕の前に駆け寄って来る。

「僕は、剣の腕もたつし浮気はしない!そこそこ経済力も有るし、妙ちゃんとも仲良くやっていける!おじい様も父上もあんな風に見えて優しいんだ!だから安心して嫁いで来てくれないかっ…?」

「イヤ、根本的に間違えてますからっ!僕は嫁ぎませんからっ!!」

九兵衛さんが真っ赤な顔でもじもじと僕を見る。
何だろう…?

「そっ…それに…それに…」

どうしたんだろ…?涙目になってきたよ…?九兵衛さん…

「若は女の子ですよ?何が不満なんですか!こんな美女はめったに居ませんよ?あ、おっぱいですか!?おっぱいですね!?そりゃぁ大きくはありませんが、形は良いですよ!こぅ…すっぽり手に納まりますから!」

力説していた東城さんが、又星になった。
そっ…そんなに言われたら、胸しか見れないよっ…だぁーっ!駄目だ!僕ぅっ!!

「あのですね、男とか女とか関係なくてですね?僕は沖田さんが好きなんです…九兵衛さんのお気持ちは嬉しいんですけれど…でも僕にはもう沖田さんが居ますから…」

「そんな…考えても貰えないのか…?」

寂しそうな目に見つめられると、流されそうだぁっ…!!

「あー、もう面倒くせぇ。俺らは愛し合ってんでィ。その目にしっかり刻み付けやがれ。」

沖田さんが僕をグイッと引き寄せて、スッと口付ける。
なっ…こんな皆の前でっ…!?
でも、いきなり僕の弱いトコばっかりついてくるから…力入んないよっ…
ぎゅっと縋ると、きつく抱きしめられる。
やっと唇を離してくれた時には、僕は支えて貰わないと立っていられなくなってて…ぐったりと沖田さんにもたれかかってしまった…

「…ばかぁ…こんな…皆の前でっ…」

「何でィ、立てねェぐれぇ感じてるクセに…」

恥ずかしくてぺしぺしと胸を叩くと、又ぎゅっと抱きしめられる。

「可愛過ぎでさぁ…このままどっかに連れ込みてェ…」

否定しないまま僕がぎゅっと掴まると、嬉しそうに笑った沖田さんが僕を抱き上げる。

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!若ァ!若も新八君をメロメロにして下さい!さぁ!ぐっと!ぐっと!!」

「むっ…無理だ!僕にはあんな事っ…あんな事っ…」

あ…九兵衛さん真っ赤で涙目だ…ずるずると後退ってく…

「沖田総悟!僕はまだ新八君を諦めたわけじゃないからなっ!新八君は、絶対僕が幸せにするんだ!!新八君、待っていてくれ!僕はもっともっと良い男になって帰って来るから!そっ…その時は、新八君をメロメロに…してみせるっ…!!」

…九兵衛さん…頑張り所、間違ってますよ…?
九兵衛さんの後に付いて柳生の皆さんが走り去って、公園には僕等2人だけが残る。

「…新八はモテモテだから、俺ァ心配ですぜ…?」

寂しそうな笑顔で僕を見る。
そんな顔…しないで…?

「沖田さんだってモテるから、僕心配ですっ!でも…僕は沖田さんだけが…好きですから…」

今度は僕から沖田さんにキスをする。
すると、僕を抱いたまま、沖田さんがにっこり笑って走り出す。

「おっ…沖田さん何処行くんですかっ!?降ろして下さいよっ!!」

「でーとでさァ、でーと。俺がどんだけ新八を好きか、判らせてやりまさぁ。」

笑顔が何か企んでるよっ!!やっ…嫌な予感しかしないんですが!!

…その後僕が何処に連れて行かれたかは、言いたくありません…
沖田さんなんかと別れて九兵衛さんにしとこうかな…

…ばかぁっ…


END


参萬打企画で虹色リンサさまにリク頂きました。
沖新九で三つ巴ギャグほのぼの…でしたが…
なってますでしょうか…?九ちゃんが居るだけで、ほのぼのになる気はしますが…
少しでも気に入って頂ければ幸いです!
リクエスト有難う御座いました!!