女子の基本はトイレで会議
張り切ってバレーをやった体育も終わってお昼の時間。
サッカーやってる沖田君って、カッコ良かったなぁ…さっすが王子…
思い出しただけでドキドキしちゃうよ…
貰ったバナナも…色々嫌な事思い出すけど、バナナに罪は無いよね!
皆で美味しく頂きました。
お昼御飯も食べ終わって、どうしようか、って思ってると、神楽ちゃんが
「パチ恵、トイレ行くネ!トイレ!!」
とか珍しく私を誘ってくる。
変なのー。
いつもは連れションなんざ女子供のする事ネ!とか言って1人でどんどん行っちゃうクセに…
「珍しいね、神楽ちゃん。トイレに私を誘うなんて…」
「早く行くヨ!モレそうネ!」
立ち上がった私の手を引いて、神楽ちゃんが走り出す。
何だろ…?そんなにヤバいのかなぁ?その割には人の少ない方のトイレに走ってる…大…?
とりあえず2人とも用をたして、私が個室から出ていくと、神楽ちゃんはもう手を拭いてた。
「ホントにどうしたの?神楽ちゃん…」
私が手を洗って、拭きながらトイレを出ようとすると、がっしと掴まれる。
何…!?
「パチ恵、ドSと何があったネ?全部はくヨロシ。」
神楽ちゃんがニヤリと笑う…ドSって…沖田君っ…
名前を聞いただけで、顔に血がのぼる…そっ…そんな事言えないよぅっ…!!
「なっ…何もないよっ?」
「隠しだてはよくないアルヨ。顔真っ赤ダヨ?パチ恵〜!女子のヒミツの話はトイレとソーバが決まってるヨ!安心して話すネ!」
「なっ…何も…」
「ウソは良くないヨー、他のボケ達はダマセても、ワタシはダマセないヨ!早くはけヨー。」
「だっ…だから…って、ちょっ!神楽ちゃんっ!?」
神楽ちゃんが目を細めて、ぎゅーっと私の胸を掴む。
「タイクの時間にこんなコトされてたネ。それにドSが何か言おうとしてたヨ。えっちでもしたアルカ?」
「えっ…!?そんな事してないもんっ!キスしかっ…!?」
「へぇー、きっすしたんだー。」
神楽ちゃんのニヤニヤ笑いが深くなる。
わぁーっ!!ついっ…
「それだけじゃないもん…告白されたんだもん…」
私がもじもじと言いつのると、神楽ちゃんが呆れたような目で私を見る。
なっ…なんでそんな目…
「今更ネ…アイツ、始業式の日からずっと言ってたヨ…」
神楽ちゃんがヤレヤレ、って感じで肩をすくめる。
「えっ!?そんな事言われてないよっ!いっつも私の事苛めてただけじゃんっ!」
神楽ちゃんがじろーりと私を見て、はぁーっと溜息をつく。
なんだよ、失礼だなぁ!
「なんだかドSが可哀想になってきたアル…アイツ頑張ったネ…負けなかったアルネ…」
「神楽ちゃんはどっちの味方なのっ!?」
「そんなのパチ恵の味方に決まってるアル。で?」
ニヤっと笑った後に、真剣な顔でぐるぐるメガネをずらして私を見る。
「…で、って…」
「パチ恵はどうするネ?ドSの事スキなのか?」
「えっ…!?…っと…えっと…好き…なの…」
私がもじもじとスカートを掴んで言うと、神楽ちゃんがふっと笑う。
「シュミ悪いネ…」
「でっ…でもっ!優しい所も有るのっ!にっこりって笑ったら可愛いし、サッカーとかやってる所はカッコ良いの!それにっ…それにっ…」
私が神楽ちゃんの腕を掴んで力説すると、神楽ちゃんはぐらぐら揺れながら、へいへいと言った。
「パチ恵恋する乙女ネー、可愛いアル。」
大きく歯を見せてニヤリと笑って、私の頭をぐりぐりと撫でる。
「仕方ないからオーエンするよ。」
「私も応援させてもらうわ!」
2
→