24・男の嫉妬
町で沖田さんを見かけた。
可愛い女の子と楽しそうに話してて…ちょっとイラっとした。
何だよ…鼻の下伸ばしちゃってさっ!確かにちょっと可愛いけどさ…
イモいおさげじゃん。眼鏡かけてるし、髪だって真黒だしさぁ!
沖田さんにはぜんっぜん似合ってないよっ…!
何?巨乳なの?
そりゃぁ僕は胸なんか無いですよ?…やっぱり…有る方が良いのかなぁ…?
雑誌には、揉んだら大きくなる、って書いてあったなぁ…揉んでみようかなぁ…
これ以上そんな所を見ていたくなくて、ぐるっと振り返って足早にその場から立ち去る。
なんだよ…僕ばっかりヤキモチやいてさ…どーせ沖田さんは涼しい顔で、何かカッコ良い事言ってんだぜ?きっと。
あー、もうやってらんない!
◆
見廻りの最中、新八を見かけた。
なんだか美人系の女と楽しそうに話してやがる!
何でィ、俺と言うものが有りながら、浮気は良くないぜ!
…顔、赤くしちまって…んな可愛い顔を、俺以外に見せてんじゃねぇよ…
速攻踵を返してその場から立ち去る。
…新八も男だしねぇ…本当は女の方が良いんじゃねぇのか…?
話してたのは、結構な美人だったしな…栗毛のショートカットで色白で…乳だって結構有ったしよー…
ツッコまれるよりツッコみたいのかねぇ…本当は…
あー、畜生!何かイラッとすらぁ。
暫く新八に逢うのはよそうかねぇ…苛めちまいそうでさぁ…
◆
「あ。」
それから数日経ったある日、町でばったり新八に逢っちまった。
暫く逢わねぇようにしようと思ってたのに…
「あ。」
それから数日経ったある日、町でばったり沖田さんに逢ってしまった。
あんな後だから、逢いたくなかったのに…
「…見廻りご苦労様です…」
「…新八は買い物ですかィ…?」
「はい、晩御飯のおかずを買いに。」
「そうですかィ」
…沖田さん目を逸らしてる…いつもならここで、今日は何ですかィ?俺も食いたいでさぁ!とか言うくせにっ!
「今日はまだ何にするか決めてないんですよ。沖田さん何が良いと思います?」
何でィ新八ィ…いっつもはそんな事聞かねぇクセに!やっぱり何か疾しい事したのかよ!?
「さぁねぇ。俺が喰う訳じゃねぇし。生卵で良いんじゃねぇか?」
あ、やっぱり変…何!?アノ娘が作ってくれるから、僕の料理なんかもういらない、って言うの!?
「そうですねー、どうせ今日は僕が作る訳じゃないし。沖田さんに作る訳でもないですしね。」
何でィ、アノ女が作んのかよ!?じゃぁ2人で買い物に来れば良いじゃねぇか…
「新八ィ…俺に何か報告する事ァ有りやせんかィ?」
本当は聞きたかァねぇけど…
「沖田さんこそ…僕に何か言う事はないんですか…?」
あ、ヤバ…泣きそう…
「…しらばっくれるんですかィ…?俺ァ見ちまったんですぜ…?」
キレイな女と楽しそうにしてた所…
「僕だって…見ちゃったんです…よ…」
可愛い女の子と楽しそうにしてた所…
………あれ…………?
「「何を…?」」
「新八が…キレイ系の女と仲良く話して真っ赤になってる所を…アノ女と付き合うんだろィ…?」
あんな顔して話してたんだ、そうだろィ…?
邪魔してやるけどな。
「はぁ!?そんな女の子…あぁ、道を聞かれたのは有りましたけど…すっごい綺麗な女の人で、沖田さんが女の人だったら、こんな感じかなぁ…なんて…って!誤魔化さないで下さいっ!!僕、見たんですよ?沖田さんが可愛らしいおさげの女の子に言い寄られて、満更でもない顔で鼻の下伸ばしてるのっ!!」
「はぁ?おさげ?…あぁ、何か前に解決した事件の被害者、ってのがそんなんだったなぁ…礼を言われただけですぜ?パチ恵ちゃんに似てたんでねぇ、色々妄想しちまったィ。」
「パチ恵…って、僕に似てたから…?」
僕に似てたから…でれっとしてたの…?妄想って…
「アノ女、俺に似てたのかィ…」
俺…ねぇ…
「何でィ、新八は俺にベタ惚れなんだねぇ…」
ニヤリと笑って手を繋ぐ。
こんな誤解をするなんざ、俺はホントに新八が好きなんだねぇ!
「沖田さんこそ。僕しか見えてないでしょ?」
にっこり笑って繋がれた手をぎゅっと握る。
ほんのちょっとした事で男の嫉妬を炸裂させるなんて、僕はホントに沖田さんが大好きなんだ!
あぁ、でも誤解で良かった!
本当だったら何するかわからない。
女の嫉妬は怖いけど、男の嫉妬だって結構怖いんですよ…?
END
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