桜の姫と王子様
桜降る4月、今日から私は高校3年生になる。
最後のクラス替えが楽しみで、昨日はちょっと眠れなかった!
神楽ちゃんとは同じクラスになれるかな?姉上とも同じクラスだと良いな!
仲良しになった皆とも、同じクラスだと良いな…又、ワイワイと遊びたいし!
折角仲良くなったんだから、修学旅行とかも一緒だとすっごく楽しいと思うんだ!
ひらりひらりと散る花弁をあびながら、クラス発表を楽しみに学校への道を急いでいると、少し前にのんびりと歩く茶色い頭…
うわっ、アレ、王子だ…
顔だけは王子様並にキレイな、同じ学年の沖田総悟。
中身は外見とは全く違って、なまけものでいじわるなドSの王子様なんだって。
こんな時間にこんな所歩いてるなんて、めっずらしー…いっつも遅刻のハズなのに…
出来るだけ関わり合いたくないケド…私の事なんて知らないだろうし、興味無いだろうし…
あんなスピードで歩いてる後ろをずっとなんて歩いて行けないし。
さっさと抜いちゃお。
私は更に歩くスピードを上げて、王子を追い越す。
丁度王子を追い越そうとした時に、急に強い風が吹いて桜まみれになる。
ぷはっ…すごっ…
「すっげぇ花弁…おい、アンタ、花弁まみれですぜ?」
急に横を向いた王子が、くすりと笑って私の頭に積もった花弁を払ってくれる。
「えっ…!?あっ…有難う御座います…」
うっ…うわぁーっ…キレイな顔…
それに何の気まぐれっ?立ち止まった私の制服に付いた花弁まで払ってくれる…
「アナタも花弁まみれですよ?」
「おー、そうかィ。ま、良いんじゃねぇ?俺ァ似合うだろィ?」
にこりと笑う姿に、確かに花弁が良く似合う…
「…って!私は可愛くないから花弁なんて似合わないって事ですかっ!?」
なっ…んて失礼なヤツっ!やっぱりコノ人いじわるっ…
「そんな事有りやせんぜ?アンタ花弁が似合いすぎて可愛らしいから、他のヤツに見せたくなかっただけでィ。」
又キレイな顔で微笑んで、こくり、と小首を傾げる。
さらさらと流れ落ちる花弁が、すっごくキレイ…
「かっ…からかわないで下さいっ!!」
赤くなった顔を誤魔化すように叫んで、ダッシュでその場を去る。
「おーい、俺は沖田総悟でィ。アンタ名前はー?」
ドS王子が叫んでる…!?めずらし…っ…
「志村っ…志村パチ恵っ…」
私も走りながら叫ぶ。
あっ!?何で名乗っちゃったんだろっ…別に名乗らなくても良かったのにっ…
騙されたんだっ!アノ笑顔にきっと騙されたんだ、私っ…もぅっ…一生の不覚っ…
まぁ、でも…これ以上関わりあう事無いよね…
そのままスピードを緩めて早足で歩く。
学校までは、もう少し…
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