16・見事な足技
今日もダラダラと土方さんと見廻り。ほんっとコイツの顔にゃぁ飽き飽きでさぁ…死んでくんねぇかなぁ。
そんなんでもキッチリ見廻りに付き合うのは、この時間、大抵愛しいアノ子に会えるから。
丁度大江戸ストアのタイムセールにぶち当たるらしくて、買い物帰りにトコトコ歩いてるハズでぃ!!
おっ…目標発見!!
俺が足音を忍ばせて、そおっと駆け寄る…
「新八君―――!」
後ろから抱き付こうとすると、新八君が急に消える。
なにっ!?
…そう思った瞬間、何か足払いを食らって前のめりに倒れちまった。
…イテェ…ッ…モロ顔面…鼻打った…
「も―っ、沖田さんっ!何なんですかっ?いつもいつもっ!!こんな公衆の面前で抱きつかないで下さいよっ!恥ずかしい…」
「新八君―、痛いでさぁ…鼻打ちやしたぁ―!」
俺が文句を言いつつ立ち上がると、心配そうな新八君が俺の鼻の頭を、フゥ―ッフゥ―ッと吹いて、撫でてくれる。うわっ…何でぃ…何か可愛らしい香りがしまさぁ…
「すみません…まさかそんなに思いっきり転ぶなんて思わなかったんで…」
新八君がしょんぼりしちまったい…そんな顔も可愛いねぃ…
「イヤ、見事な足技でしたぜ?流石の俺も避けそこなっちまったぃ。ところで新八君…公衆の面前でなきゃぁ抱き締めても良いって事ですかぃ?」
俺がそう言うと、ぼんっ!と音でもしそうなイキオイで新八君の顔が赤くなる。
「もぅっ!知りませんっ!!」
おれの頭をぺちり、と叩いて新八君が走って行ってしまう。
…なんですかぃ…アノ可愛らしい反応…俺をキュン死にさせるつもりですかぃ!?アノ子は…
アノ反応はかなり脈アリと見やしたぜ!!
そろそろ俺も、男見せなきゃダメですかねぃ………
END
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