結局、眼鏡を直しに行ってコンタクトも作ってしまいました。
や、沖田さんが可愛いって言ったからじゃなくてっ!今お試し期間で安かったんでっ…!!
…何だか眼鏡が無いと変な気分…

「おぅ、新八君。メガネは直りやしたか?」

僕がぼんやり歩いていると、後ろから沖田さんが声を掛けてくる。
えへへっ…何て言うかな、沖田さん…又…可愛い、って言ってくれるかな…?

「あ、沖田さんっ!おはようございますっ!」

僕が笑顔で振り向くと、沖田さんが変な顔をする。

「…何ですか…?」

「メガネはどうしたィ。」

「あ、今お試し期間でコンタクトの方が安かったんで…」

「変でさぁ。」

「はぁっ!?」

「変な顔でさぁ。」

何故か沖田さんが、ぶすっ、として言う。

「しっ…失礼ですねっ!そりゃぁ僕はアンタみたいにカッコ良くは無いですけどっ、そこそこイケて…」

「変な顔でさぁ。」

むっかぁーっ!昨日は可愛い、って言ってくれたのにっ…やっぱりからかってたんだ…

「変じゃないですよっ!何ですかアンタ…」

「…そんな顔晒してたら、皆アンタに惚れちまいまさぁ…」

えっ!?ちょっ…何…?えっ!?何言って…

「アンタに惚れんのは、俺だけで十分でさぁ…」

ムスっとしたまま横を向いて言う台詞かよっ!?
もぅ…っ…顔に全身の血が集まったみたいに暑いよっ…!
本気…?ホントに僕の事…?

「僕だって…アンタが可愛い、って言うから…コンタクトにしたんですからねっ!!」

どきどきを無理矢理押さえて、なんとかそれだけ言うと、沖田さんがばっ、と僕の方を見る。

「それって俺の事…」

沖田さんが僕の腕を掴んで目を覗き込む。

「そうですよっ!それぐらい察して下さいよっ!!」

僕がそう言うと、沖田さんが、ほにゃっ、と笑う。
うわっ…可愛いっ…

「じゃぁ、安心ですねィコンタクトにしても。イヤ、可愛い顔を他の奴にゃぁ見せたくねぇな。それに俺ァメガネの方が新八君らしくて好きですぜ?って、昨日も言ったんですがね…」

「えっ!?うそっ!?…聞いてませんでした…可愛い、って言われてそれ所じゃなくて…」

僕が恥ずかしくて俯くと、沖田さんの顔が下から覗いてくる。

「俺に可愛い、って言われて嬉しかったんで?」

「…はい…」

だっ…駄目だっ…もう全身真っ赤だよ、きっと…

「新八君は俺にメロメロなんですねィ。」

沖田さんが、くすくす笑いながら僕の手を握る。

「…沖田さんこそ、僕にメロメロなんでしょ…?」

僕も笑いながら、繋がれた手をぎゅっと握る。
意外と暖かい手に引かれて万事屋の前に着くと、階段の下に神楽ちゃんが座ってた。

「あーっ!新八の手離せヨ!ドSゥゥゥゥゥ!!!」

神楽ちゃんが僕等に向かって、すごい勢いで走ってくる。
僕がおろおろしてると、ぐい、と引かれて唇に何か当たる…えっ…?

「やっぱりメガネが無い方がキスしやすいんですねぇ…俺が居ない時は必ずメガネかけてんですぜ?危なくてしょうがねぇや。」

ニヤリと笑って沖田さんが走り出す。
神楽ちゃんがどかん、と僕にぶつかって、抱きついてくる。

「新八ー!大丈夫アルか!?メガネ…ないアル…ゴメンヨ…」

「大丈夫、眼鏡直ってるから。もう怒ってないからそんな顔しないで?」

しゅんと俯いた神楽ちゃんの頭をぽふぽふと撫でると、顔を上げた神楽ちゃんが、うげっ、って顔をする。

「…新八がおかしいアル…キモチワルイ…」

「もぅ〜、やだなぁ神楽ちゃんってば。」

今は何を言われても許しちゃう…だって…えへへへへ…
にやにや笑う僕を不気味がる神楽ちゃんをよそに、袂から眼鏡を出して、すぐに掛ける。
沖田さんが居ない時は、眼鏡掛けとかなきゃね!
折角作ったコンタクトだけど、使う機会無くなっちゃったな…
だって沖田さんが眼鏡の方が好きなんだもんね!
あ、でも…沖田さんの前ではコンタクト、した方が良いのかな…だって、きす…しやすいって言ってたし…
これからは、眼鏡とコンタクト、使い分け無くっちゃねっ!

「銀ちゃ〜ん!新八がおかしいヨ〜!!」

神楽ちゃんが後ずさって、万事屋に駆け込んだ。
失礼だなぁ、もぅ。
でも、気にならない。だって、幸せなんだもん!


END