「みんなしてなんなんですかっ!僕をパシリとかに使うために手懐けようとかしてるんでしょっ!?」
僕が叫ぶと、3人が3人とも呆れたような表情で僕を見る。
なっ…何なんだよっ!僕何か変な事言ったかっ!?
「…新八…鈍いにもホドがあるネ…」
「違うでしょ、新ちゃん。俺らは…」
「好きなんでさァ、新八君の事が。」
「へっ…?僕も皆の事好きですよ?」
僕がそう言うと、神楽ちゃんが、はぁっ、と溜息を吐く。
「そういう意味じゃ無いアル。愛の告白されてるヨ、新八。」
アイ…の…告白…?
イヤイヤイヤ、僕男だし。あ、神楽ちゃんは良いのか…って!何がっ!?
「新八、おっさんとドSはほっとくネ。こんな可愛い女の子が告白してるヨ、うん、って言うネ!」
神楽ちゃんがぎゅっと僕の腕に掴まる。
「イヤ、神楽ちゃんいっつも僕の事苛めるし…」
「ほらほらおこちゃまは置いといて。新ちゃんはカッコいい銀さんが良いんだよね〜?」
「黙れマダオ。」
「え〜、酷い新ちゃ〜ん!」
銀さんが反対側の腕に掴まってくる。
両方からグイグイ引っ張られてグラグラしていると、正面に満面の笑みを浮かべた沖田さんが立つ。
「新八君はやっぱり俺が良いよなァ?このプリンス沖田が。」
2人の合間を縫って、正面から抱き締めてくる…
やぱりこの体温…凄く気持ち良いかも…やばい、ドキドキする…っ…でも…
「プリンスって何すか。ですから、男の人は範疇外ですから。」
「えー?新八くぅーん?」
「酷いでさァ、新八君〜」
銀さんと沖田さんがグラグラと僕を揺する。
あぁ、もぅっ!
ぶんぶんと両手を振って皆を引き剥がす。
「じゃぁ、新八は誰が好きネ?」
神楽ちゃんが可愛らしく首をかしげて聞いてくるんで、ニッと笑って胸を張る。
「お通ちゃんが好きですから!」
そう言い放つと、全員で、鼻で、ふはん、と笑った。
「なんでィ、アイドルか。」
「イヤ、目を覚ませ?」
「無理ネ。」
「なんなんですか、その目はっ!?万が一が有るかもしれないだろっ!?」
「「「無い無い無い。」」」
3人が口を揃えて言う。
いっつも仲悪いくせに、何でこんな時だけばっちり合うんだよ、この人達っ!?
「分かんないだろっ!!」
「イヤ…夢をでっかく持つのは良い事でさァ…」
「メヲサマシテクダサーイ」
「新八なんか相手にされないネ。ゴエモンみたいなイケメンがタイプネ、アイツ。」
3人が3人ともイヤな笑顔でニヤニヤ笑う。
「うるっさいなぁ!もうっ!!」
ホント、ヤな人達っ!
良いじゃん、夢ぐらい見させろよっ!!
こんな時ばっかり気が合うんだから…まるで駄目な父親と意地悪な兄貴とやんちゃな妹みたい…って兄貴増えた…
「だから、な?銀さんにしとけ?」
「ヤです。」
「俺が良いんでィ。な?」
「な、じゃなくて…」
「ワタシのものネー!」
「だからっ!僕はお通ちゃんが…」
「「「ナイナイナイ。」」」
ゲラゲラ笑いながら、そんなはっきり否定すんなっ!
「分かりませんからねっ!その時になって謝ったって許してあげませんからねっ!」
「新八君はドリーマーだねィ。」
沖田さんが又ぎゅっと抱きついてくる。
うわっ…心臓がドキって跳ねるっ!?
何か良い匂いするし…シャンプー…かな…?好き…この匂い…
「あ!ズルイネ!!」
反対側から神楽ちゃんも抱きついてくる。
「もー、可愛いなぁ、新ちゃんは。」
3人まとめて銀さんが僕らを抱き締める。
ほんと…家族みたい…
「もうっ!暑苦しいなぁっ!」
うがーっ!と暴れてみるけど、なんか暖かいんで諦めて大人しくした。
こんな感じも、なんか悪くない。
家族みたいで、悪くない…
◆
俺(だけじゃないけど)の腕の中で大人しくしてる新八君は可愛過ぎらァ。
それに何か良い匂いもしやがる。石鹸の匂いかィ?大好きでさァ…
とりあえず、連れ出す準備は出来やした。
さぁて、あんまり焦っても良くねェ気がしやす。
じっくり狙って、俺のモノになってもらいやすから。
覚悟してくだせェ?新八君。
END
礼
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