23・習慣的に
今日も1日万事屋に仕事は無く、いつものように掃除洗濯食事の支度が僕の仕事になりました。
おやつの時間には沖田さんがやってきて、今日も美味しいおやつを皆にくれました。
あの和菓子美味しかったなぁ…今度沖田さんに聞いて姉上にも買って帰ってあげよう。
「新八ィ、すいやせん、今日はどうしても抜けられない仕事が有るんで帰りにこっちに来れやせん…」
「あ…そうなんですか…?仕方ないですよ。お仕事頑張ってくださいね?」
そっか…今日は沖田さん居ないんだ…仕方ないよね、お仕事だし…
神楽ちゃんと定春と一緒に買い物に行って、折角なんで色々買い物したら荷物が一杯になっちゃって…
僕がふうふう言って荷物を持ってると、定春が僕を背中に乗せて帰ってくれました。
定春大きいけど、僕、重くなかったかなぁ…?
銀さんと神楽ちゃんと定春の晩ご飯を用意して、暫くぼぅっとする。
「どうした、新八。今日はこっちに泊まってくのか?」
銀さんに言われてはっと気付く。
そう言えば今日は沖田さん来ないんだっけ…
「あ、いえ、帰ります。お疲れ様でした。」
わたわたと帰り仕度をして、万事屋を出る。
つい、待っちゃったよ…いつもなら沖田さんが迎えにきてくれるから、習慣になってるや…
ふと見上げた空は、一面オレンジで。
綺麗な夕焼けなのに、1人で見るのは寂しいなぁ…
いつもなら、沖田さんが一緒に見てくれるのに…一緒に綺麗だね、って言ってくれるのに…
家に帰って僕と姉上のご飯を作る。
カタカタと茶碗を並べる…と…アレ…?3つ用意しちゃった…今日は沖田さん居ないのに…
姉上が、ご飯を食べに居間にやってくる。3つ並んだ茶碗を見て、不思議そうな顔をする。
「あら、新ちゃん。沖田さんは厠?いっつもウザいくらいに新ちゃんにべったりなのに…」
「あ、違います姉上。沖田さんは今日、仕事なので家には来ないです。つい、習慣的にお茶碗並べちゃいました…」
僕が間違いに照れながらお茶碗を片付けていると、姉上の空気が怖いモノに変わる。
「習慣になるまで入り浸ってるのね、あの小僧…ゴリラ騙くらかして、なんとかしてやろうかしら…」
「イエ、姉上!沖田さん姉上と同い年ですから!!それに、近藤さん騙すのは止めてあげて下さい!!」
僕が焦って言うと、姉上が微笑む。
「あら、だってそれだけ家でタダ飯食ってる、って事でしょう?志村家復興の為にも困るわ、それじゃ。それに、近藤さんは良いのよ?夢を見させてあげてるんですもの。」
「姉上…沖田さんはタダ飯なんて食べてません。ウチの食卓にのぼるおかずは、ほとんど沖田さんが買ってくれてます…」
僕がそう言うと、姉上の眼つきが変わった…何か…お金マークに見える…
「あら、そうなの…?…新ちゃん、あの小僧、誑かしなさい。絞り取れるだけ絞り取るのよ。」
姉上が、にっこりと笑う。
…姉上…恐いです…
「そんな…誑かすなんて…僕達…」
「新ちゃん?」
姉上の笑顔が更に深くなる。
「…はい…分かりました…」
この笑顔の姉上に逆らったら殺される…
誑かす、ってのは無いけど…そういうフリしてたら良いよね…?
沖田さんの事、一応姉上公認になったんだよね…?
家に来てても、お土産とか有る事にしとけば大丈夫、って事だよね…?
…そう言う事にしておこう…
END
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