総ちゃんとパチ恵



今日は七夕、俺の誕生日イブ。

可愛い彼女のパチ恵ちゃんは、何を用意してくれてるのかねィ？
やっぱアレだろィ？

わたしをア・ゲ・ル（はーと）的なアレだろィ？

だとしたらやっぱ今日からだよな？お泊りだよな？
何て言って迫って来てくれるのかねィ…
ドキドキで楽しみな誕生日なんざ、何年ぶりだろう。

わくわくしながら、今日は遅刻なんざしないでちゃんと学校に行く。
教室に入ると、吃驚して目を丸くするパチ恵が可愛いなぁ、なんてニヤニヤしちまった。
さぁ来いパチ恵！
俺ァいつでも準備おっけーですぜ！


…今か今かと、パチ恵の誘いをずっと待ってたのに…
放課後になってもお誘いの言葉はありゃしねぇ…
どうしたってんでィ！？

我慢できなくなって、すっかり帰り支度を終えて今にも帰っちまいそうなパチ恵の腕をつかむ。

「パチ恵！どういう事なんでィ！！」

「はぁ？何がですか？私何かしました？」

ものっすごく怪訝な顔で俺を見る。
眉間のシワが可愛くねぇぜ。

「俺に何か言う事有るだろぃ！？」

「はぁ？…えーと…何…？」

とぼけてる訳じゃなさそうな、ぽかん、とした顔で俺を見る。
ちぇ…やっぱ純情なパチ恵ちゃんから誘って来るなんてねェのか…

「…今日じゃねぇのかよ…」

「え？今日？………あ！七夕祭でもしたいんですか？沖田君。」

クスクスと可愛く笑ってっけど…アレ…？

「七夕じゃねェよ…明日…俺の誕生日じゃねェか…」

「えっ！？明日…沖田君誕生日なんですか…？」

そのビックリ顔は、本気で知らなかったんですねィ…
なんかものっすごくガッカリでさァ…

「…そうでィ…」

俺がちょっとショックでガッカリと肩を落とすと、慌てたパチ恵が俺の顔を覗き込む。

「あのっ！えっと！！明日…お祝いしましょう？近所に出来たケーキ屋さん、すっごく美味しいんですって…ね？」

それでも俺が顔を上げないと、パチ恵が更に続ける。

「あの！えっと！何か欲しい物ないですか？お小遣いそんなにないけど…私に出来る範囲なら…」

「…んじゃ…パチ恵ちゃんを下せェ。今日…ウチ姉ちゃん居ないんでさァ…明日までしっぽり…」

「沖田君のえっち！」


…パチ恵ちゃんがくれた誕生日プレゼントは、俺の頬にくっきり残った手形だった…


ＥＮＤ


でも、誕生日には手形の上にきっすをくれやした。



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