「なんだー?更にちっちゃいのが助けに来たのかー?」
「おじょうちゃん、お兄さん達は別にこの子を苛めてるんじゃないんだよー?」
「手が届かないみたいだから、親切で買ってあげようとしてるんだよー?」
「親切にされたらお礼しろ、ってお母さんに言われなかったかい?」
ふりょうたちがちっちゃいおんなのこをかこんだ。
「ははうえは!…いないもん…」
おんなのこがぎゅうとはかまをつかんでないてしまう。
あーあー、なかせた。
おれがさっきみつけた木のぼうをひろってふりょうたちをせいばいしようとしたら、とおくからちょっとおおきいおんなのこがはしってくる。
「こらー!何新八いじめてるのよ!!」
「なんだー?又おじょうちゃんが…って、イテェ!」
「なっ…なんだこの…イテェッ!!」
ちょっとおおきいおんなのこが、たいじゅうをのせてふりょうたちのすねを飛び蹴りした。
…ありゃぁ痛いや…
「やってらんねぇぜ!行こうぜ!!」
ふりょうたちがだらだらとどこかに行く。
ちょっとおおきいおんなのこが、ちっちゃいおんなのこにかけよると、なみだをふいたそのこがおれにかけよってくる。
「おねーちゃんだいじょうぶ?どこもいたくない?」
そのこがおれのかおをのぞきこんでくる。でっかい目だなぁ…
「だいじょうぶだけど、おれはおとこだい!おじょうちゃんこそだいじょうぶか?あいつらになかされただろ?」
おれがそういってあたまをなでてやると、そのこがぷぅ、とふくれる。
「ぼく、おとこのこだもん。でも、ぼくもまちがえちゃったからあいこだね。」
えへへ、とわらったかおがどこかでみたかおで、おれはそのこのかたをつかんでよくかおをみる。
じーっとみてると、そのこはふしぎそうなかおでおれをみる。
「どうしたの?」
「どこかでおれと会ってないか?」
「そんなふっるいナンパじゃ江戸っこは引っかからないわよ!新ちゃん、家に帰るわよ?」
おおきいほうのおんなのこが、そのこの手をひっぱってあるいていこうとする。
…しんちゃん…?あっ!しんぱち!!ちっちゃいしんぱちだ!!!
「しんぱち!おまえがしんぱちか!?」
ちっちゃいしんぱちが、ふしぎそうにおれをみる。
「おにいちゃん、ぼくのことしってるの?」
「おう!おれはおまえにあいにここまできたんだぜ!みらいのしんぱちが、ちっちゃいしんぱちが江戸のこーどーかん道場にいる、っておしえてくれたから!会いたかったから!」
おれがそういうと、ちょっとおおきいおんなのこがしんぱちの前にたっておれからかばう。
「新ちゃん先にお家に帰ってなさい?このこ、頭変よ。」
「あねうえ…」
「そうじゃなくて!おれほんとにしんぱちに会ったんだ!」
「はいはい、どこの誰だか知らないけど、新ちゃんには会ったでしょ?暗くなる前にお家にお帰りなさいな。」
しんぱちの姐さんが、しっしっ、と手をふる。
…しんぱちのいってたとおりだ…こわいなぁ。
「でもあねうえ、このおにいちゃんぼくにあいにきてくれたんでしょ?ぼく、なまえもきいてないよ?」
しんぱちがくいくいと姐さんのそでをひっぱって、まえにでてくる。
「ぼく、しむらしんぱち。おにいちゃんなんておなまえ?」
「おきたそうご。」
「そうごおにいちゃんか!こんどまたあそぼうね?」
しんぱちがにっこりわらってゆびきりしてくる。
「うん!近藤さんが江戸にくるときまたつれてきてもらう!こんどはゆっくりあそぼうね!」
「うん!またね、そうごおにいちゃん!やくそくだよ?」
ちっちゃいしんぱちが、ばいばーい、と手をふって姐さんに手をひかれてかえっていく。おれが手をふりかえすと、うれしそうにわらってもっと手をふる。
ちっちゃいしんぱちはやっぱりかわいかった!
きょうは姐さんにじゃまされたけど、こんどくるときはゆっくりしんぱちとあそべるといいなぁ。
おれはじどうはんばいきでじゅーすをかって、べんちにすわってひとやすみする。
しんぱち、おれのことすきになってくれるかな?
およめさんになってくれるかな?
やすんでからまたバスとでんしゃにのって近藤さんのいる道場までかえる。
かえりつくと、なぜか近藤さんが抱きついてきた。
近藤さんはしんぱいしょうだなぁ…おれはちょっとうれしくなった。
END
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