その日から、タイムセールを狙っても、万事屋に行っても、道場を覗いても、俺が新八に逢う事は無かった…
これは…避けられてんのかねェ…?
新八にとって俺は、ただ気持ち悪いだけの存在になっちまったのかねェ…?
山崎がタイムセールに行った時は、新八に会った、って言ってたし。
土方さんの見廻りの時は、向こうから声を掛けて来てお疲れ様です、と言ったらしい。
近藤さんが姐さんに逢いに行った時も、ぼんやりとお茶を飲んでた、って言うし…
こんなに俺だけ、新八に逢えねェのは、おかしい。
そこまで嫌われたんなら…なら…俺ァすっぱりと諦めるしか無いのかねェ…
汚い物を見るような目で見られたりしたら…俺は駄目になるかもしれねェ…
だから、見廻りは出来るだけタイムセールの時間をずらしてやった。
万事屋にも、近藤さんの回収にも行かないようにした。
そうしたら、新八に逢う事は全く無くなって、姿を見かける事も無くなった。
でもやっぱり、ココロにぽっかりと穴が空いたみたいで…何もする気が起きやしねェ。
だから、だらだらと屯所の自室で昼寝をしていた。
だけど、目を瞑ると新八の笑う顔や、真っ赤になって怒る顔がチラついて眠れやしねェ…
そのうち、ドカドカと廊下を歩く音がする。
…あぁ…又土方か…そろそろ見廻りの時間ですかねェ…
むくりと起き上がって上着を羽織ると、
「総悟!」
と怒鳴り声が聞こえる。
「あー、はいはい、働きやすよ…」
「…客だ。」
「へ?俺にですかィ?」
あんまり意外な話だったんで、俺がぽかん、とその場に立ちつくすと、土方が振り返って誰かを促す。
「ほら、居たぞ。」
俺がサボってたってェのに、小言の一つも無いなんざ、なんの風の吹きまわしでィ…?
気味悪く思いながらも、一応立ちあがって客を迎えると、土方の後ろから新八が現れた。
「土方さんすみません、有難う御座います。」
新八が丁寧にお辞儀をすると、顔を赤らめた土方が帰っていく。
…俺に一体…なんの用なんでィ…?
あぁ…はっきり振られんのか…覚悟…決めやすか…
「新八ィ…どうかしたんで?まぁ座りなせェ。」
俺が唯一部屋に有る座布団を敷いて、ポットに汲んできてあったお茶を湯のみに注いで差し出すと、新八がそこに座ってお茶を飲む。
…言いずれェんだろうなァ…最後ぐれェは…男見せやすか…
「…新八ィ…俺ァ覚悟決めやしたぜィ…?何言われても耐えてみせやすから…早くすっきりしなせぇ…」
真っ直ぐ新八を見て俺がそう言うと、新八はビックリ顔で俺を見る。
「えっ…?沖田さん…何を言って…?」
「…最後ぐれェ男見せようと思ったんだけどねェ…でも、これ以上は俺からは言えねェや…ヘタレですまねェ…」
ははっ、と精一杯笑って見せるけど…俺はちゃんと笑えてんのかねェ…?
そんな俺を見た新八の顔が、くしゃりと歪む。
「そんな顔…しないで下さい…僕だって…覚悟してここに来たんですから…大体、何で最近顔も見せてくれないんですかっ!?そのせいで…僕…」
「新八こそ…そんな顔しねェで下せェ…俺だって色々考えたんですぜ?新八が本気で嫌がってんなら…俺ァツラ見せねェ方が良いんじゃないかって…」
俺がそう言うと、新八がギッ、と俺を睨む。
「そうじゃありませんっ!僕は…こんな事一生言うつもり無かったのに…只の幼馴染の方が良いって…その方がお互い幸せだって思ってたのに…アンタが全然顔見せないからっ…寂しくって…ずっと酷い事言ったから嫌われたんじゃないかって辛くって…」
「新八ィ…?何言ってんでィ…それじゃまるで…新八が俺の事好きみたいじゃねェか…」
「そうですよっ!僕はアンタの事好きなんですよっ!でも…僕ら男同士だから、そんなのおかしいって…おかしいって思ってたのにアンタは好きだ好きだって僕の気持をかき乱すし…それなのに、ある日突然逢えなくなったら…そんなの僕の気持ち、爆発するに決まってるじゃないですかっ!」
そう、新八が一気に言って、目に一杯涙を溜めて俺を睨みつける。
「…なんでィ…俺ら両想いだったんじゃねェか…じゃぁ何も問題無かったんじゃねぇか…」
嬉しくって緩みっぱなしの顔のまま、一歩二歩と近付くと、新八がズルズルと後退する。
そのまま歩くスピードを上げて、新八を両の腕でがっちりと抱き締めると、ビクリとした後動かなくなる。
「なぁ、新八ィ…俺ァ好きなヤツと一緒に居れんのが一番の幸せなんだぜ…?オメェは違うのかィ…?」
「それはっ…!…でも…ちゃんとお嫁さん貰って…子供も出来て…その方が、ミツバお姉さんも喜ぶだろうし…」
「姉ちゃんは新八が嫁に来るの、楽しみにしてるぜ?」
「そんなっ!子供の頃の話でしょっ!?」
「いや、新八に再会した後に嫁にする、って言ったら楽しみね、って…」
「ミツバお姉さん…」
新八が遠い目をしてははは…と笑う。
そんなこたァどうでも良いんでィ。
「そんな事より、新八ィ、オメェはどうなんでィ…?俺が他の女、嫁に貰って、ガキこさえても平気なのかィ…?」
「…そんなの…ヤダ…」
泣きそうな目で俺を見上げるのは…可愛過ぎておかしくなりそうでィ…
「だろィ?俺ァ新八が嫁なんざもらったら、暗殺しちまうぜ?」
「やっ!ちょっ…!?駄目ですっ!!」
「な?だから新八が俺の所に嫁に来たら全てが丸く納まるんでィ。」
俺が真面目な顔で言うと、新八がクスリと笑う。
「もぅ、仕方ない人だなぁ…しょうがないんで、僕はアンタの所にお嫁に行きますよ…」
ふふっ、と笑った顔は、腰が砕けそうにならァ…
そのまま引き寄せて唇を落とすと、寸前で新八が囁く。
「本当は…僕もそーちゃんが初恋なんですよ?」
「えっ…?しんぱ…」
ちょっと背伸びした新八から軽くキスされて、お返しとばかりに新八の唇に咬みつくと、ばしーん!と襖が開く。
「ちょっとドS王子、俺の新ちゃんに何してんの!?」
「総ォ悟ォォォォォ!お前より俺の方が新八の事好きだァァァァァァ!!」
「隊長!あんたみたいなモテ男は絶対浮気する!!新八君には地味仲間の俺の方が似あってるんスよ!!!」
新八を狙ってた3人が、鬼の形相でツカツカと俺達に近付いてくる。
「そーちゃん、逃げますよ?」
うふふ、と楽しそうな新八が、俺の手を引いて走りだす。
この先中々大変そうだけど、新八が味方なら俺ァ何でも出来るんでさァ!
とりあえずは、このしつこいおっさん3人を、なんとか黙らせてみましょうかねェ。
END
七萬打企画で由貴さまにリク頂きました。
すんまっせん!!総受けっぽいを飛ばして書いてたんで何だかダラダラ長くなってしまいましたァァァァァ!
少しでも…楽しんで頂けたら…幸いです!!
リクエスト有難う御座いました!!
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