ほわいとでい
沖田さんに告白して1ヶ月、今日はほわいとでぃです。
1週間前ぐらいから沖田さんはそわそわしてて、何か企んでいるみたいです…
あからさまなんですけど…バレないようにこっそりやってるみたいなんで、気付かないフリしてあげる事にしました。
「新八君、明日の晩は空けといて下せぇ。俺も早番にしてもらいやしたんで、飯でも食いに行きやしょう!」
遂に昨日沖田さんがそう言ってきたんで、ビックリしたフリをして、はいと返事をしました。
えへへ…何を企んでくれたのかな…?楽しみです!
仕事を上がって外に出ると、普段着に着替えた沖田さんが迎えに来てくれてて、
「お疲れさんです。」
と、言ってくれました。
僕は慌てて階段を降りて、沖田さんの隣に立つ。
「ごめんなさいっ!遅くなって…お待たせしましたっ!」
「全然待ってやせんぜ?今来た所でさぁ。」
にっこり笑って手を広げる。
なっ…何…?飛び込んで来い、って事…?
ちょっと恥ずかしいけど…僕が沖田さんにぎゅっと抱きつくと、上からあわあわと声がする。
「しっ…新八君大胆でさぁ…」
えっ!?そういう意味じゃなかったの…っ!?
僕が慌てて離れようとすると、腰に手を回されて、ぎゅっと抱きしめられる。
「俺ァ、幸せモンでさぁ…」
そんなしみじみ言われると、逃げられないよ…
大人しくぎゅう、と抱き付いてると、沖田さんがするりと離れて手を繋ぐ。
「さ、飯食いに行きやしょうぜ。」
「はい!今日は何処に連れて行ってくれるんですか?」
「着いてからのお楽しみでぃ!」
にっこり笑って振り返られると、それ以上何も言え無くなる。
手を引かれるままについていくと、そこはなんだか高そうな中華料理屋さんだった。
「おっ…沖田さん、ココ高いんじゃ…」
「そんな事ァありやせんぜ?煎餅とちょこの礼ですからねぇ、俺の奢りでさぁ。思う存分食いなせぇ。」
「でっ…でも…っ…」
「今日はちょっと頑張ったんですぜ?男の面子、潰さねぇで下せぇ。」
ぽんぽん、と僕の頭を撫でる。
…ズルいよ…そんな事言われたら断れないよ…
「…御馳走になります…」
チャイナ服のお姉さんに案内されて、個室に連れて行かれる。
さっ…更に高そうだよぅ…
「ここの方が、人目、気にならねぇだろ?」
「沖田さん…」
そこまで気を使ってくれたの…?凄い…
「有難う御座います…」
自然と笑顔になると、照れた沖田さんがふい、と横を向く。
あははっ…
メニューを見ても何だかよく分からないんで、沖田さんに全部お任せしました。
お肉にお魚に、麺にスープにご飯に…
見た事も無い料理が次々と並んで………こんなに沢山食べきれないよっ!
でもどれも美味しい…
夢中で食べていると意外と食べられるもので、残さず食べる事が出来ました!
「美味しかったですっ!御馳走様でした!!」
「イエイエ、お粗末さまでした。」
「沖田さんが作った訳じゃないじゃないですか…」
「ははっ、違いねェ。」
すっごく楽しくって、2人でにこにこ笑いながら、僕の家まで手を繋いで帰りました。
でも…楽しい時間はすぐに過ぎてしまって…あっという間に僕の家まで着いてしまった…
…もう少し、一緒に居たいな…
「あのっ、沖田さん…お茶でも飲んでいきませんか…?」
「いや、今日は帰りまさぁ。新八君…好きですぜ?ずっと一緒に居て下せぇ…」
沖田さんの顔が近付いてきて、ちゅっ、と唇に何かが当たる…って…きっ…きすされた…!?
僕が真っ赤になって固まっていると、にこりと笑って沖田さんが走って行ってしまう。
顔の火照りを冷まして家に入ると、家の中にはすっごい量のお菓子が有って…神楽ちゃんと姉上がモリモリと食べていた。
「どっ…どうしたの!?コレ…?」
「ドSとゴリが新八とアネゴによこしたアルヨ。」
神楽ちゃんがモリモリ食べながら、僕に言う。
「や、何で神楽ちゃんがそれをモリモリ食べてるの…?」
「ゴリもドSも食べて良い、って言ってたアル。」
「や、良いけどね、食べきれないし…」
「ちゃんと新八の分は残してあるヨ。一緒に食べるヨロシ。」
神楽ちゃんが片手にケーキを持って食べながら、僕の手を引く。
とすん、と座らされた所には、『しんぱちよう』って書いた紙をはさんだお皿に、ケーキと一緒にお煎餅…あ、これ…僕が美味しい、って言って沖田さんのお茶請けに出したやつ…
自然と緩む顔をそのままに、お煎餅に手を伸ばしてぱりんとかじる。
やっぱり大好き…ずっとずっと、一緒に居て下さいね?沖田さん…
END
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