『学校行事終了後、その事について話す』



やけに皆が張り切った体育祭は、僕らのクラスが総合優勝を果たした。
うちのクラスの皆、無駄に運動神経良いからなぁ…

沖田君も凄く活躍してたよな!
何故か僕と同じ競技が多くて僕の2〜3人前に走ったりしてたんで、凄く近くで沖田君の活躍を見る事が出来た。
すっっっっっごくカッコ良かったなぁ…ラッキーだったよね!
そんな事が有ったんで、僕にとって体育祭は物凄く楽しいものになった。
幸せな気分で帰りのHRを受けようと教室に返ると、ご機嫌な銀八先生が僕らに向かってニヤリと笑った。

「おめ〜ら良くやったな〜!ここは先生がジュースを奢ってやるぞ〜?」


ざわっ…


…珍しい…何か裏が有りそうな…
皆もそう思っているのか、喜ぶよりも訝しんでざわざわと騒いでいる。

「なんだよ、嬉しくね〜の?いやぁ、校長と賭けしてさぁ〜、おめ〜らに儲けさせてもらったからちょっとだけお返し…」

…やぱりそんなんかよ…
桂君や土方君が怒って詰め寄って行くけど、他の皆は納得してわぁっ、と歓声を上げた。

「んじゃ新八〜、買って来い〜」

「はぁっ!?僕ぅっ!?1人で全員分ですかっ!?」

僕も詰め寄って行くと、銀八先生がジッと僕の目を見て、ポンと肩を叩く。

「お前はやれば出来る子だと先生信じてるぞ!」

ほい、と5千円を渡されると、説教の続きなのか土方君が先生を連れていく。

「あ、先生はイチゴ牛乳ね〜」

ひらひらと後ろ手に手を振られるんで、諦めて周りを見渡すと、全員目を逸らしやがる…
誰かに手伝ってもらおうと思ったのにっ!
あー、畜生分かったよっ!!1人で行ってやるよっ!!
…あったか〜いコンポタ買ってきてやるっ…

僕がドスドスと足音を鳴らしつつ教室を出ると、パタパタと僕に駆け寄ってくる足音が聞こえる。
神楽ちゃん…やっぱり友達だよね!
期待を込めて振り向くと、そこにはやっぱり神楽ちゃん。

「新八ぃー!コレ買い物メモアル。間違えんなヨ!」

そう言って、僕の手にメモを握らせて教室のドアをピシャリと閉めた…

…やっぱり絶対探しだして、あったかいコンポタ買ってきてやる…

そのままドスドスと足音を鳴らしつつ靴箱まで行くと、何処に居たのか沖田君がやってくる。

「…沖田君…飲み物何が良い?」

沖田君は教室に居なかったし…コンポタじゃ…アレだよね…?
そう思って聞いてみると、キョトン、と僕を見てニヤリと笑う。

「は?奢ってくれるんですかィ?」

「うん、銀八先生が。」

「…へー、珍しい。何でィお前さんパシリかィ?」

「…まぁ…そんなトコです…」

もうどうでも良くて反論もしないでいると、何か考えるそぶりをした沖田君がニコリと笑う。

「んじゃ俺も行ってやらァ。ダメガネ1人じゃ危ねェだろィ。」

「まじでか!?あっ…あのっ…有難う…!」

嬉しくなって思わず手を握ってぶんぶんと振ると、ぎゅっと僕の手を掴んで沖田君が歩き出す。
うわぁっ!沖田君から手を握ってくれた…っ…!
思いっきり顔に血が上ってきて、赤い顔のまま大人しくついて行くと、沖田君がくるりと振り返る。

「…で?缶入りしるこでも買っていくかィ?」

ニヤリと笑った顔は悪そうだけど…

「それじゃぁ先生が喜んじゃいますから。暖かいコンポタにしようかと。」

僕もニヤリと笑うと、沖田君が声をあげて笑う。

「ははっ!お前さんもなかなかヤルねィ。」

「そうでもないですよ?」

暫く2人で笑い合って、手を繋いだまま、スーパーでコンポタを買って暫く日向で温めた。
流石に暖かいのは無かったからね!
その間、僕らは余ったお金で買ったアイスを食べた。
そのアイスは、今迄食べたアイスの中で一番美味しかった。
きっと沖田君と一緒に食べたからだよね…?

その後、良い感じに温まったコンポタを持って教室に返ると、全員が僕達に詰め寄って来たけど…
サッと僕の手を取った沖田君が一緒に逃げてくれたんで、上手く逃げ切る事が出来た。
逃げ切った後、また2人で声をあげて笑った。

なんだか一気に親しくなれた気がする…

このまま友達…
ううん、やっぱりそれじゃ、僕は満足できない。
僕は…



続く