05・商店街のくじ引きで


「はーい、おめでとうございます、6等賞のポケットティッシュで―す!」

僕は今、商店街のくじ引きで、ガラゴロとくじを引いています。
大江戸ストアで貰ったり、お登勢さんに貰ったり、真選組の土方さんや山崎さんに貰ったりで、合計30枚。
…28個もポケットティッシュを貰ってしまいました………
3等賞の肉祭セットを狙ってるんだけどなぁ…鳥・豚・牛となんとも豪華な一品で、ここ数ヶ月まっっっっっっっっっっっっっっっったく肉を食べてない僕ら万事屋にとっては、特賞の温泉旅行よりもだんっぜん!!魅力的だ。…まぁ、温泉旅行も魅力的だけどさ。沖田さんと一緒に行けたりしたら…良いだろうなぁ…憧れだけどさ。
最悪、5等賞のサラダオイルでも良い!!生活必需品は重要だよ、僕らには!!
後2回!なんとしてもどっちか当てたいよっ………

「よぉ、新八ィ―。そんなにポケティ抱えて何やってんでぃ。今夜の準備かぃ?そんなに期待されても困っちまいまさぁ。」

沖田さんがニヤニヤしながら僕の後ろに立っていた。
準備ってなんだよ!準備ってっ!!
僕は顔が赤くなるのを感じながら、ジロリと後ろを振り返る。

「…セクハラおやじ…見て分かんないですかっ?くじ引きで6等賞当ててんですよ、6等賞。」

そう言いつつ、えいやっ!と又くじを回す。
出てきた玉はっ…!?……………白……………

「は―い、おめでとうございます!6等賞のポケットティッシュで―す!!」

…又ポケティかよ…ここまでくると、ある意味凄いよ、僕…このくじ白しか入ってないんじゃないのっ!?

「なんでぃ、まだ足りないんですかぃ?まぁ、期待には応える男ですがね?俺は。こんぐらい一晩あれば使いきりやすぜ?」

又、ニヤニヤしながらセクハラ発言を繰り返す。

「どれ、貸してみなせぇ。」

沖田さんが僕を押しのけてくじに手をかける。勢い良くグルグル回して、ヨッ、と止める。
ストン、と出てきた玉は………

「おめでとうございま――す!特賞の温泉旅行1泊2日ペア宿泊券で―す!!」

 カランカランカランカランカランカランカランカラ――――ン……

「ど―でぃ、この引きの良さ。」

「…え―――――っ!?うそっ!!何!?特賞!?お肉っ…お肉はっ…!?サラダ油はぁ―っ!?」

得意満面の沖田さんを他所に僕が叫ぶと、くじ引き係りのお姉さんが笑う。

「温泉には食事も付いてますよ―――?お肉もお魚も豪華ですよ―?」

ワタワタしている僕を他所に、沖田さんがお姉さんから特賞の賞品をもらい、僕の手を掴んでズルズルと引きずってくじ引き会場から立ち去る。

「さ―て、いつにしやす?俺は有給余ってるんでいつでも行けますぜ?万事屋も、仕事なんざ無いでしょうし、俺が予定たてやすぜ?」

僕の意見なんかまったく無視で、どんどん話が進んでいく。
いつ僕がアンタと行くっつったよ!?…まぁ…行くとしたら、沖田さんとだけどさ…でも!!

「ちょっとっ!どんどん勝手に話を進めないで下さいよっ!!僕にだって都合ってもんがあんです!!」

「なんでぃ、当てたのは俺ですぜ?」

「くじは僕んです!」

「ほら、丁度2人分でぃ。」

「うっ…」

僕は言葉につまる。確かに僕が引いていたら当たってなかったと思うけどさ…でもさ…

「大丈夫。このティッシュも使い切りやすから。」

「大丈夫じゃないですよっ!こんなん…体もちませんよっ!!」

ぼふん、と音を立てて僕の顔が赤くなる。
それを見た沖田さんが、悪そ―――な顔で、ニヤリと笑う。

「新八君―、何想像してるんですかぃ?俺はコレで鼻かんだり、酒こぼした時に拭いたりして使おうと思ってたんですぜ?めちゃくちゃヤル気じゃぁないですかい。」

あ―、ちくしょう、ほんとムカツク。このドSはっ!!
僕がバシバシと投げつけるティッシュも、綺麗に全部受け取りやがるしっ!

「分かりましたよ…じゃぁきっちり計画たてて下さいよ?観光も何もなくてイキナリ旅館で食って寝て温泉入って寝て…なんて許しませんからねっ!!」

「ハイハイ。」

ニヤリと笑いながら、沖田さんが言う。
仕方ないなぁ、という感じで僕の頭をぽんぽんと撫でる。なんだよ、この扱い!!

「ハイは1回っ!」

僕は悔しくなって、思わず叫んでしまう。
もぅ、沖田さんには敵わないよ………

とりあえず、どうやって休みをもぎ取るかを考えなきゃならなくなった。温泉なんてバレたら大変だよ。
…絶対邪魔される………
姉上にもバレたら大変だよなぁ…後でバレると怖いから、姉上には正直に言おう。

なんだかんだ言いつつも、本当は凄く楽しみです!


 続