僕がサンタクロース



まぁ、あの、アレです。
今日は一部男子にはバレンタインに並ぶぐらい血の涙を流さなければいけない、クリスマスイヴという日です。

世間では腐れカップル共がどこもかしこも溢れ出し、ピンクのオーラを漂わせているようですが、僕には街中でそんなふしだらな事をするなんて信じられません!お通ちゃんだってそんな事嬉しい訳が無いよ!

それに…あのコだって…

そう!
僕のかっ…彼女は人前でそんな事出来るようなふしだらなコじゃないし?
並んでお話をするだけでも綺麗な顔をピンクに染めるような、そんな慎ましやかなコなんだから!
僕はまぁ…あのコにベタ惚れなんだから…?どこでだろうとイチャイチャするのはやぶさかではないけれど…
でも!紳士としてはあのコが恥ずかしがるような事は出来ないから!
でもでもきっとあのコは僕の事待っててくれるに違いないから!
だってこの時期になったらよくかかる歌が言ってんじゃん、
『恋人はサンタクロース』って

だから僕は今、真っ赤なサンタ服に身を包み、大きな白い袋を抱えてここ、真選組屯所の前に居るのです。


ウチに来るストーカーが 『今日は皆でクリスマス会をやるんだ』 って言ってたから、あのコもここに居るに違いない。
待っててね!僕の愛しのスィートハニー
今すぐこの新八サンタが君の元へ参上するよ!

「あ、どうも…」

「あぁ、新八君………隊長は大広間に居るよ。頑張れ!」

サンタの格好で格子戸をくぐると、見張りの人が笑いを堪えつつ激励してくれる。
何なんだ、クリスマスイヴにサンタなんかベタ、とか思ってるのか?
だからモテないんだよ!男所帯は!!


教えて貰った大広間には行かないで、僕はあのコの部屋にそっと忍び込む。
だって、餓えた男達の中で僕にしか見せてくれない可愛い笑顔を振りまかせる訳にはいかないからね!
あのコのあんな顔見せたら、皆好きになっちゃうよ!!



部屋の中に入って、襖の横にひっそりとスタンバって早数時間。
すっかり真夜中になったけど、未だにあのコは部屋には帰ってこない。

…まぁ、僕はあのコの事考えていれば時間が足りないくらいだけど、でもきっとお酒が入ってるであろう餓えた狼共の中に、あんな綺麗で可愛いコを放っておくのは心配だ。

ちょっとだけ様子を見ようかと襖に手をかけた所で、凄い勢いで廊下をバタバタと走ってくる音がする。
あ…あのコかな…?
もう一回襖の陰にそっと潜むと、思った通りあのコが息を切らせて勢い良く襖を開けた。

「新八…っくん…?」

大慌てで髪も乱して頬を染めるあのコは激烈に可愛い!
キョロキョロと僕を探してくれてるのか、不安そうな表情も抱きしめて護ってあげたくなる。

「メリークリスマス、沖田さん!」

僕が準備していたクラッカーを鳴らして、スタンバっていた襖の陰から現れると、きょとん、と僕を見る表情がすぐに可愛らしい微笑みになる!あぁ!もうホント可愛い僕の彼女!!

「めりーくりすます…でィ、新八くん…サンタ服可愛い…」

「カッコいいって言って下さいよ!今日は僕が沖田さんのサンタクロースなんですから…言うでしょ…?恋人はサンタクロース、って…」

「そうですねィ。でも、ズボンは要らねェや…」

にっこりと笑った沖田さんが、そっと僕の腰に手を回してズボンを下げる…え…!?そんな大胆な!!

「これでよし…っと…勿論、プレゼントは新八くんなんだろィ…?」

「え…?いやあのそういうつもりじゃ…無いとは言いませんけど…」

そんなに下心剥き出しだったか僕ゥゥゥ!?
まっ…まぁ、ここなら2人っきりだし…?
僕ら恋人同士だし?
そういう流れになったって…おかしかないよねっ!

「新八くんのえっち…」

くすっ、と微笑んだ沖田さんは可愛いだけじゃなくて色っぽくって…
僕は吸い寄せられるように沖田さ…いや!総悟に覆い被さ………あれ…?何で僕は今天井を眺めてんだ…?

「可愛過ぎて止まんねぇよ…新八ィ…」

ちゅうちゅうと吸い付いてくる沖田さんの唇が、僕の首筋を這っていく…って…

「イヤイヤイヤ!おかしいだろっ!?なんで僕が押し倒されてんの!?」

「…何がでィ…至極当然じゃねェかよ…俺達、恋人同士なんだろィ?」

凄い至近距離に有る綺麗な顔が、熱を持って僕を見つめる姿は超絶色っぽいけど!なんか違う!!
だってこんなの…沖田さんがカッコ良すぎる…
クリスマス会でお酒を飲んだのか、アルコールの匂いがたちこめて…僕まで酔っちゃいそうで…触れられる手が優しくて気持ち良くて…
サンタ服の裾から入り込んできた手も…手…?

「何すんですか!反対でしょうが!!」

「何がでィ。新八は俺の彼女だろィ…」

「違う!沖田さんが彼女!!」

「煩っせぇなァ…声出すんなら色っぽいヤツだけにしな。」


そのまま唇で口を塞がれて抑え込まれて…僕は僕をプレゼントしてしまいました…反対の意味で…


END


「愛してまさァ、新八ィ!」

「うぅぅ…僕は可愛かった沖田さんを愛してますよ…」

「酷ェ!そんな事言えなくなるまでアイしてやりまさァ!」

…本当はどんな沖田さんでも愛してますけど、なんか悔しいんで言ってなんかやりません…