おかーさんがサンタにきすをした。
今日はクリスマスイブ!
いつもよりちょっと御馳走を作って、ケーキを食べて、ちびっこ達もちょっとだけ夜更かしして家族楽しく過ごしました!
でも、メインイベントはこれから…
総悟さん、張り切ってサンタの衣装を用意して、ちびっこが眠るのを待ち構えてます。
桜と風樹も、そろそろうとうとし始めてるし…寝かしつけよっ!
「ほら、2人とももうおやすみしよ?」
「やでぃ!さんたをつかまえてみんなにみせるんでぃ!」
「みんなさんたさんいないってゆうんだよ?かぐらちゃんもぎんさんも…」
もぅ!銀さんも神楽ちゃんも大人げないなぁっ!
2人ともがっくんがっくんしながら頑張ってるよ…
「バカかおめぇら。サンタは寝てる良い子の所にしかこねぇんだぜ?あーあ、残念だねぃ。おめぇら寝てねぇから家だけ飛ばされるー」
総悟さんが悪い顔で2人に言う。
「「やだっ!!」」
2人ともちょっと泣きそうになって僕の袴にしがみついてくる。
もぅ…総悟さんってば…
でも僕もちょっとあおっちゃお。
「お父さんの言う通りだよ?サンタさん来なくても良いの?」
「「ねるっ!!」」
大急ぎで歯を磨いてトイレに行って、布団に入ったら、2人ともすぐに眠ってしまった。
ふふふっ、今日はちょっと夜更かししたもんね。眠かったよね…
「さて、じゃぁ準備するぜィ」
総悟さんがさくさくサンタの衣装に着替えて、ヒゲも付ける。
うん、ちゃんとサンタさんだ!
2人に買っておいたプレゼントを白い大きい袋に詰めて、抜き足差し足そーっと枕元にプレゼントを置いて、そーっと戻ってくる。
「ふぃーっ、久し振りに緊張しやした。」
「お疲れ様です。」
僕が笑ってお茶を差し出すと、グイッと飲んで一息つく。
「2人とも寝てるから、あんま衣装意味無いですけどね。」
「そう言うねィ、気持ちの問題でィ。」
「あははっ、そうですね。」
しょんぼりと頭を下げながらも言い張る総悟さんが可愛くて、隣に座ってこてん、と頭を肩に預けたら、思いっきり抱きしめられてキスされる…
ちょっ…いきなり…っ…
「やっ…ちょっ…」
「俺らもクリスマス満喫しやしょうぜ?」
にっ、と笑われて、ほっぺたにキスを落とされる。
もぅ…断れないの知ってるくせに…
「…ちゃんと部屋に行ってから、ですよ…?」
僕が総悟さんの首に手を回すと、ぐんっ、と抱きあげられて深く口付けられる。
もぅっ!部屋に行くんじゃないのっ!?
でも…久し振りだし…ちゃんと応えるよ…?
「わっ…わるものっ!おかーさんをはなせ!!」
突然背後から桜の声がする。
木刀を構えた桜と、桜の後ろに隠れるように、風樹がこっちを睨んでいた。
◆
ぼくたちがねてるへやに、へんなけはいがした。
おかーさんじゃないし、おとーさん…?
ちょっとだけめをあけてみてみると、あかいふくをきた、きんぱつのしろいおひげのひとがぷれざんとをおいてた。
さんたさん!!
うわー!うわー!やっぱりいたんだ!
さんたさんがこっそりへやをでていったんで、がばっとおきて、さくらちゃんをおこす。
「さくらちゃん!さくらちゃん!!さんたさんだよ!!さんたさんだよ!!おきてよー!!」
「うぇっ?さんたさん?つかまえなきゃ!」
さくらちゃんがふとんからとびだして、おいてあるぼくとうをとってそっとふすまをあけてみる。
「さくらちゃん、さんたさんまだいる…?」
「うん、しんぱちさんたさんにおちゃだしてる。」
「すごい!おかーさんさんたさんとおともだちなのかなっ?」
「そうなのかなぁ…あーっ!しんぱちがさんたにちゅうされたーっ!」
さくらちゃんがゆうんで、すきまからみてみたら、おかあさんがさんたさんとちゅうしてた!
おとうさんどこいったの?おかあさんのぴんちだよ!
「ふーき!ばかおやじはきっとしごとでぃ!さくらたちでしんぱちまもるぜぃ!」
「うん!さんたさんわるいひとだ!」
「ばかふーき!さんたさんなんていわなくていいんでぃ!あんなやつさんたでいいんでぃ!」
「さんた!」
さくらちゃんがふすまをばん、とあけてぼくとうをかまえる。
「わっ…わるものっ!おかーさんをはなせ!!」
ぼくたちがさんたをにらむと、さんたがすごいさっきをだす。
にらまれたさくらちゃんがぺたんとすわって、ぶるぶるとふるえた。
こっ…こわいけど…ぼくがなんとかしなくちゃ!
◆
あー…起きちゃったんだ…
折角会えたサンタさんがコレじゃ、教育上良くないよね。
僕が総悟さんから降りようとすると、総悟さんがぎゅっと抱きしめて離してくれない。
「ガキども…俺の邪魔するんじゃねぇや。」
そう言い放った総悟さんが2人に本気の殺気を放つ。
ちょっ…何してんのこの人ぉぉぉぉ!?
ぺたん、とすわりこんだ桜を庇うように風樹が桜の前に立つ。
へぇ、イザとなったらやっぱり男の子なんだ…
っと、感心してる場合じゃないや。2人ともすっごい震えてる…
総悟さんの腕の中でも両手は自由に動くんで、思いっきり振り上げて拳骨で頭をたたく。
「いい加減にして下さいっ!僕、本気で怒りますよ?」
僕を降ろして、痛む頭を抱える総悟さんを見降ろして腰に手を当てる。
「もぅっ!大人なんですから子供に本気は止めて下さいっ!」
「だって…」
「言い訳しない!今度やったら本気で怒りますよ?」
「…へい…」
サンタの格好のまま寝室へとぼとぼと総悟さんが入って行く。
…後で面倒くさそう…
僕がちょっとうんざりしていると、2人が走ってきて僕の足にしがみつく。
「おかーさんすごい!」
「しんぱちすげぇ!」
僕に捕まって見上げる2人は涙目だ。
怖かったんだろうなぁ…
「ほら、サンタさん見ようとするからサンタさん怒っちゃたんだよ?来年から来てくれないかもよ?」
「やっ…やだー!」
「やだよー!」
2人が更にぎゅうっと僕に掴まる。
「じゃぁもう寝ようね?眠るまで一緒に居てあげるから。」
「「うんっ!」」
2人がたたっ、と走って布団に潜りこむ。
僕も子供部屋に行って、2人が眠るまでぎゅっと手を握る。
「おかーさんつよいんだね!」
「しんぱちさいきょーだぜぃ!」
安心したのか、2人はすぐに寝付いてしまう。
…さて、じゃぁすっかりいじけてるだろう1番大きな子供のご機嫌をとりに行こうかな。
あんまり無茶はしないで欲しいんだけど…無理だろうな…
僕は1つ溜息をついて、寝室へと向かった。
END
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