side 沖田


まさか同じクラスになるとは思いやせんでした。

まぁ、何処に居ようと、偶然を装ってあの娘の前に現れる予定でしたがね?
上手い具合に新入生代表なんかやらされて、顔と名前は売ったから向こうから来るのも、ちっと期待したし…
近藤さんも俺の事話しといてくれた、って聞いてたし。
出来るだけの事はしといたんですぜ?

クラスに入ってきた時のあの笑顔は、今想い出してもニヤけるぐらい可愛かった。
その上、近藤さんのおかげで話も盛り上がって…まさかパチ恵も俺の事想っててくれたなんざ思いやせんでした。
事故とはいえ、チューまでした仲でさァ。
こりゃぁ、付き合うのも時間の問題でィ!
俺が男らしく告りゃぁ…あんな事もこんな事も自由自在でさァ。
土方さん辺りが邪魔しそうですが、そんなこたァどうにでもなりやすぜ。
なんせ、俺達ァ両想いですからねェ!
やっぱり、はっきり好きだ、って言うのが良いんですかねェ?焦らして焦らしてパチ恵に言わせんのも良いけど…
やっぱ早くイチャイチャしてェや。

昼休みになったんで、パチ恵を屋上にでも連れてって告ろうとすると、何だか女子が煩ェ。
聞き耳を立ててみっと…男の品定めですかィ…
パチ恵も中に入ってんな…先に告らせんのも良いか…
そう思ってこっそりパチ恵の背後に忍び寄る。

「パチ恵はダレが良いネー?銀ちゃんカ?」

チャイナがパチ恵に話を振った。よし!でも…銀八はねェだろィ…

「え〜?銀八先生はお父さんだよー」

「パチ恵ちゃんはお兄さんカッコいいもんね。やっぱりアレ以上のレベルじゃなきゃダメ?」

他の女子もパチ恵に話を振る。
土方さん…意外とモテんのか…?瞳孔開きっぱのマヨラーなのに…

「お兄ちゃん達はお兄ちゃんだから…良く分かんないや。」

土方さん振られやしたぜー?残念でしたねェ。
…って…『達』…?土方さん以外にも兄貴が居んのか…?

「アレ以上だったら…沖田君とか?」

お、女子ナイス!

「まさかドSは無いアル。」

チャイナ余計な事言うんじゃねェよ!
俺が顔を上げるとニヤリと笑ったチャイナと目が合う。

「沖田君?そうだね、沖田君モテるし…私なんか無いよー!」

…パチ恵…?

「そうアルネー、ドSは無いネー。嫉妬に狂った女子に苛められるヨー」

チャイナ!余計な事言うんじゃねェ!!

「そうだよね、それに沖田君はお友達だもん。」

…お友達…ですかィ…

俺がショックで呆然としていると、今気付いたようにチャイナが俺に声を掛ける。

「お、ドS。お友達だってヨー、良かったナ!」

ニヤニヤ笑いがムカツクぜィ…やっぱりコイツとは相容れねェ…
俺が蹴りを放つと、チャイナも蹴りで受ける。
そっからは、拳での殴り合いになる。

「おっ…沖田君!?神楽ちゃんも喧嘩はダメだよっ!」

怖いモン知らずなのか、パチ恵が俺らの間に飛び込んでくる。
すぐに拳と蹴りをひっこめると、パチ恵が両手を腰に当ててむうっ、と膨れる。

…可愛いんだよ!!

「もうっ!2人とも喧嘩はだめだよっ!仲良しなのは分かるけど…」

「「誰がコイツなんかと!!」」

…チッ、ハモっちまった…胸糞悪ィ…

「はいはい。」

クスクス笑いながら言ってっけど…ぜってェ判ってねェぞ、コイツ…

「もうっ、素直じゃないなぁ、2人とも。」

ヒデェ誤解でさァ!
俺が前のめりになって言い募ろうとする前に、チャイナがパチ恵の胸倉を掴んでわめきだす。
うぉっ…ちょっと中見えた…ナイスチャイナ!

「そんなワケ無いネ!!変なゴカイするなヨ!!」

心底嫌そうにチャイナが言っても、パチ恵はクスクス笑うだけで全然判ろうとしねェ…

「ワタシが仲良しならパチ恵の方が仲良いネ!オマエが言われたらどんな気分アルカ!?」

ナイスチャイナ!

「え?別に嫌じゃないよ?」

「じゃぁ付き合え!付き合えヨ!!」

良い展開になったじゃねぇかィ…


「えー?私は無いよ。だって神楽ちゃんいつも私の事駄眼鏡って言うし…」

…そこが可愛いんでぃ…

「それに、ドジでいっつも迷惑かけてるし…」

迷惑なんかじゃ…ねぇよ…

「それに沖田君モテモテだし…可愛い女の子にいっぱい告白されてるよー!私は無いよー、無い無い!」

…そこまで否定されっと…流石に落ち込みまさァ…
俺が黙って俯いてっと、パチ恵が俺の顔を覗き込む…ちくしょう…可愛い…

「…沖田君怒っちゃった…?ごめんね?神楽ちゃんが変な事言って…でも…そんなに嫌…?ちょっと悲しいなぁ…」

えへへ、と笑うけど…顔が引きつって…る…?泣きそうじゃねェか!
パチ恵…本当は…俺の事…?

「そんな事ァ怒ってねェし!…俺は近藤が嫌なんかじゃねェし…むしろ…」

パチ恵の肩を掴んでじっと目を見つめる。
でっかい瞳に映り込む俺の顔は…真剣過ぎて怖ぇぐらいだ…カッコ悪ィ…

「むしろ俺はオメェが…オメェが…」

「良かったぁ、嫌われてなかったんだ!」

ぱぁっと笑顔になったパチ恵が、話の腰を叩き折った。
ちょ…これから告白…

「お友達だよね!私達!!」

トドメを差して、笑いかけられると、もう頷くしかねェ…
敗北感いっぱいで席に戻ると、途中で俺をチャイナが呼びとめる。

「残念だったナ、ドS。まぁ、オマエになんかパチ恵はあげないけどナ!」

ニヤリと笑って、これ見よがしにチャイナがパチ恵に抱きつく…
ちくしょう…ムカツク…

あんなに明るかった目の前が、一瞬で真っ暗になりやがったけど…
こんなぐらいで諦めてたまるかよ。
それぐらいの方が、楽しめるだろィ…
まだまだ作戦、考えてやらァ!


続く