僕が合鍵で部屋に入ろうとすると、ガチャリと戸が開いて、大好きな笑顔が現れる。
「新八くん遅かったねィ。」
「沖田君こそ。もう用事終わったの?」
「おう、意外と早く終わりやした。」
グイグイと手を引かれて部屋に入って行くと、卓袱台の前には綺麗な座布団が置いてあって、僕はソコに座らされる。
「沖田君…?」
「今日は俺が晩飯作ってやりまさァ。新八くんはテレビでも観てなせェ。」
そう言って沖田君はさっさと台所に行ってしまう。
既にご飯も炊いてあったみたいで、炊飯器からはシューシューと音がしていた。
仕方ないんでぼーっとテレビを観ていると、凄く良い匂いが漂ってくる…あ…お味噌汁も…
「新八くんお待たせしやした!ほい、俺特製の肉じゃがでィ!」
「わ…普通に美味しそう…沖田君いつの間に…?」
「なんでィ、新八くん初めてココに来た時教えてくれたじゃねェですかィ。」
プーッと膨れる顔は可愛いけど、そんなの1回だけだし。
その後沖田君が作ってる所観た事無いし。
「冷めない内に喰いやしょうぜ。」
あっと言う間に卓袱台に料理を置いていき、いつの間にか僕は箸まで持たされていた。
「…どうですかィ…?」
沖田君が不安そうに僕を伺っているんで、慌ててぱくりと一口頂く…
「美味しい!」
その肉じゃがは僕が作るより全然美味しいもので…すぐに2口3口と箸が進む。
「良かったでさァ!新八くんのより全然上手く出来ねェから心配だったんでィ。」
ニコニコ笑いながら沖田君もパクパクと食べていく。
誕生日の事は知られてないみたいだけど、こんな美味しい料理と全開の沖田君の笑顔が貰えたからそれで良いや。
こんな幸せを貰ったんだから、十分過ぎるよ。
◆
晩飯も終わって、皿洗いも俺が全部やっちまう。
さて…ネタばらしするかィ。
冷蔵庫にしまってあったケーキを持って、新八くんの居る居間に戻る。
「あ、沖田く…」
「新八ィ、ハッピーバースデー!」
「え…?」
目をまんまるに見開く新八くんは…イヤ、新八は可愛い。
ケーキの箱を開いて、ちゅうと頬っぺたにキスすると、新八がぽろぽろと涙を流す。
「沖田くん…知ってたんだ…?」
「おう、山崎に聞けば一発でしたぜ?でもまぁ、なんか悔しかったんでサプライズ、ってやつでィ。」
「…びっくりしました…でも…有難う…」
泣き笑いになった新八の前で、ゆっくりとローソクに火をつけていく。
準備が出来たら部屋の電気を消して、そして、ポン、と背中を叩いて促すと、新八はローソクの火を一気に消した。
「誕生日、おめでとうございやす。」
「…ありがとう…凄く嬉しい…」
凄く綺麗な笑顔の新八をすぐにでも押し倒したくなったけど、なんとか我慢した。
ケーキを切り分けて腹いっぱい喰った後、いよいよ俺をプレゼントだ。
そっと新八の肩に手を回して顔を近づけていく。
「…新八ィ…リクエスト貰ってたプレゼントやりまさァ…思う存分俺を堪能しなせェ。」
そう言ってキスして押し倒そうとすると、何故か新八が俺を押し返してくる。
なんででィ!?ここで拒否なんておかしいでさァ!!
取り敢えず1回唇を離して、ジッと新八を見る。
「新八ィ…なんで拒否なんですかィ…?」
「え…?だって、沖田君をくれるって…」
「だから、俺のちん…」
「何をハッキリ言う気だ!?違うだろ!?僕が、アンタを貰うんだろ!?」
「…新八が、俺を…?………まさか、俺にツッコむつもりですかィ…?」
「…それ以外なんだと…?」
「それはねェ。反対はねェ。俺の尻は出す専用。」
「何でだよっ!くれるって言ったじゃ…」
「あげますぜ。気絶するまで俺の愛。」
間近で、にやん、と笑ってやると、新八の顔が真っ赤に染まる。
「…仕方ないんで貰ってあげます…総悟の愛…」
…そんな、いきなり呼び捨てなんざ反則でさァ…
恥ずかしながら顔を赤く染めたまま、俺達は誕生日プレゼントをじゅうにぶんに堪能した。
END
→