自分の楽屋に戻ってバサバサと着替えていると、何だか視線を感じる…
きょろりと周りを見ると、沖田さんがじっと僕の方を見ていた。
「…あの…見られてると落ち着かないんですけど…」
「なんでィ、男同志じゃねェか。それとも何かィ?俺の事意識してんのかィ?」
ニヤリと悪そうに笑うけど…そんな顔もカッコ良い…
「そんな訳…ないですっ!」
僕が色々振り払うように、又バサバサと着替えを始めると、沖田さんがボソリと何か呟いた。
「え?何ですか?」
「後1分ー、早くしなせェ。」
「あーもうっ!はいっ!!」
どうせ沖田さんは大人で…しっかりしてて…仕事だから、僕の事大事にしてくれて…仕事だから、抱き締めてくれる…
意識してるのは、僕だけで…僕…だけで………
なんとか着替え終わって、衣装をかばんに詰めて持ち上げると、何かがポタリと落ちてくる。
えっ…?何…?
「…新八ィ…何泣いてんでさァ…メイク、落ちやすぜ…?」
「へっ…?僕…?」
「そうでィ、新八でさァ。寺門さんに抱き締められて、感動でもしやしたか…?」
そっと優しく触れられた指が、僕の涙を拭っていく…
そんな優しくしないで…仕事だけなら…優しくしないで…
優しすぎる指が悲しくて、更に涙がぽろぽろと零れてくる。
僕は…この人が好きだから…いつの間にか、本当に恋人になりたくなってたから…
「…優しくしないで下さい…僕は男ですから…大丈夫…ですっ…」
「そんなの関係ねェよ…俺ァ…オメェに泣かれっと弱いんでィ…」
そう言って、ぐい、と引き寄せられて、意外と逞しい胸に押し付けられる。
「あ…スーツがっ…」
「気にすんねィ。あ、でも鼻水は付けんなよ?」
「付けませんっ!!僕アイドルなんですから、鼻水なんて出ませんー!」
僕が叫ぶと、涙は止まった。
でも…ちょっとだけ…ちょっとだけ甘えても良いかな…?
そろり、と手を背中に回して抱きつくと、沖田さんがビクリと跳ねる。
…やっぱり嫌なんだ、こういう事するのは…
僕の事は、仕事の道具ぐらいにしか思って無いんだ…
そっと腕の力を弱めて離れようとすると、沖田さんが僕を抱き締める力が強くなる。
「新八ィ…そんな可愛い事したら、俺の良いように考えちまいやすぜ…?」
「沖田さん…?」
僕が顔を上げて見上げると、ひどく真剣な表情の沖田さんと目が合う。
…そんな顔されたら…僕も…勘違いそちゃうよっ…
「…好きなんでさァ…俺ァ、アンタに逢った時から、アンタの事が好きなんでさァ…」
お…きたさんが…僕を…?
そんな…まさか…
「僕…男ですよ…?」
「気持ち悪ィかィ?俺にとってはそんな事ァ関係無いんでさァ。俺ァ…」
僕の目から、又涙が流れる。
と、沖田さんがビクリと体を離して腕を弛める。
あ…
「…すまねェ…」
「違うんですっ!僕…嬉しくって…だって…僕も…僕も沖田さんの事好きなんですっ!」
僕がぎゅうっと抱きつくと、緩みかけた腕が、又僕に巻きつく。
「新八ィ…本当に…?」
「本当ですっ!僕…沖田さんにとって僕はただの仕事の道具なのかって思って…悲しくて…」
「…泣いたのかィ…?」
僕がコクリと頷くと、ぎゅうと腕の中に囲われる。
「そんな事、有る訳無いだろィ…俺ァ…一目惚れ…だったんでィ…だから、男だって判ってもなんとかウチに入れるように近藤さんに言ったんでィ。すげぇ面倒くせぇマネージャーだって、やったんだぜ?少しでもオメェと一緒に居てェから…」
顔を上げると、うっすらと赤くなった頬で、優しく微笑んで僕を見て…
「大好きです…沖田さん…」
僕の一世一代の告白は、沖田さんの唇に吸い取られてしまった。
「…これから忙しくなりやすねェ…どうやって近藤さんを丸め込むか…」
「えぇっ!?丸め込むの!?なんで!?だって僕はもうアイドルやらなくても…」
「ここまで来たんだ、頂点まで登りつめやしょうぜ?それに、新を売り出した時に掛かった経費、まだ回収出来てやせんぜ?」
綺麗な笑顔でウインクをきめられたら、僕は頷くしか無くて…
アイドルの頂点なんて、そんな簡単に登れるような所じゃないと思うけど…
でも、僕には最強の恋人が付いてるんだから大丈夫!
沖田さんが一緒に居れば、僕は何でも出来るんだ。
きらきらひかるステージの上で、歌って踊ってジャンプして。
皆の応援の声が届くから。
大好きなあの人が見守っててくれるから。
だから、今日も頑張りますっ!
END
七萬打企画でミズタマさまにリク頂きました。
げっ…芸能界ってどんなんですかね…?ワタシのイメージはこんなんでした。
アイドルなんだかどうなんだか分からない感じの新八ですが…
少しでも気に入っていただければ幸いです。
リクエスト有難う御座いました!!
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