沖田さんが『新八くん』って呼んでくれた記念すべき日の次の日。
その日は珍しく町で出逢った沖田さんは1人で…いつもなら緊張しない方の土方さんに声を掛けてるんだけど…思い切って沖田さんに直接声を掛けた。

「沖田さんこんにちわ!今日は1人なんですか?土方さん一緒じゃないなんて珍しいですね。」

「おー、しっ…新八くん。そっちこそダンナは一緒じゃないんですかィ?」

「はい。あのぐうたらが買い物を手伝ってくれるのなんて、甘味をたかる時だけです。」

あはは、と笑いながら言ってしまったけど…
沖田さん…怒っちゃうかな…?

そっと下から顔を覗き見ると、頬を染めてくすくすと笑ってた…ホッ…

「違いねェ…あの人ァ仕方ねェなァ…」

…なんだよソレ…
可愛い顔は銀さんのせいなのかよ…

「そうなんですよね。あーあ、僕の上司も土方さんみたいに格好良くてちゃんと仕事してくれる優しい人だったら良かったのになー!」

僕が言うと、沖田さんが恐い顔で僕を睨む。

…なんだよ…
なんだよなんだよなんだよっ!

僕は本当の事言っただけじゃんか!
恋人…なら良いのかもしれないけど!上司としてはあのマダオ、最悪なんだからな!!
…だからと言って、僕が万事屋を離れるなんて事は有り得ないんだけどさ…

「新八くん趣味悪ィでさァ。」

「…沖田さんこそ…あんなマダオの何処が良いんですか…?」

「ダンナは強ェしアレで意外と優しいトコあるし、それに結構な色男じゃねェですか…土方なんぞより、何倍も良いや!」

………沖田さんの口から直接聞くと厳しいなぁ…
本当にそうだったんだ…銀さんと…あぁぁ!それ以上言えない!!
どうしよう…僕泣きそうだよ…

「そんな事無いですっ!土方さんは格好良いです!!一緒に買い物行ってくれたりとか優しいし…すまいるに行ったらモテモテのイケメンじゃないですか!!イザという時しか煌めかないマダオなんかより、100倍素敵ですっ!!」

僕がなんとか叫ぶと、沖田さんが泣きそうな顔になる。
泣くほど悔しいんだ…銀さんの悪口言われて…
僕は…もう………


「ん?新八と総悟?」
「あれ?沖田君と新八じゃん。やったね沖田く…」

丁度話題の中心だった2人が反対方向から現れるなんて、これ何の奇蹟!?
いつもなら銀さんの方に行くけれど、今日ばっかりは僕にそれは出来ない。
今銀さんの傍に行ったら絶対鼻フックお見舞いしちゃうよ…

「うわーん!土方さんー!!」
「ダンナー!!俺もう駄目でさァ!!!」

僕が土方さんにギュウっと抱き付くのと同時に沖田さんは銀さんに泣き付いたみたい。

「「えっ!?ちょ…」」

2人とも慌ててるみたいだけど、すみません土方さん、ちょっとだけ僕の手を塞いでおいて下さい。
じゃないと…マジで銀さんの事、ぶっ飛ばしそうだから…
沖田さんが銀さんに抱き付いてるとこなんて…我慢出来ない…!

「ダンナぁー!新八くん、土方と付き合ってたみたいなんでさァー!俺もう生きていけねェ!!」

「えぇっ!いつの間にウチの新ちゃんに手ぇ出したんだ…殺すぞ!!」

…あれ…?
話がおかしな事になってない…?
僕が体を起こして土方さんを突き飛ばすと、何故か固まってた土方さんがそのまま倒れた。

…なんかすいまっせーん!
いつもなら助け起こすんだけど、でも今はそんな余裕は無いです。

「あの…えっと僕土方さんとお付き合いなんてしてませんけど…有り得ないでしょ、瞳孔マヨラーですよ?それより沖田さんと銀さんの方が…こっ…恋人…ぅぐ…同士…なんですよね…?」

確かめる為でもそんな事言いたくないけど!
でもソコははっきりさせておかなくっちゃ。

「…新ちゃん…おっそろしい事言わないの…」

「え…?俺がダンナと…ですかィ…?」

きょとん、と僕を見る涙目の沖田さんとかどんだけ破壊力有るんだよ!?
何この人僕をどうしたいの!?

でも…この反応は、僕の思いすごしだったって事…?

思いっきりホウ、と溜息を吐くと、ハッとした沖田さんが恐る恐る銀さんを見る。
…なんだ…?

「じゃぁまさか…新八くん実はダンナと付き合って…」

「ねぇよ!!僕はどんだけ趣味悪いんですかっ!?って…まさか沖田さん、本当は土方さんと…」

「テメェのソレは節穴か?使えないんならメガネ叩き割ってやろうか?」

すっかり可愛らしさを消し去った沖田さんが、僕にガンを飛ばすように顔を近付けてくるけど…

わ…綺麗…
こんな距離で見たの初めて………


って近いィィィ!!


僕が凄いスピードで飛び退ったのと、同じくらいのスピードで沖田さんが飛び退ったのは同時で。
僕らはお互い真っ赤な顔で相手の顔を見つめていた。

…お互い真っ赤…?

え…?

まさか…

そんな都合の良い事…


でも…


「あの…沖田さん…」
「あ…新八くん…」

「俺は新八くんの事好きなんですが、新八くんは…」
「僕は沖田さんの事好きなんですが、沖田さんは…」


同時に告白して、同時に答え貰っちゃった。
マジ…でか…?
え!?
ホントに!?
僕、沖田さんと両想い…?

僕がふにゃりと笑うと、沖田さんもふわりと笑いかけてくれた。
…凄く…幸せ…


「…今日はタイムサービス無いんですかィ…?」

沖田さんが、そっと僕の手を握る。

「…勿論有りますよ。一緒に行ってくれますか?」

だから僕も、そっとその手を握り返した。

「おう、これから毎日お供しまさァ。」

「はい、毎日お願いします。」


大好きな人と想いが通じるって凄く嬉しくて幸せなんだ!
おかしな誤解して色々悲しくなっちゃったけど…でも今僕は最高に幸せです!!




「おーい、多串君生きてるー?」

「し…んぱ………そぉーうぅーごぉぉぉぉぉー」

「すんまっせーん!!」

「部下の初恋が実ったんでィ!祝えよ土方。」



復活を果たした鬼の形相の土方さんから、沖田さんと一緒に逃げる為に今日のタイムセールには行けなくなったけど。
明日も明後日もその次も、これからはタイムセールには沖田さんが一緒に行ってくれるんだから、今日ぐらいは行けなくても良いや。
だから、今は掴まれた大好きな人の手を取って、一緒に逃げまわろうと思いました。


END