「…喧嘩…しにきたんなら…帰って下さい…」
「やっぱりねぇ…こんだけ逢えなかったってぇのに、新八は何とも思って無かったんですかィ…新八から俺の事を好きだ、なんて言ってくれた事有りやせんもんねェ…」
「そんなっ…!」
「判りやした、俺達別れやしょう…」
…えっ…?おきたさん…今なんて…?
僕が呆然と沖田さんを見ると、嫌な笑いを浮かべる。
「…なーんて言うと思ったかィ。残念だったねェ、別れてなんかやらねェよ。新八が嫌がったって一生付きまとってやらァ…」
沖田さんは嫌な笑顔のまま、僕の方に一歩、また一歩と近付いてくる。
…好き勝手言いやがって…
僕も大股で沖田さんに近付いて、隊服の上着を掴んでぐい、と引っ張って、体勢を崩して僕の方に落ちてきた唇に、噛み付くようにキスをする。
「僕だって、沖田さんの事好きなんですからねっ!どんな覚悟で付き合ったかなんて知らないくせに偉そうに言うなよっ!!一生付きまとう?望む所です。アンタが僕に飽きたって、僕の方が一生付きまとってやるっ!他に好きな人が出来た、って言っても別れてなんかやるもんかっ!!」
僕が一気に叫んで、はぁはぁと息を切らしていると、沖田さんがポカンと僕を見る。
ざまーみろっ!僕だってこれぐらいするんだからなっ!!自分ばっかりが好きみたいに言うなっ!!!
「…何ですかその顔…僕の覚悟、思い知れっ!」
僕がそう吐き捨てると、沖田さんが、満面の笑みを浮かべる。
「やっと言ってくれやしたね…」
な…んだ…?そんな顔…今まで見た事無いよっ…そんな嬉しそうな顔…
…そんな顔見せられたら…もっと言ってあげたくなるじゃんか…
「言いましたよっ!僕だってねぇ、色々考えたんですよ?でも、その他の事、全部諦めても良いくらい、アンタの事好きになっちゃったんですからしょうがないんですっ!好きです!好きです!好きですっ!僕は沖田さんの事が大好きですっ!!」
僕が好きって言う度に、沖田さんの顔が赤くなる。
今やもう、耳まで真っ赤で…それを見てると僕まで赤くなるよ…
「…すいやせん…もう判りやしたから…でもやっぱり俺の方が新八の事想ってやすぜ?俺ァ、新八の事愛してやすから。」
そう言って、僕の事をぎゅうと抱き締める。
めちゃくちゃ赤くなってるから、テレてるのかな?心臓の音がドクドクって凄く早いよ…
まぁ、僕だって心臓バクバクいってるけどね…
「…僕だって負けてませんよ?だって、僕だって沖田さんの事、あっ…愛してますもん…」
僕がそう言うと、沖田さんの心臓が、どくん、と跳ねる。
「…悪かったって…もうこれ以上は勘弁して下せェ…」
僕のほっぺたにちゅう、とキスをして、こてん、と僕の肩に頭を置く。
どうしよう…愛しくて愛しくて仕方ない…
なお一層強くぎゅうと抱き締めて、丁度僕の横に来ている耳に囁く。
「こんなに喜んでくれるなんて思ってなかったです…それならもっと早くにちゃんと言うんだった…好きですって…僕…恥ずかしくって…ずっと言えなくてごめんなさい…」
僕が全部言いきると、沖田さんが僕の肩の上でこくこくと頷く。
くすぐったいよっ・・・
「何か、いつもと逆でさぁ!新八男前過ぎでさァ…きゅん、ってなっちまいそうでィ。」
本当だ…いつもは僕がきゅんきゅん言わされてるのに…
「いっぱいなって下さい?いつもは僕がきゅんきゅんしてますからっ!」
そう言うと、沖田さんが真っ赤な顔を上げて、くすり、と笑う。
その顔を見てると、僕もつられてくすりと笑った。
「これからは、もっと沢山好きって言って下せェ。俺をもっとメロメロにして下せェ…」
「…はい…沖田さんも、もっと僕をメロメロにして下さいね…?」
するりと顔が近付いてきて、僕の唇に優しいキスが落とされる。
その熱い唇に応えるように、僕もちゅうっとキスを贈った。
END
礼
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