◆
途中何か色々轢いた気がするけど気にしねぇ。
やっと指定された倉庫に着いた。
…へっ…俺のモノに手ェ出した事、後悔させてやるぜ…
「新八返しやがれェ―――――――っ!!!」
俺は倉庫の扉に向かって大声で叫びながらアクセルを踏んだ。
◆
あ…沖田さんの声…
誘拐犯達が倉庫の扉を開けると、パトカーが飛び込んでくる。
あわばばばばばばばば…!!!!!!
パトカ―は、僕スレスレで止まった。
しっ…死ぬかと思った…犯人じゃなくて、沖田さんに殺されるっ!!!!!!
すぐにドアが開いて、顔面蒼白の沖田さんが出てくる。
「新八ィ!無事ですかィ!?アイツらに何もされてやせんかぃ!?…って、あぁっ!こんなにガッチガチに縛られて…俺でさえまだ縛ってねぇのに!!!!」
沖田さんのオーラがどす黒く変わる。
イヤイヤイヤイヤ…怒るトコ、ソコかよ…
僕の腕に縛られていた縄を切ってくれて、痕の付いた手首にキスを落とす。
「ちょっと待ってて下せェ…アイツら全員たたっ斬ってきまさぁ…」
沖田さんの目が、剣呑に光る。
うそっ!?マジでスプラッタ!?
「や、沖田さん、僕大丈夫ですからっ!捕まえるだけで良いんじゃ…」
「イヤ。アイツら新八を縛りやしたからねぇ。新八を縛って良いのは俺だけでさぁ…今回のコレは無かった事にしてきまさぁ…」
「イヤイヤイヤ!無かった事って!!そんな理由で人殺しは止めて下さい!!」
僕らが言い合いをしているうちに、誘拐犯が僕らを囲んでいた。
…あ―あ…折角時間稼いであげたのに…なんで今のうちに逃げなかったんだろ…
「…沖田さん…手間とらせてすみませんでした。ダメだったみたいです。出来れば殺さない方向でお願いしたいんですけど…」
「…新八は我侭ですねぇ…ま、可愛い恋人の我侭をきくのも、男の甲斐性ですからねぇ。」
沖田さんがゆっくり刀を鞘から抜いて、刀の握りを変える。
僕は邪魔しないように、パトカーに乗って待っている事にした。
僕がパトカーのドアをバタン、と閉めたと同時に誘拐犯達が斬りかかって来る。
一瞬後、沖田さんが、タン…と一歩踏み出して、全員が綺麗に空を飛んだ。
うん、誰も斬られてない。
…まぁ、骨は折れてるだろうけど…
ドサリと落ちた人達は、うなりながらも動けない。
ガチャリ、とドアを開けて沖田さんがパトカーに乗り込んでくる。
「…すみませんでした…僕が油断してました…沖田さんと付き合う、って決めた時からこんな事予想できてたのに…」
僕が頭を下げると、沖田さんがぎゅうと抱き締めてくる。
「…謝るのは俺の方でさぁ…俺だってそれぐらい予想できてたんでさぁ…それを…新八を独りにしちまって…これからはずっと一緒でさぁ…オメェが嫌だって言ってもずっと…」
「…沖田さん…」
沖田さんが僕のメガネを取る。
僕がゆっくり目をつぶると、沖田さんの唇が、そっと僕の唇に触れる…
…ポ―ピ―ポ―ピ―ポ―ピ―ポ―ピ―ポ―
ギキィ――――――――ッ!!!!!!!!
「「「「「新八――――――――っ(君)!!!!!!!!」」」」」
物凄いスピードで走ってきたパトカーが倉庫の中で止まって、車の中からわらわらと人が出てくる。
近藤さんに、山崎さん、土方さんに…銀さんと神楽ちゃんまで居る…!?
皆口々に何か文句を言いつつ、沖田さんにぶっ飛ばされた誘拐犯達を蹴ったりしている…
どっちが悪人か分からないよ………
僕らはと言うと、サイレンが聞こえた時点で両側の扉から飛び出て、赤くなった顔をなんとか戻そうとしていた…
END
礼
→