イベントが始まって、お客さんが一杯来て、大忙しだったのも束の間、すぐに姉上の本は売り切れてしまった。
あんなに沢山有ったのに…いっつもこんなに早くに無くなるのかな…?凄いな…
売る物も無くなったんで、片付けをして帰ろうとしていたら、姉上が写真を撮りたいと言って、近藤君と沖田君を引っ張って行った…と思ったら私も沖田君に引っ張られて連れて行かれた…
2人は姉上の指定するポーズをとらされて、何枚も写真を撮られてた…頑張れ…
その代わりに、私の写真も姉上に何枚か撮られた。
沖田君の交換条件だって…
こんな格好の写真なんて…恥ずかしいよ…
「沖田君…普通の格好の写真じゃ駄目なの…?」
「何言ってんでィ、エロいカッコだから良いんじゃねェか。」
「…沖田君のエロ…」
「男なら当たり前でィ。」
涼しい顔でニヤリと笑って、着物姿の姉上と近藤君の2ショットを撮ってあげてる…
良いな…私も欲しいな…2ショット…
…普通の格好の時に。
私達がお店に戻るとすっかり帰り支度が出来ていたんで、私達は急いで着替えてきて、皆でファミレスに寄って、ご飯を食べた。
それから姉上達は本屋さんに寄って行くと言うんで、近藤君がそれに付いて行った。
いつもなら冷たくあしらわれるのに、今日は姉上が、むしろ手を引いて連れて行ってる…凄い…コスプレ効果…
本物の近田さんみたいだったもんなぁ…
私と沖田君は皆と別れて、大人しく家に帰った。
「今日は本当に有難う…姉上、凄い喜んでたよ!」
「イエイエ、パチ恵のエロいカッコも見られたし。アレぐれェ大した事ねぇよ。」
「もう…あの格好は忘れてよ…」
私がむぅ、と膨れると、沖田君が、ぶしっ!と効果音を口で言いながら、私のほっぺたを潰す。
「膨れるなって。1日すっと一緒に居れてはしゃいでるだけですからねェ、俺ァ。」
「うん…私も嬉しかった…」
えへへ、と笑うとぎゅっと手を握られる。
そのまま手を繋いで歩いてると、すぐに家に着いてしまった…
もう少し…一緒に居たい…
沖田君をお茶に誘ったら、こくりと頷いてくれた。
居間に案内してお茶の用意をして持って行くと、沖田君の機嫌が悪くなってた…何だろ…?
「沖田くんどうしたの?やっぱり用事有った?」
私が聞くと、じろり、と睨まれる。
「…何でパチ恵の部屋じゃないんでィ…こんな居間なんかじゃ、いつ誰が来るか判んねェじゃねェか…」
「え?でも私の部屋テレビ無いよ?ゲームとかも無いし…」
私が首を傾げると、はぁーっ、と溜息をついた沖田君が遠い目をする。
「…あー、はいはい。期待した俺が悪かったんですねィ…」
「期待…?」
私が怪訝な顔をしていると、するっと隣に来て、ちゅっと軽くキスをする。
「…なっ…!?」
「部屋に誘われたらおっけーさいんだって、雑誌に書いてありやした。」
「そっ…そんなんじゃないもんっ!!」
「ダヨネー」
悲しい顔でそう言って、沖田君がソファに座りこんでお茶菓子を食べ始める。
そっ…そんな事…誘ってなんか無いもんっ…!
でも…期待させちゃったのかな…私…凄く…寂しそうな顔…
キスは…嫌じゃないけど…でも…でも…
「…沖田君…お部屋…見る…?」
私が言うと、ぼんっ!と赤くなった沖田君が、あわあわと焦り出す。
「ぱっ…パチ恵…本当に…良いんですかィ…?」
「…うん・・・」
隣に行って、きゅっと手を繋ぐと沖田くんもぎゅっと握ってくれる。
「…あのね…こっちなの…」
私の部屋に向かおうと、一歩を踏み出したその時に、玄関がざわざわと騒がしくなる。
「はっちゃんただいまーっ!あら、沖田君も居たの?」
「おっ、総悟、パチ恵ちゃん苛めてないかー?」
姉上達本屋組が、そのまま家に流れて来て…
あぁぁ、近藤君メチャクチャ荷物持たされてる…
「…今から苛める所でしたがねィ…」
「えっ!?」
私がびっくりして振り返ると、沖田君がにやん、と笑う。
「ひんひん啼くだろィ?」
「そっ…そんな事しないもんっ!」
私が赤くなって文句を言うと、沖田君がそっと耳元で囁く。
「パチ恵…部屋、行きやしょうぜ…皆盛り上がってて気付きゃしねェよ…」
「そ…んな…」
「おーい、パチ恵ちゃんお茶貰えないか?」
荷物を置いてソファに座った近藤君が、ぶんぶん手を振りながら私を呼ぶ。
「沖田君…」
手を離して、って言おうとしたら、むすっと膨れた沖田君が離れていく。
「近藤さん、お茶ぐれェ自分で用意しなせェ…」
そう言いつつも台所に向かうんで、私も付いて行く。
沖田君がお茶を持って帰ると、きゃぁぁぁぁ!!の声再びで、その後テンションの上がった姉上達に、近藤君と沖田君はずっとおもちゃにされていた…頑張れ…
でも…危なかった…
皆が帰ってこなかったら、私完璧に流されてたよ…だって…悲しそうだったんだもん…沖田君…
って…!何考えてんの私っ!?
とっ…とにかくっ!みっ…皆有難う…
END
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