朝目が覚めると、目覚まし時計はとっくに起きる時間をさしてた。
うわぁっ!昨日寝るの遅かったから、寝坊しちゃったよぉっ!!
「ふわぁーっ!遅刻しちゃうよ!寝坊しちゃった!!」
慌てて居間に駆け込むと、朝ご飯は晋助お兄ちゃんが作ってくれてた。
わ…美味しそう!
やっぱり晋助お兄ちゃんは凄いや!
「パチ恵…どうした…?寝坊なんて、珍しいじゃねぇか…」
晋助お兄ちゃんが心配してくれて、十四郎お兄ちゃんがえっちな事言って、お父さんが味方してくれて…
やっぱり皆優しくて大好き!
晋助お兄ちゃんに促されて、顔を洗って着替えてキッチンに戻る。
皆でご飯を食べてると、お父さんがにっこりと笑う。
「パチ恵、今日はどうしたんじゃ?パチ恵が寝坊なんて珍しいのう。」
「あっ…あのね?お手紙をずっと読んでたの…」
家族になら…報告しなくちゃだよね!
私が嬉しい事は…喜んでくれるよね…?
「えへへー!あのね?私ラブレター貰っちゃった!」
「「「許しませ~ん!!!!!」」」
…あれ…?全員反対した…
だって…私…好きなのに…
苦しくなるくらい、好きなんだよ…?
「なっ…何でよ!私だって恋くらい…」
「八恵、そこに座るぜよ。」
…お父さん顔怖い…
すっごく真剣なのは分かるよ…
「…もう座ってるもん。」
「そんな…命知らずは…誰だ…?」
お兄ちゃん達も…顔怖い…
なんでこんなに反対されるの…?
嬉しい事なのに…
沖田君…優しいのに…!
すっごく悲しくなって、涙出そうになるけど…泣いたって仕方無いもん!
お父さんとお兄ちゃん達を目一杯睨んで、嫌い、って言うと皆が動かなくなる。
もう知らないもんっ!
食器を片付けて、行ってきますを言って待ち合わせの場所に駆け出す。
寝坊しちゃったから遅くなっちゃったよっ…
お父さんもお兄ちゃん達も反対したけど…でもっ…でも私…こんなに嬉しくなるくらい沖田君の事好きだもんっ!!
待ち合わせ場所が近くなると、沖田君が待っててくれるのが見える。
周りを見渡してもお兄ちゃん達は居ない…今しかないよね!!
「沖田君っ!私も沖田君が好き!大好き!!」
私が叫ぶと、片手をあげて挨拶しようとした沖田君が目を見開いて私を見る…
あれ…?お兄ちゃん達みたいな怖い顔してる…あれ…?なんで…?なんで笑ってくれないの…?
本当は…冗談だった…?
怖くなって立ち止まると、沖田君がゆっくり手を下す。
顔は…怖いまんまだ…
…私…間違えちゃったのかな…?
怖くって恥ずかしくって、俯いてスカートを握ると、たたっと足音がする。
「近藤っ!ホントですかィ!?ホントに俺…っ…俺の事…好きになってくれてるんですかィ…?」
息を切らした沖田君にびっくりして顔をあげると、すぐ前に焦った顔の沖田君が居た。
「うっ…うん!あのねっ、クラス別々になって、すっごく寂しかったの…昨日…ずっと落ち込むぐらい。具合悪かったの…沖田君のせいなんだからね…?」
私がそう言うと、沖田君がにっこり笑う。
焦った顔も可愛かったけど…でもやっぱり、笑った顔の方が好きだよ…
えへへ、と笑い合うと、沖田君がそっと手を繋いでくれる。
「りょうおもい…?」
「恋人同士でさァ。」
幸せな気分のまま学校に行こうとしたら、突然後ろから声が掛かる。
「八恵、コイツか?手紙の相手は。」
「ひゃぁぁぁぁっ!?」
とっ…十四郎お兄ちゃん!?
私がびっくりして飛び退りそうになると、沖田君がぎゅって抱き寄せてくれる。
えへへ…やっぱり優しい…
私が文句を言っても、十四郎お兄ちゃんは色々言って絡んでくる。
もう!過保護すぎるもん!!
私もう高校2年生だもん!
一言文句を言おうと思ったら、今度は反対側から声が掛かる。
「パチ恵…騙されてるぞ…」
気配も無く後ろに立った晋助お兄ちゃんが私の肩を掴んで引き寄せようとするけど…
やっ…離れたくないよっ!!
ぎゅうっと沖田君にしがみつくと、沖田君が赤くなった。
あれ…?苦しいのかな…?
ちょっと力を緩めた隙に、晋助お兄ちゃんに引っ張られて沖田君と引き離される…!
いやぁっ!
「…ひっくっ…お兄ちゃんの意地悪…」
思わず涙がこぼれて、そのまま止められなくてポロポロと泣いてしまう。
お兄ちゃん達が慰めてくれるけど、涙止まらないよぅっ…こんな事で泣きたくないのに…っ…
「…近藤、俺ァ泣き落としするような女は嫌いだ。」
「ふっ…ふえぇん…沖田君…?」
沖田君…怒ってる…
そうだよね…こんな事で泣いちゃったら…鬱陶しいよね…
嫌われちゃうよっ…そんなの…嫌…っ…!
「ふぅ…っ…うえっ…泣かないもん…」
なんとか涙を止めたいのに、全然止まらない…っ…
どうしよう…沖田君に嫌われたくないよっ…
「俺ァ笑ってるオメェが好きなんだぜ?こんな顔…見たくねぇよ…な?」
ふわっと笑って、そっと涙を拭いてくれる。
…カッコ良すぎるよ…
沖田君が傍に居てくれたら、私、笑えるよ…?
晋助お兄ちゃん教えてくれたっけ…大好きな人にはちゅうして気持ちを伝えなきゃ駄目だ、って。
だから、背伸びして沖田君の唇にちゅうすると、沖田君の顔が真っ赤になった。
可愛い…
「やっぱり沖田君優しい…大好き。」
えへへ、と笑ったら、沖田君もにっこり笑ってくれる。
「俺も大好きでさァ。」
…折角幸せな気分でいるのに、後ろからドロドロと暗い空気が流れてくる…
お兄ちゃん達だ…すっごい怖い顔で沖田君を見てるよ…
「お兄ちゃん達…何殺気出してるの…?沖田君に何かしたら私が許さないからっ!大っっっっっっっっっ嫌いっ!」
私だって、怒る時は怒るんだからっ!
私が精一杯睨むと、お兄ちゃん達が固まった。
うん、勝った!
真っ白くなったりしてて…ちょっと可哀想だけど…
でもでも沖田君に何かしようとかしてるし!
ちょっとぐらい厳しくしないと分かんないもんね!!
この隙に逃げようと、沖田君の手を握って動き出すと、沖田君も私の手をぎゅっと握ってくれる。
それだけで…すっごく幸せな気分になる。
手と手を繋いで歩いて行くと、楽しくてドキドキする。
クラスが違っても、もう大丈夫。
だって、恋人同士なんだもん!
不安になってもきっと大丈夫。
好き、って気持ちが溢れてくるから…
だから…ずっと一緒に居てね?
お願い…
続く
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