「今から夫婦になろうネー」

「やっ…ちょっ…げひゃっ…」

なんとか離れようとすると、ぎゅうううっと抱きしめられる。
グッと手を突っぱねてもビクともしないよぅっ…

「もー、新八はツツシミブカイナー。ヤマトナデシコ?」

「そんなんじゃっ…ふむぅぅぅぅぅっ!?」

抵抗する暇も与えないくらいガッチリ抱きしめられて、唇を奪われる。
なんとかガッチリ唇は閉じたけど、あちこち触られて力が入らなくなってくる…

「…んむぅっ…ふぁっ…」

ほんのちょっとの隙間から舌まで入れられて、良いように動き回られると…
駄目っ…嫌なのに…気持ち良くなっちゃうよぉっ…

暫く口の中を好き勝手されて、やっと離れてくれたんでそっと目をあけると、今まで見た事のない真剣な顔…あ…初めて見た…

「色っぽいヨ…」

クスリと笑われると、全身が熱くなる。

「そんな…あああぁっ…!」

神威さんが僕の視界から消えたんで、やっと避けてくれるのかと気を抜いた瞬間、胸にぬるりとした感覚が走る。

「やぁっ…ああんっ…なにぃ…っ…!?」

「新八感度良いネ!」

ぺろぺろと、むっ…胸を舐められると、頭の中が真っ白になる。
やっ…ヤバい…っ…僕…このまま………



「新八ー!お腹すいたヨ!おやつ……あーっ!神威!!」

突然神楽ちゃんの声がして、僕の意識は戻ってくる。

「ちぇー、残念。邪魔入っちゃった。」

スッと軽くなって、僕の上を風が走る。
あ…神楽ちゃん…

「神威っ!新八にナニしたネ!?」

「えー?夫婦なら当然ダヨ?」

「オマエラ夫婦じゃないネ!!」

凄いスピードで攻撃する神楽ちゃんを、スルスルとかわして神威さんが飛び跳ねる。
…兎…みたい…

「興が覚めたヨ。じゃ、新八、俺は帰るよ。」

ばいばーい、と手を振って、神威さんが窓から飛び出していく。

…あ…助かった…?

僕が安心からかぼぅっとしていると、神楽ちゃんが僕に駆け寄ってきて、がっしと腕を掴む。

「新八大丈夫アルカ!?神威にヤられたか!?」

「いや、大丈夫!大丈夫だからっ!!」

慌てて着物を直して起き上がるけど、きっと全身赤くなってるよっ!
かっ…神楽ちゃんに見られちゃったっ…

「新八もっと強くなるネ!いつもワタシが助けてやれるとは限らないヨ!」

強く言うけど、本当は物凄く心配してくれてるのが分かる。
神楽ちゃんを安心させたくて、にこりと笑ってポンポンと頭をなでると、ぎゅっと抱きつかれる。

「…有難う神楽ちゃん。僕、頑張るよ!」

強くならなきゃ…本当に身の危険が迫ってるんだから…

「…新八…この赤いの………」

神楽ちゃんが僕の首の辺りを見て怖い顔になる。
…赤いの…?まさか……

「神威ー!ブッ殺ス!!」

神楽ちゃんが、神威さんが出て行った窓から飛び出していくのを見送って、とさりとソファに沈む。

強くならなきゃ…強くなろう。
…じゃなかったら、マジで僕の貞操のピンチだよっ!!
いつの間にか付けられた赤い痕を押さえながら、僕は改めて、強く決心しました。


END