『部活前に、部活楽しい?と質問してみる』


昨日休んだ神楽ちゃんは結局食べ過ぎで具合が悪かっただけで、お見舞いに行った頃にはすっかり元気になっていた。
朝からどんだけ食べたんだよっ!と突っ込んだら、夜中からずっとネ!!と返されて、それ以上その話をするのは止めた。

さりげなく話を逸らそうと神楽ちゃんの所に来るまでの沖田君との話をすると、カチカチと携帯を操作して例のページをチェックする。

「確か、そんなのがあった気がするネ…あ!コレネ!!」

神楽ちゃんが見せてくれたページは、確かにそんな事が書いてあった。
…まぁ…微妙に違う気がするけど…

とにかく元気で良かった。
笑顔で退散した次の日、神楽ちゃんはいつも以上に元気に登校してきた。
そして、いつものように早弁して、おやつを食べて、僕のお弁当をつまみ食いして…
これだけ食べてる神楽ちゃんが具合悪くなる程の量ってどんだけだったんだろう…

「授業終わったアルネ!新八何ボーっとしてるアルカ!部活ヨ部活!!」

「イヤ、神楽ちゃん…僕は帰宅部…」

「もったいないヨー!新八が調理部に居たらもっと楽しいヨー…」

残念そうに肩を落とす姿を見るとなんだか申し訳ない気がするけど…
今の調理部に僕は入る気は無いし。
…姉さんと神楽ちゃんと猿飛さんと柳生さん…その上顧問の先生が月詠先生なんて…
調理実習の補習みたいなメンバーだからな…

「神楽ちゃん、部活楽しい?」

「おう!楽しーヨ!だから新八も入るヨロシ!!」

「イヤ、僕はバイトあるし。」

「えー…」

神楽ちゃんがブイブイと文句を言い始めると、後ろで寝ていた沖田君がむくりと起き上がる。
そして、キョロキョロと辺りを見回すと、ちょっと慌てて荷物を纏め始める。

「新八!ワタシと同じ事ドSに聞くヨロシ。」

ちょっと近付いてきて、神楽ちゃんがコソコソと僕に言う。

「…え…?」

「いつものアレヨ。」

神楽ちゃんが携帯の画面を僕に見せる。
あ!
急がないと沖田君が行っちゃうっ!

「沖田君これから部活?剣道部楽しいっ?」

慌てて僕がそう話しかけると、沖田君がニヤリと笑う。

「スゲー楽しい!近藤さんと土方と…強ェ奴らと闘うのは何よりも楽しいぜ?」

うわ…
本当に楽しそうに、目をキラキラと輝かせながら話してくれる姿は凄くカッコいい…
心臓がドキドキしてきたよ…

「そっか…」

「お前さんも剣道部入れよ。少しは強くなれるかもしれやせんぜ?」

そう言ってニヤリと笑われる。
まさか誘ってくれるなんて…そんな事思ってもいなかったよ…凄く嬉しい!
でも…

「…僕はバイトが有るんで…」

「へぇ、そりゃ残念。」

「うん…」

残念とか思ってくれるんだ…えへへ…

「お前さんをボコボコに出来ると思ったんですけどねィ。」

「絶対入りません。」

…そういう事かよ…期待して損した…

僕がむぅっと膨れると、沖田君がポンポンと頭を撫でてくれる。
うわっ…!顔に血が上ってくるっ!!

「どっちにしてももう3年だから、誘うの遅すぎやしたねェ。残念残念。」

そう言ってニコリと笑って、沖田君が走って行ってしまった…
何!?あの笑顔っ…!あんな顔でも笑うんだ…
僕と…もっと早くから…なんて…イヤイヤイヤ、それは考え過ぎだよねっ!!

「新八ぃ〜、顔赤いヨ〜?」

黙って見守っててくれた神楽ちゃんが、遂に見かねたのかニヤニヤ笑って僕をからかう。

「うん…」

「良かったアルナ!コレやっぱ使えるネ!!」

「うん…そうかも…」

ここ最近頑張ったからか、結構沖田君からも話しかけてくれる気がするし…
まだまだ頑張ろう!



続く