衝撃の入学式から1週間。
僕もそろそろ学校にもクラスにも馴染んできた。
桜散り逝く頃
馴染んでくると、だんだん分かってきたけど、この学校は『自由な校風』なのではなく、
皆が皆自由な人ばっかりなんだ…
理事長も校長も教頭も教職員も先輩方も今年の入学生も。
…まぁ、僕の姉上が同じ学年に居る事自体、自由だ。
姉上の名誉の為に言っておきますが、決して留年では無いですから!
家庭の事情で、今年同じ学年に入学したんですから!!
そんな事を考えながら見ると、今年の入学生の中には姉上よりも更に年上っぽい人もチラホラ居たりする。
そういう所も自由なんだなぁ…むしろ良い事だとは思うけどね。
「新八―!おはようアル!!」
グルグルメガネでピンクの髪も愛らしい一見美少女が、元気に挨拶してくる。
「おはよう、神楽ちゃん…」
彼女は留学生の神楽ちゃん。席が隣になったのをきっかけに(多分)友達になった。
「新八ィ―、今日のお弁当のオカズは何アルか?タコ様は入ってるカ?今日も昼休みには一緒に食べるアル!!」
…一見美少女とゆうのはそういう事だ。
彼女は、毎日僕のお弁当のおかずを奪いにやってくる。おかげで楽しい筈のお昼休みが、バイオレンスだ。
………もぅ諦めて、彼女の分もみこして作ってきてるケドね………
どうせ姉上の分と自分の分を作ってるし…もぅ少し多く作ったって…
僕が悲しい考えになっていると、後ろから声がかかる。
「おはよう、新八君。」
「あ、おはよう、山崎君。」
人の良さそうな笑顔で挨拶をくれたのは、同じ剣道部の山崎君だ。
クラスも部活も一緒になったんで、今一番仲良くしてくれている友達だ。
「新八君どうしたの?朝からなんだか浮かない顔してるね?」
「…神楽ちゃんが、今日も一緒にお弁当食べようって…」
「…あぁ…そっか…」
山崎君はそれだけ言っただけなのに分かってくれたようで、僕の肩をポンポン、と叩く。
彼には僕と近い何かを感じるよ…
「…ぅあ―――い、席について――――」
担任の坂田先生が教室に入ってくる。今日もダルそうだ。
山崎君に又後で、と目線を送って席に着く。
「部活が決まったヤツは、明日までにオレんとこまで入部届持ってくるように―――」
HRの連絡事項を伝えて、坂田先生が帰ってゆく。
さっきも言ったけど、僕は部活はもうとっくに決まって、すでに参加している。
実は僕の家は父が剣道場を営んでいる。小さな頃から竹刀を握ってきているんで、高校の部活も初めっから剣道部に決めていた。
そして、剣道部にはあの人も居た。
入学式の時の、桜の人。
その人は隣のクラスの人で、名前を沖田総悟さんと言った。
噂によると、今年のトップ入学らしい。
眉目秀麗、成績優秀、その上、剣の腕もピカイチだ。
世の中にはスゴイ人も居るもんだよなぁ…憧れちゃうよ。
折角同じ部活に入ったんだから、沖田君とお友達になれないかなぁ…
僕じゃちょっと近付き難い人だけど、きっと優しい人だと思うんだ。
あんな目をして桜を見ていた人だもの。
今日、勇気を出して話し掛けてみようかなぁ…
舞い上がって変な事言わないように気を付けよう!!
続く
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