…あれぇ…おかしいなぁ…?
いっつもならぎゅってしてくれて、キスとか迫ってくるのに…
今日はニコニコしながらお酒呑んでるだけだ…全然…触れてもくれない…

折角なんで沖田さんの汲んできてくれた水を飲む。
冷たくて美味しいや…

「…おみじゅ、おいしいれす…」

「そりゃぁ良かった。」

僕が、にへら、って笑って言っても、沖田さんはニコリと笑うだけで近付いて来てもくれない…
なんか寂しい…

「沖田しゃんも、みじゅのみましゅか?」

「いんや。俺ァ酒の方が良いや。」

又ちびり、とお酒を呑む。
…ヤダ…

「おみじゅ…おいしいれすよ…?こおりも入ってりゅし…」

「うん。」

「…おみじゅ…」

「新八飲みなせェ。」

もう僕の方も見ないで、月を見ながらずっとお酒呑んでる…
お月様綺麗だけど…僕の方も見て…?

僕がむぅ、と膨れても、ニコニコとお月様ばっかり見てるし…

なんだよ…一緒に居るのに…
よしっ!僕だってやる時はやるんだからなっ!

グッと水をあおって、四つん這いで沖田さんに近付く。又立ちあがって転んだらやだしね!
隣に寄って、両肩を掴んで、僕の方を向かせると、沖田さんがきょとん、とした顔で僕を見る。
えへへ…やっと見てくれた…

「どうしたィ、新八…んっ…」

口移しで水と氷を沖田さんに飲ませると、沖田さんの喉が、こくん、と鳴った。

「…おみじゅ…おいしいれしょ…?」

僕がちょっと怒って言っても、固まったままの沖田さんは動かない。
あ…お水垂れてるよ…もう、沖田さんは子供だなぁ。

口の端から垂れてる水を、ぺろっと舐め取ると沖田さんの顔が真っ赤になる。

「しっ…しんぱちィ…?」

「にゃに?」

こくん、と首を傾げると、はぁ…と大きく溜息をつかれる。
なんだよ!失礼だなっ!

「新八相当酔ってまさァ…ほれ、寝なせェ…」

胡坐をかいた真ん中に、ぽすっと頭を乗せられる。
あ、膝枕…?…気持ち良い…
すりすりと擦り寄ると、沖田さんがビクリと跳ねる。

「しっ…新八ィ…オメェ誘ってるんですかィ…?」

「にゃにが?」

僕を見降ろす顔は真っ赤なまんまで、すっごく可愛い。
ごろんと転がって、ぎゅーっと抱きつくと、又はぁ…と溜息をつかれる。

「いっつも無茶させてっから、今日ぐらいは何もしねェようにって、我慢してたってェのに…」

やれやれ、って困ったように笑った顔が優しくて、凄く凄く愛しくなった。

「…全然しゃわってくりぇなかったかりゃ、寂しかったりょ。」

「…オメェ馬鹿でィ…そんなに煽ったら手加減出来ねェよ?」

「うん。」

えへへ、って笑って首に手を掛けて引っ張ってちゅーしたら、そのまま押し倒されて大人のちゅーをされて。



それから…






次の日、痛む腰を抱えながら、僕は、もう2度とお酒は飲まないと誓いました。



END