20・忘れたくても忘れられない
沖田さんに告白して3日。僕は毎日沖田さんに逢いに行ってる。
こっそり山崎さんに見廻りの時間を聞いて、その時間に合わせて、買い物に行ってるんです!
…流石に屯所の中には入れてもらえませんからね…その時間だけが、僕が沖田さんに逢えるチャンスですから!!
今日も買い物にかこつけて、沖田さんストーキングの時間です!
あ、居た!
「おっきたさぁーん!」
僕が叫んで駆け寄ると、沖田さんが、うげっ、って顔になる。
まっ…負けるもんかっ!
「又来たのかィ…メガネ…」
沖田さんの顔が、げんなりしたモノになる。
「あー、もう!メガネじゃないですよっ!新八ですっ!し・ん・ぱ・ち!」
「あー、はいはい、メガネ君メガネ君。」
「もうっ!…あだ名だと思えば良いか…それぐらい親しくなれたって…」
沖田さんの顔が、びっくりしたモノになる。
「なっ…おい!…判ったよ、志村君。」
そして、ムスっ、としたものに変わる。
そんな事より…えぇっ!?ホントにっ!?
「えっ!?沖田さん、僕の名前知ってるんですかっ!?」
「おぅ、そんぐれぇ知ってらぁ。志村新八君、だろィ?」
わ…嬉しい…フルネームで知っててくれたんだ…!
にやにやが止まらないよ…っ…
「なっ…何笑ってんでィ。」
「えっ?いえ、沖田さんが僕のフルネーム知っててくれたって思うと嬉しくって…」
僕がえへへ、としまりなく笑っていると、沖田さんの顔が赤くなる。
「…変なヤツ!」
「えー?そんな事無いですよ!大好きな人が自分の事を知っててくれたら嬉しいですよ?」
僕がでれでれと照れながら言うと、ばっ!と僕の方を見る。
「なっ…ばっ…よく恥ずかしげも無く、んな事言えやすねぇ…」
…何が…?あ、沖田さん真っ赤だ…可愛い…
えへへ、と笑って小首をかしげて見ると、ばっ、と横を向く。
「だって、開き直っちゃったんですもん。1回言っちゃうと結構平気なもんですよ?大好き、って言うの。」
「…はーかばーかばーか!」
「子供ですか?アンタ!!」
…コレって…もしかして照れてるのかなぁ…?
「沖田さん…照れてます…?」
「…ばっ…!違ぇよ!呆れてんだよ!!」
…でも…耳まで真っ赤…
「…沖田さん…真っ赤ですよ?…可愛い…」
「何言ってやがる!可愛いのはオメェの…っ…何でもねぇ…」
あれっ…?もしかして…
ダメだ、にやにやが止まらないよっ…
「何笑ってんでィ…そうやって俺を悩殺しようってぇ魂胆だろィ…あー、怖ぇ怖ぇ…」
「えへへ…そうですよ?僕に悩殺されて、好きになって下さい。」
僕がそう言うと、沖田さんが嫌そうな顔で笑う。
「誰がされるか、ばーか。」
それでも僕がにこにこ笑ってると、沖田さんがぽんぽん、と僕の頭を撫でてくれる。
「オメェの笑顔なんざ、次に会うまでに忘れてらぁ。」
へぇーっ、笑顔に弱いのかぁ…
「忘れたくても忘れられない顔にしてあげますよ。」
そう言って、又にっこりと笑ってやる。
とりあえず、明日も明後日も沖田さんに逢いに来よう。
沖田さんに逢えたら、嬉しくって僕は笑っちゃうんだから。
本当に笑顔で悩殺してやるっ!
僕と幸せになりましょう?沖田さん?
END
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