それからの僕は大忙しで。
折角の沖田さんのお誘いに遅れては大変だから、買い物から帰ってすぐに夕飯の支度をして、からんでくる2人を無視して万事屋を後にした。
家のご飯も大急ぎで作って、味も分からないまま、かっこんだ。
それからお風呂に入って、違いは分からないかもしれないけど一張羅に着替えた。
そうして真選組屯所の前に着いた頃には19時5分前。
門の所にぼんやりと立っている沖田さんを見付けて大慌てで駆け寄った。
「すっ…すみません沖田さんっ!お待たせしましたか!?」
「いんや。さ、行きやすぜ。」
そう言って笑った沖田さんにぎゅうと手を掴まれて中に引き入れられる。
わぁっ!手、繋いじゃった…!!
ドキドキと脈打つ心臓を、なんとか落ち着かせている間に着いた所は大広間で。
そこではもう既に宴会は大盛り上がりで、皆さん良い感じで出来あがっていた。
「えっと…19時からだったんじゃないんですか…?」
「お前さんを紛れ込ませようと思ってたからねィ、ちょっと遅めの参加でさァ。」
「えぇっ!?それじゃ沖田さんあんまり呑めないんじゃ…?」
「そんな事ァありやせん。それに新八くんの為だから平気でさァ。気にすんねィ。」
にこりと笑う顔がとても優しいもので…
そんな事言われたら…本当に期待してしまうよ…
「ほい、座って呑みなせェ…っと、飯は?」
「あ、食べてきました。」
「じゃぁ大丈夫だな。ガンガン…と言ってやりてェけど、気を付けろよ?ゆっくり呑みなせェ。」
いつの間にか、2個のコップと一升瓶を抱えて沖田さんが僕を適当な場所に座らせた。
渡されたコップに並々と日本酒を注いでくれる。
「コイツは俺のお勧めでさァ。甘口なんで新八くんでも呑み易いと思いやす。」
自慢気にドン、と一升瓶を傍らに置いて沖田さんがお酒を一気に飲み干す。
『越の塩梅』…へぇ、お酒って色々種類が有るのか…
折角なんでちびりとお酒を呑んでみる。言われたとおり甘いや…美味しい。
「美味しいです!沖田さん、お酒詳しいんですか?」
「まぁねィ。日本酒は好きなんで、色々呑んでる内に自然と詳しくなったんでさァ。やっぱり旨い酒呑みてェだろ?」
照れたように微笑む顔は、幸せそうで嬉しそうで凄く可愛い!
僕がコクコクと頷くと、もっと嬉しそうに笑ってくれる。
暫く2人でお酒を飲みながら話をしていると、近くに居た隊士の方達が僕らに話しかけてきてくれた。
皆楽しそうで、普段は怖そうな方達も、話してみるととても良い人だったりした。
お酒の力も有ってか、酷く楽しくて色んな方と話をしているうちに、気が付くと沖田さんが居なくなっていた。
え…?そんな…
「おきたしゃん…?おきたしゃんどこれすかぁ…?」
泣きそうになりながらキョロキョロと辺りを見回していると、近くに居た方が教えてくれる。
そこには、一番上座の方で全裸になっている近藤さんの横で、一升瓶を抱えた沖田さんが転がっていた。
すぐに駆け寄りたかったけど、ふにゃふにゃと笑っている幸せそうな沖田さんが他所の人みたいで近寄る事が出来なかった。
あんな顔…するんだ…
酷く悲しくなって俯いてしまった僕は、残っていたお酒をぐいっと一気にあおる。
かぁーっと喉が焼けつくようで、ここに僕が居るのは場違いなんじゃないかって思ってしまう。
…もう帰ろうかな…
「新八君ー!呑んでるかぁー?」
さっきまで話をさせてもらってたハゲの隊長さん…原田さんというらしい…が僕のコップにお酒を足してくれる。
「あ…有難う御座いましゅ…」
僕がお礼を言って一口呑むと、原田さんがニコニコ笑いながらボロボロと涙を流す!?
「なっ…はらだしゃん!?」
「総悟になぁ…友達が出来るなんて…こんな嬉しい事は無いよ、新八君!」
原田さんはおいおいと男泣きしながら僕の肩をバンバンと叩いてくる。
これは泣き上戸というヤツなのか…?
「ホントになぁ!日本酒と近藤さんが居れば良い、何て言ってたアイツがなぁ!友達を連れてくるなんて夢じゃねぇか?」
…おきたさん…そんなに友達居なかったのか…
「あの、おきたしゃんは日本酒と近藤しゃんがすきなんれすか?」
「そう、仕様がねぇだろ?あいつ…でも!新八君を連れて来たんだからな!俺は嬉しい!これからも総悟を宜しくなぁ!」
上機嫌で何回も何回も総悟を宜しく、って言われる。
それを聞いていた周りの隊士の方々も、口々に宜しくって言われるとなんだか幸せな気分になってくる。
沖田さんは皆さんに好かれているんだなぁ、って思うと嬉しくて…
僕が傍に居て良いんだと思うと嬉しくて。
日本酒と近藤さんの次で良いから…僕も沖田さんの好きなものに入れるように頑張ろう!
そう思ってくれるようになったら…きっと幸せすぎて倒れてしまうかも…
その後の僕は、皆さんと美味しくお酒を頂いて、いつの間にか、そのままそこで眠ってしまった…
「おーい新八くん、こんな所で寝てっと風邪ひきますぜー?」
「…ねむいれしゅ…」
「仕方ねェなァ…んじゃぁ俺の部屋に来なせェ。布団敷いてやっからこんな所で寝てんじゃねェや。」
「んぅ…おきたしゃん…あのね…」
「なんでィ?」
「にほんしゅとこんどーしゃんのあとれいいから、ぼくのこと…しゅきになってくらさい…」
「…!?新八くん起きて…ねェのか…誰に何聞いたか知りやせんけどねィ…俺ん中の一番は、とっくのとうに新八くんなんですぜ?早く気付いて下せェ。」
夢の中の沖田さんは、いつもよりもっと優しい…幸せ…だなぁ…
柔らかい何かが僕のほっぺたに当たって、ふわりと浮かんだ気がしてゆらゆらと揺れる。
その振動が気持ち良くて、僕は深い眠りに落ちた…
「大っ好きなんですぜ、新八くん?日本酒よりも、近藤さんよりも、アンタが一番なんでさァ。目ェ覚ましたら告ってやるから覚悟しやがれ。」
END
のっといぇっと/naminorikakigoori
夏コミ行き帰りの飛行機の中でヘビーに聞いたアキバな彼女達の唄リスペクト
すっげ可愛いよね!!
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