それからやや暫く画面の新八と話をしていると、近藤さんが追加の書類を持って執務室に現れる。
やっべ…

「トシー、この書類も…お?」

慌てて隠したのに近藤さんにはバッチリ見られていたようで、ニヤリと笑われる。

「イヤ!これは総悟の…」

「トシもやってたのか?『ラブチョリス+』俺もお妙さんと常に一緒に居たくてな!総悟の奴なんか、新八くんと友達になりたいのか新八くんによく似た男の子と話してたぞ?でも、トシはまだ空間には来てないみたいだな。早くこの高みに登ってこい。」

スゲェ良い笑顔で親指立ててっけど…
空間…?ってなぁ、何だ…?
近藤さんに詳しく聞いてみると、その空間に入るとゲームの中の恋人が現実世界に飛び出してくるんだそうだ。
…マジでか…!?そんな事が有る訳…
イヤ、総悟がおかしかったのは、そのせいか…

すぐに近藤さんが書類を置いて行ってしまったので、仕事を片付けながらもずっと新八と話し続ける。
早く…早く出て来い新八…



なんとか書類仕事を片付けて、いつもの時間に間に合うように巡回に出る。
やっぱり本物の新八の笑顔を見てぇから。

…でも、ゲームの新八も連れて町に出る。

『なんだか…デート…みたいですね…』

えへへ、と笑う姿は犯罪的だろ!?
可愛くて可愛くて、この手で抱きしめたくなる。
ちょっと鼻血を噴きそうになって、上を向いて首の後ろを叩きながら歩いていると誰かが俺にぶつかってきた。
…何処の命知らずだ…?
ギロリ、と睨んでやると、それは…

「どぅわァァァァァ!ひっ…土方さんっ!?すっ…すんまっせん!すんまっせん!!すんまっせェェェェェェェェェん!!!」

ペコペコと青い顔で頭を下げる新八…そうか…コレが飛び出て来た新八…
凄ぇリアルだな…

「待ってたぜ、新八…」

「へ…?」

すぐに抱きしめてやると、新八が滅茶苦茶に暴れ出す。
何だ…?ツンデレか?
さっきまではデートみたい、なんて可愛い事言ってたじゃねぇか。

「ギャァァァァァァァ!なっ…何するんですかァァァァァァァァァ!?」

「照れる事ねぇだろ…もしかして、ツンデレか?」

「意味分かんねぇよ!土方さんアンタ頭大丈夫ですか!?」

「勿論だ。オマエだって待ってたんだろ…?」

そっと腕の力を緩めると、鼻がもげそうに痛んだ後俺は空を飛んでいた。
な…にが…起こった…?
ドスン、と地面に叩きつけられて背中に痛みがはしる。
え…?

呆然と空を見上げてると、ザッザッと足音がする。
…コレは…

「土方さん、アレは本物の新八ですぜ?」

しゃがみ込んだ総悟が、俺のポケットからゲーム機を取り出す。
あ…しんぱち…

『総悟さん!もう、ドコ行ってたんですか?土方さんをからかってるのにも飽きちゃいましたよ!』

…俺は頭でも打ったのか…?
総悟の腕に絡みつく新八が見える…
悪戯っ子な笑顔も可愛い…
と思ってたら新八が二人に増えた。

「あ!ちょっと沖田さん!!アンタんトコのトップ達は何なんですかっ!?ゴリラが大人しくなったと思ったら今度はマヨラーが暴走してるじゃないですか!!」

「あー…すいやせん…」

ポリポリと頭をかく総悟に新八が詰め寄ってやがる…
近ぇんだよ…ニヤケんな総悟…

「もう、迷惑ですから鎖にでも繋いでおいて下さいよ!アンタそういうの得意でしょうが。」

ペッ、と唾でも吐き捨てる勢いで新八が俺を睨んで去っていく…え…?

「土方さーん、アンタもう良い大人なんですからゲームと現実の区別ぐらい付けた方が良いですぜ?」

物凄ぇドヤ顔で俺を見た総悟が、すぐに新八を追って立ち去っていく。
頭を上げて目線で二人を追うと、何か言って怒られた総悟が鼻フックを避けて更に新八を怒らせてた。
仲良いじゃねぇか…でもガキだな。アイツは俺の敵なんかじゃねぇ。

ゆっくりと起き上がって、煙草に火を付ける。
苦い煙を吐き出すと、振動で背中が痛い。
それでも、俺は新八を見つめちまう。
欲しく思っちまう。


すっくと立ち上がって、何事も無かったように巡回の続きを始める。
取り敢えず、俺は巡回の帰りにゲームショップに寄って帰ろうと思いました。


END