『他のクラスの友達の所へ行く時に、廊下に居る気になるヒトに、ちょっと通るね?、とか話しかけてみる』
昨日は沖田君にちょっとだけだけど、話しかけてもらえて、すっごく幸せな気分になれた!
やっぱり少しだけ頑張ったから…良い事有ったんだよね。
まぁ…そんなに嬉しい内容では無かったんだけどさ…でも!沖田君から話しかけてくれるなんて滅多に無いからっ!
…僕は嬉しかったんだ…
「新八ぃー!教科書忘れたネ、さよちゃんに借りに行くの付き合えヨ!」
僕に向かって駆け寄ってきた神楽ちゃんが、ニヤリと笑う。
「今、ドSがローカに居るネ!作戦実行のチャンスアル!!」
神楽ちゃんが携帯を操作して、昨日のページを見せる。
えーと…
廊下っていうと…コレかな?
『他のクラスの友達の所へ行く時に、廊下に居る気になるヒトに、ちょっと通るね?、とか話しかけてみる』
「…これって…本当に効果あるのかな…?」
昨日はなんとなく良い感じになったけど、コレは…どうなんだろ…?
除けてくれて終わりなんじゃない?
「さぁ。実験ヨ、実験!やってみないと分からないネ!」
「…まぁ…そうだけど…」
「じゃぁ、行ってくるネ!」
神楽ちゃんが僕の背中をドン!と押す。
ふらりと前に進んだ先では、沖田君が山崎君達とホウキと紙屑で野球をしてる…
「ごめん、ちょっと通るね…」
そう声を掛けて通り過ぎる。
山崎君が「あ、ごめんね!」と笑って除けてくれると、沖田君も除けてくれる。
…特に何も無いじゃん…まぁ、そんなものか…
僕が通ると後ろから神楽ちゃんもやってきて、僕を追い越していく。
本当に教科書忘れたのかな?
ちょっとガッカリしながら神楽ちゃんについて行くと、僕の頭にぱしり、と何かが当たる。
「痛っ…!」
「ワリーワリー、コントロール乱れちまった。」
後ろを振り返ると、ニヤニヤ笑いの沖田君が近付いて来て丸めた紙を拾っていく…
ワザとなのか!?
「僕、通るって言ったよね!?」
「イヤァ、もうちっと早く通り過ぎると思ったんですがねェ…」
「イヤ!僕結構早かったよね!?どんだけ早く通れっていうんだよっ!!」
「マッハ?」
何で疑問形!?
勝ち誇った笑顔がなんかムカつく…
「そんなん出来る訳無いだろっ!?ワザとだろ!アンタワザとソレぶつけただろっ!?」
「エー、ソンナコトネェヨー」
「棒読みすんなっ!笑顔もウソ臭いっ!!」
あぁ…何で又喧嘩腰になっちゃうんだよ、僕…
こんなんじゃ全然良い印象持ってもらえないよ…
「男がんな尻の穴の小さい事言いなさんな。なんなら俺が大きくしてやろうか?物理的に。」
「はぁっ?」
にっこりと笑う顔はカッコいいけど…
僕の事苛めようとしてるのかな?物理的って…何するつもりなんだろ…
だんだん怖くなってきて、ビクビクと沖田君を見上げると、それは爽やかな笑顔で僕を見る。
うわぁ…こんな笑顔…初めて見た…
「して欲しいんで?」
「何をですかっ!?結構です!どうせ碌な事じゃなさそうですし!」
「そんな事ねェよ?イィ事でさァ。」
「そんな…」
僕がまだ言い募ろうとすると、教科書を借りて帰って来たのか神楽ちゃんが僕の手を引っ張って教室に帰る。
「良かったナ、新八ぃ。意外とミャクアリかもナ!」
ニヤニヤ笑いの神楽ちゃんがそんな事言うけど…どういう事なんだ…?
「神楽ちゃん何言って…」
「まさかアイツからそんな事言うとは思わなかったネ!尻の穴、大きくしてもらうと良いネ。」
「…何が…」
僕が不思議に思って首を傾げると、神楽ちゃんが僕の耳元に寄ってきてクスクスと笑う。
「男同志は、尻の穴使うアル。アイツヤル気満々ヨー」
「なっ…えっ…!?まさかそれって…」
「えっちネ」
「えっ…!?なっ…そんな事っ…!!」
思いっきり顔に血が上ってきて、きっと滅茶苦茶赤くなってるよ!僕っ!!
そんな恥ずかしい事…想像なんかしたら…倒れそうになるよぅ…
「新八カーワイーアル!ドSもそんな顔見たらクラクラヨ!!コレ、結構使えるネ。又頑張るヨロシ!」
…応援…してくれてるんだよね…?
僕で遊んでるんじゃ…無いんだよね…?
ちょっと不安になったけど、冗談でもそんな事言ってくれるなんて…
僕、沖田君に嫌われてはいない…って事だよね…?
うん、この調子でもっと頑張ろう…!
続く
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